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#49

恐らく予想はできていると

 それは良く晴れた日であった。


 いつものように寮から学校へカグヤは向かっていたのだが…



「…アンナ、この状況はどういうことなのだろうか」

『いや私に言われても・・・・ガイド役として言うのもなんですけどこの状況は予想外です』


 カグヤとアンナは互にこの状況をどう理解したものかと悩んだ。


 なぜなら現在の状況は‥周囲が火炎龍(ファイヤードラゴン)の群れで囲まれており、よく見ればその中に前に襲撃してきた火炎龍(ファイヤードラゴン)が、燃え尽きた真っ白の状態で一緒にいた。




《グゴォゥ…いきなりですまない人の子よ》


 と、周囲を囲む火炎龍(ファイヤードラゴン)の中で、一番体が大きなものが前に出てきて話しかけてきた。


 いや、声に出してというよりも心に直接伝えてきている感じである。


『長い時を生きてきたモンスターの中には、人の言葉を話せるような者が居るのは知っているのですが…テレパシーでとはこれまた珍しいパターンですね』


 どういったものか、アンナは直ぐに理解できたようだ。



「えっと、どういったご用件で?そこにいる真っ白に燃え尽きたやつの集団での敵討ちとか?」

《いやいやいやいや!!違う、違うのじゃよ!!》


 圧迫感あふれる状況だが、カグヤとしては訓練での母の威圧感の方が怖ろしかったため、この程度では特にひるむことなくただ理由が知りたいから尋ねたつもりだが…物凄く焦った声に変った。




 焦っているというよりも、ビビっているような一番でかい火炎龍(ファイヤードラゴン)


 気を取り直して、話しを続けることにした。


《先日は、この馬鹿者が迷惑をかけてすまなかったのじゃよ》


 そういうと、燃え尽きているやつを地面にたたきつけてひれふせさせた。




…いや、そこまでダイナミック土下座のようなことをさせなくても。


 そしてあんたら体がでかいから大惨事になりかねんからな?



「いえ、別に気にしたようなことではないですよ」

『カグヤ様はその後いやいや表彰式をさせられましたけどね』


 と、カグヤが話したすぐ後に、本の姿から人の姿にアンナが姿を変えてそう言った。


『というか、今更何の用ですか?あれからすでに1週間以上は経っていますし、謝るまで遅くないですか?』

《ぐぅっ…痛いところを。だがお主たちの言う通り遅くて申し訳ないとは思っておるのじゃよ。そして、こちらの情報から聞くに、この馬鹿者を倒したお主じゃがシグマ家の者と聞く。過去にほぼ壊滅にさせられたことがある故に、お主に危害を加えたことで今度は全滅の恐れがると思って、滅ぼされぬようにそれ相応の対価を用意するに時間がかかってしまったのじゃ!!》


 物凄く申し訳なさそうに、そしておびえているかのように涙を流すでかい火炎龍(ファイヤードラゴン)



…シグマ家の言葉が出たけどさ、過去に何があったんだよ。


『あー…あれじゃないですかね?過去にドラゴンをぶっ倒しまくったツンデレ疑惑のある人の話。あれが本当だったという事なのでは?』

「ああ、それか」


 アンナの言葉にカグヤは納得した。




 そして本当に何をしているんだ過去のシグマ家の人。でかい火炎龍(ファイヤードラゴン)が当時の事を思い出したのか、物凄く青ざめて赤い体と相まって紫になってきているぞ。



《…っと、それでじゃ。どうにかお詫びのモノを出すから、滅ぼすことだけはどうにかしてやめてほしいのじゃよ!!頼む!!》


 物凄い必死そうな声を出して、懇願するような目で見てくるでかい火炎龍(ファイヤードラゴン)と、その他の周囲に囲っていた火炎龍(ファイヤードラゴン)たち。



 どうやら、今回のその襲撃で滅ぼされると思っての行為らしい。



「いやそう言われても、そもそも滅ぼすようなつもりもないんだが…」

《それでも不安になったんじゃ!!》

「そして私がその防止策の生贄になったのヨ」


「ん?」



 ふと、聞きなれない声が聞こえたので見てみれば、その方向には・・・・女の子がいた。


 見た目はカグヤたちと同年代ぐらいであり、真紅の髪色に瞳、来ている服も赤色尽くし。


 そしてなんとなくその気配からわかったのだが…火炎龍(ファイヤードラゴン)



「えっと、もしかしてそのお詫びの『モノ』って『者』って意味で、その者というのは…」

《そう、今回の馬鹿者の唯一の娘をお主の妾もしくは愛人でどうかと!!これでどうにか事を穏便に納めてほしいのじゃよ!!》


 そう悲痛な叫びをあげるでかい火炎龍(ファイヤードラゴン)




…過去のシグマ家の者にやられた経験から、今度は滅亡の可能性を恐れて一族の者を贄に出したようである。


 そのことに、カグヤとアンナはあっけにとられるのであった。

何処をどうしたらそんな結論に至ったのかとカグヤは叫びたい。

が、叫ぶ前に泣きながらその娘を差し出す火炎龍(ファイヤードラゴン)達の前では、言う機会を逃すのであった。


…あえて正妻とか言っていないのは、理由がきちんとあるんですよ。

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