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#71

本日2話目!!

デストロイ帝国の皇帝「カイザリア」の名前は、最初「エンぺリア」にしようかとも考えていた。

エンペラーと打ち間違えまくったから変えたけど、こういう名前って打ち間違えるのがあるのはなぜだろうか?

SIDEカグヤ


 バーステッド王国とデストロイ帝国の会談場所は、デストロイ帝国領内にあった。


 その場所にある湖の景観の美しさから、観光地としてもにぎわっている『ティラーン湖』。


 そのほとりに建てられている古城にて、会談が行われることになっていた。



 その古城は、元はデストロイ帝国とは別の国の重要な王族が住んいていた城だったそうだが、デストロイ帝国が進行する前に自然と国が崩壊し、そのまま帝国領へ自然に吸収されたのである。


 崩壊のきっかけは単純なもので、とある婚約破棄によってその国にとって物凄く重要な相手が激怒したが故の災害に襲われたと記録されているが、詳しくは記述されていない。


 いや、正しくは崩壊の際にその記録がすべて焼き尽くされてしまってほとんど残っていなかったとでもいうべきだろうか。




 ただ、そのエピソードから永遠の愛を誓い合う場所としてもカップルには人気のスポットであった。


 裏切ったりすれば、災厄が襲い掛かるという思いがあってだが……まぁ、そんな話があるからこそ、婚約破棄を考えていた人たちはみな冷や汗が出る場所としても有名だそうだ。






 そんな逸話がある場所が会談場所になったのも、その事が理由である。


 まじないのようなものであり、裏切らないようにという意味を持っての場所であるのだ。




 そんなわけで、その湖のほとりの古城で会談が執り行われることになった。



 バーステッド王国からの代表は、第5王女ミルルを含む数名。


 デストロイ帝国からの代表は、重要な会談故か皇帝カイザリアが自ら出席していた。



 会談場所の周囲では、両国の護衛たちが囲んで見張り、何事もないように協力し合うのみ。



 出来るだけいざこざも少なくして、スムーズに済めば良い話なのだが……







「ゴァァァアッツ!?」

「ギピゥ!?」

「ブゴッツ!?」


「…おーい、帝国側の護衛の皆さんはどれだけいけましたかー?」

「こっちは33体目だー!!」

「お、こっちは34体だよ」

「あー!!あと1体負けたぁぁ!!次よ来いカモォォォン!!」



「……平和的な会話のようで、すっごく物騒な状態なんだよなぁ。よっと」


めごぅ!!


「ガブゥッツ!}


 それぞれの護衛の状態を見ながら、いましがたとびかかって来たゴブリンを顔面から「魔拳闘士の才能」で炎を纏わせてみた拳で叩き潰すカグヤ。



 なぜか現在、会談場所にモンスターが出没してきており、群れで来ているようであったので協力して叩き潰している最中なのである。


 普段あまり見ないから忘れがちだが、モンスターはこの世界だと野生動物のようなものでどこにでもいる。


 だが、ここまで積極的に襲い掛かってくるのはどう考えてもおかしいそうだ。


 敵対はすれども、積極的に来るという事は何かの薬でおびき寄せられているか、もしくは何かにおびえて逃げている状態の二択だという。


 この状況であるならば……


「前者しかいねーな!!絶対誰かが会談を邪魔しようとしているよな」

「こういうのに限ってめんどうくさいことこの上ないなぁ」

「帝国側か、王国側の誰かかな?」

「あー、こっちの国だと戦争がしたいとか言いまくる馬鹿坊ちゃんもいるからな」

「そっちはそっちで苦労しているのか。王国でも売られた喧嘩なら買ってしまえと言うようなやつがいたという話があるよ」

「なるほどなるほど……」

「「「「互いに大変なんだよなぁ……」」」」



 ……何でだろう、会談場所よりも両国の護衛の仲が深まっているような気がする。


 王国側の護衛としてカグヤはこの場にいるのだが、一応他にも騎士団とかがいたりしてその者たちも護衛として働いている。


 帝国側からも似たような組織が護衛としてきており、互いに王に仕える身。


 どうやらそれぞれのトップが苦労性で、その配下に馬鹿がいたりするのが共通しているようで、どこか親近感を覚えたのであろう。




「護衛たちだけで十分な平和的な話になっているな」

『こういうのもあるんですね……なんか昔逆にごたごたしあって潰れた国とかは知っていますけど、ある意味新鮮な光景ですよ』



 互いに立派な主でもあり、苦労性な主を持つ護衛たちからしてみれば、親近感を覚えて親しみがわいたのだろう。


 この光景を見て、本当に王国と帝国は戦争になるような事態になるのかと、カグヤは疑問に思うのであった。



『あ、カグヤ様。前方右数十メートル先から何か漂っているようです。おそらく何者かが用意したモンスターを引き寄せる薬かと』

「そこに設置したやつがいれば拷問直行コースにできるんだけどなぁ……いちいちめんどくさいんだよ!!『千本(サウザンド)水針ウォータニードル』!!」


「グガァァァァァァ!?」

「ピギャァァァア!?」


 ちまちまとしつこいモンスターの群れにカグヤはいら立ってきて、ついつい魔法を使って一掃した。


 「魔拳闘士の才能」にここ最近頼りがちだったので、たまには魔法関連という事で「賢者の才能」の活用をしている。


 努力で伸びる代物なので、たまにはこうやって魔法を撃つのも悪くはない。


 


