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#58

制限なしならいいけど、制限ありだからなぁ


SIDEカグヤ


『なんで俺が実況に参加させられるのかなセバスクンさん』

『あの動きの解説が出来そうなのが、カグヤさんしかいないような気がしますし、校長はほら……』



 セバスクンさんの指の先を見たカグヤは、校長「だった」物を見て苦笑いを浮かべるしかなかった。



 現在、アンナとリースの決闘の最中なのだが、その流れ弾がなぜか(・・・)すべて校長へ直撃。


 原因は解説の途中で「なんかもう少しで見える」とか「もうちょっとだけ揺れれば」などと言っていたことか、セクハラによる標的にされたのだろうと推測される。


 なので同情の余地なし。何で校長としているのかが疑問だが、あれでも一応能力はあるらしい。ただちょっとだけ残念な人というだけで……


 とにもかくにも、校長がズタボロで実況できない状態になったため、急きょ観戦していたアンナの主でもあるカグヤが実況席へと呼ばれて着席させられているのである。


『おーっと、アンナの魔法陣が30、いや40ほど展開された―!!あれは確実に連射特化の魔法です!!対するリースは……なんと!!魔法を纏わせた拳で全弾根性で叩き潰しているだとぅ!?連射に特化した魔法の分、威力が低くなっているからそこを突いた動きだぁぁぁ!!』

『カグヤさん……ノリノリですね。いっその事校長の座と司会の座についてくれませんかね?というかぜひともお願いしたいのですが』

『あ、それはお断りいたします』


 仕方がないので、とりあえず実況らしく解説をしたら、セバスクンさんからカグヤになんとな校長になっていただけないかとなぜかお願いされた。


 その座に興味がないのでお断りするカグヤ。


 本音を言えば、めんどくさい。



 そして、ぼろ雑巾のように放置されている校長を横目に、決闘は盛り上がりを見せていくのであった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDEアンナ&リース


『その程度の軽い魔法の連射ではやはりあまり意味ないですか!!』

「軽いとわかっていたのか?だったらまだ何かあるのか!!」

『ええ、ありますよ!!』


 魔法を打ち落とすリースに、アンナは答えて素早く魔法の用意をした。



『拡散から収束させての『炎の竜巻(ファイヤーストーム)』!!』


 炎と風の魔法を合わせ、天井をも焼き尽くすかのような炎の竜巻が現れる。


「うわっ!?もう殺す気満々じゃないかー!!」


 勢い良く迫ってくる炎の竜巻を、リースは間一髪で避ける。


『殺すほどの火力はないですよ!!温度も低く設定していますし、せいぜい全身日焼けの3倍は痛いやけどをする程度です!!』

「それ普通にあぶないだろ!!」

『殺傷能力を押させないといけないですもん!!命のあるなしに関わらなければ決着はすでについています!!』

「最初から生かす気ないなそれ!?」

『うるさいですよ!!「空気光線エアーレーザー」!!』


 圧縮された濃密な空気の塊が勢いよく発射され、無色透明だがギリギリのところで直感的にリースは回避した。




……この決闘、今のところ互に決定的な一撃が入っていない。


 アンナは魔法主体の遠距離攻撃。ただし、決闘の制限によって殺傷能力を低くするために魔法全ての威力を抑えているハンデがある。


 一応、カグヤの母親であり、ぶっちゃけシグマ家最強じゃないかと言える人とボロボロになりながらも相手ができるので、全力であるならば存在消滅ぐらいは……



 一方、リースは「魔拳闘士の才能」を活かした近接戦闘。ただし、決闘の制限から死なない程度の威力のものしか攻撃には使えず、防御時は制限をしていないが、中々アンナに近寄って攻撃ができない。


 工夫を凝らし、カグヤとの決闘の時の教訓と努力で編み出した技も使用しているのだが、中々それがダメージとはならない。



 互いの攻撃スタイルが対極的な上に、決闘の制限が掛かっているため威力の低いモノしかできない。




 威力を抑えていることは、数分程度ならいいのだが、長時間になると少しづつ全力で行けない不満がたまり始め、互いにだんだんイライラしてくる。




(こうなったら、一撃でも貰う事覚悟で一気に攻めるしかない!!)

(こうなったら、決定打が来る前にギリギリまで惹きつけるのみ!)


「『いざ、勝負!!』」


 互いに同様の次の一手で決める決意をして、アンナは魔法の集中と狙いを定め、リースはアンナに向かって駆けだす。


 

 魔法を喰らう前にリースが攻撃できるか、それともギリギリまで惹きつけて至近距離から魔法をアンナが放てるか。



 その一手に、観客が注目し、互いに接近しあったまさにその時であった。




……ビキッ



『!?』


 一瞬、舞台の何もない場所にひびが入ったのをカグヤは見た。


 そして、その様子から直感的に何かを、一種の虫の知らせのような物をカグヤは感じ取った。


『アンナ!!リース!!いったん舞台から離れろーーーーーー!!』


「『へ?』」


 カグヤの叫びに、アンナとリースが互いに攻撃を仕掛けようとしていたところで体を止めた時であった。




ドッカァァァァァァァァァァァァァァァァアン!!



 ひびが入った個所から爆発し、舞台の破片が散乱。


 突然の舞台の爆発に、周囲は騒然とするのであった……

見計らったかのようなタイミングでの舞台の爆発。

果たして、アンナとリースは無事なのだろうか。

そして、なぜいきなりそのことが起きたのか……

次回に続く!!

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