 空中に出来た水の塊から無数の鋭くて大きな針が強襲してくるという物凄く物騒な光景が生まれており。王国側や帝国側の護衛たちがそのすさまじさにドン引きしていたが……



 まぁ、何か目的があって狙ってきている相手がいたとしたら、この光景を見せるだけでも十分な牽制にはなるだろうなとカグヤは思うのであった。


「でも、母上に比べるとやっぱり威力は劣るよな……」

『もうあの人とんでもない奴になりますからね。努力はしていたのでしょうけれども、何処をどうすればたった一本の水の針だけでも、火山を沈下できるほどの威力になるのでしょうか……私でも無理ですよ』


 前世大魔法使いと言っているアンナだが、やはりカグヤの母の魔法の威力には驚かされるらしい。


 というか、あの人に出来ないことなんてないのではなかろうか?シグマ家最強母である。


 

「あれだけの実力だと、この状況をリアルタイムで確認していても不思議ではないな……」

『怖いですねそれ。でも一応可能な魔法はあるはずですし、もしかしたら……」


 

 そう考えてから……カグヤとアンナはなんとなく感じた悪寒によって、そのことを考えるのを止めたのであった。


 世の中には知らないほうが良いこともある。


 例え身内でも、相手によってはものすごい脅威となりうることがあるのだから……


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDEカイザリア



(ふむ、なかなかいい話ができているな)


 会談中、皇帝カイザリアは目の前にいる王国から来たミルルとの会話で、今のところ両国にとって有意義な話ができているように感じ取れた。


 帝国の事情や、王国の事情も話し合い、互いに理解をしあえて貿易や援助の話などが良い感じにまとまってきたのである。


 さすがに計算なども含めて考える時間も必要であるため、夕方ごろには一時的に中断され、1日休んでの会談再開という事を互いに決めた。


 この1日の休みの間にカイザリアは、弟の忘れ形見でもある娘に会うことになっている。


 外部に漏れないように情報統制はしており、その事をカイザリアは密かに楽しみにしていた。



 昔は仲が良かった弟。


 けれども、ある時を先に人が変わってしまい、最終的には処刑されることになったあわれな者。



 その弟が残したという娘を、出来れば皇族の血縁者として生活の援助をしたくも思えたのである。


 その母親……弟を狂わせたサキュバスの娘でもあるが、そんなことは関係ない。


 叔父という立場になるのだろうが、その事に関してもしっかりと支えたいように思っていたのである。



……あと、ついでにある光景を見て絶対戦争は回避したいという思いもカイザリアの中には生まれていた。


 その光景とは……




「こ、これはすさまじいな……」


 思わず息をのむような、壮絶な光景。


 会談の最中に、何者かが仕掛けたそうで、ゴブリンなどのモンスターが大量に来ていたそうである。


 けれども、護衛の者たちによって一掃されて無事だから良いとはいえ……その一部の光景が桁違いであった。




 無数の水魔法による針でぶっ刺されまくっているゴブリンの群れ。


 頭が吹き飛ばされたモンスターの死骸。


 その他魔法なども使用されたのか、凄惨な光景を、カイザリアは古城の窓からちらりと見えてしまい、ひやりと汗を流した。


 部下によると、王国側からの護衛の中にシグマ家の三男が混じっていて、この光景を生み出したのはその者がぶっ放した魔法の一部らしい。



 シグマ家についての話は帝国でも知られており、いわくとんでもない災害のような家だとか。


 戦争に関しては表立って積極的に関わってくることもないそうだが、一度敵対すれば徹底的に潰しにかかる恐怖の象徴とまでされているらしい。



 その事も考えて、戦争には絶対ならないように全力を尽くそうと改めてカイザリアは心に誓った。



……だが、カイザリアは賢帝とも呼ばれており、その光景がたった一人の者が起こしたのだと理解はしていたのだが、別の愚かな者たちからしてみれば、何かズルをしたのではないかと思っていただろう。


 人の中には、信じられないようなことであるならば、己の都合のいいように解釈し直す者たちがいる。


 

 そのような者たちがいるからこそ、気が付いたときには相応代償が支払われることになる……



カグヤの才能って「大剣豪の才能」とかもあるんだよね。なんか忘れがちになるんだよなぁ。

そして護衛の皆さん、親近感を抱くのは互いの主が苦労していることが多いからでしょうか?

王国、帝国共に民からの支持は厚そうである(心配しているというのもあるが……)


さてと、ドーン!!っと何かが起こる前に、せっかくだから読者サービス回のような話を入れておきますかね。あらかじめ気持ちをあげておけば、シリアスな雰囲気になったとしても、なんとかなる……はずかな?多分。

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