#48
シグマ家の方でも工作中・・・・
SIDEカグヤ
・・・・突如として襲撃してきた火炎龍を、カグヤが撃退してから1週間が経過していた。
昨日、その功績に関するささやかな表彰式が行われたのだが・・・
「うん、ささやかなもので良かったと思う・・・・これで派手な奴だったら逃亡する自信はあったよ」
「国王陛下とその重臣たち数人、およびカグヤだけの小さな表彰式だったな」
『実家の方から少々介入があったようで、うかつに大規模にやるとよからぬ輩に目を付けられるからという配慮のおかげですね』
「それだけのためにわざわざ表彰式を縮小か・・・もったいねぇな。俺だったらもっともっともっと派手にやってもらいたいものだが・・」
「ベスタ、貴方分かっていませんわね?貴族としての厄介性は・・・力のあるモノ周囲に来ますから、その欲望の渦は恐ろしいのですわ」
食堂にて、いつものメンバーでカグヤたちは和気あいあいと話していた。
もうだいぶ固定されたメンバーではあるが、近寄らない人がいるところを見ると・・・近寄りがたい集団なのはカグヤでも自覚はあった。
ドラゴンを撃退した人物、その者に決闘を挑んたことのあるやつ、この国の第5王女、あとおまけがいるこのメンバーは・・・・まぁ近寄りにくいだろう。
「おい?なんか今さらりとけなされたような気がしたんだが・・・」
「気のせい気のせい」
ベスタが抗議の声を上げたが、まあ無視である。
そう言えばそれに、あのドラゴンの攻撃を防いだ魔女・・・魂魄獣もいるんだけど、その肝心の人は現在ニャン太郎と、ベスタの魂魄獣であるスライム型のスラべぇを手に抱えていた。
『ニャン太郎も良いですが、このスライムボディのぷにぷに感もいい感じですねぇ。肌にしっとりと繰る感じもありますし、パックにしてもよさそうです』
『ニャォォォォン・・』
『ピキ・・・ッ』
「なんだろう、魂魄獣同士の微笑ましい会話のはずなのになんかいかがわしく見えるんだが・・」
「あの本女が人の姿になって、その凶悪な武器で挟んでいるからだろう。というか僕の魂魄獣をまた窒息させる気かぁぁぁぁぁ!!」
「くそう!!スラべぇお前ばっかり良い目を見ていないか!?」
魂魄獣たちの様子に気が付いたリースがやめさせようとアンナに突っかかり、ベスタはというと己の魂魄獣が年頃の男の子としてはうらやましそうな状況に置かれていることを嫉妬していた。
・・・まぁ、リースの意見の方にカグヤは少々同意できたが。ベスタの意見?知らん。
だってどう見てもあの2体圧力でつぶされかけてないか?アンナは触り心地が良いからという理由でやっているんだろうけど、ニャン太郎は慣れてきたのかまだましな状態だとして、スラべぇが完全につぶれているしな。
心の中で、カグヤはニャン太郎とスラべぇの二体に合掌した時である。
「うぉぅ!?」
っと、いきなり何かカグヤは悪寒を感じた。
「どうしたんですの?いきなり変な声をあげて」
「今なんかすっごい悪寒が・・・・いやな予感というか、面倒ごとのような予感というか」
虫の知らせというのだろうか。
カグヤはその予感に、厄介事しか感じないのであった・・・・・・・・
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SIDE火炎龍の群れ
「よし、準備できたか」
「いい感じじゃないかな?少なくとも見た目はこれで大丈夫であろう」
とある火口付近で、火炎龍たちは自身の滅亡を避けるための打開策の最終調整に移っていた。
「知り合いのモンスターやバイヤーを通して、なんとか話はついた。衣服も用意できたし、後は決行日にきちんとできるかが勝負である」
「というか、意外と他種族につながりを持っていたんだな・・・」
「いやだって長が言っていたのは人間とのつながりを避ける事だろう?他とは禁止されていないし皆案外好き勝手やっていたんだよ」
「まさかのぅ、その抜け道を利用する者たちがいたとは・・・・まぁ、今回に限ってはいい方向へ向かったから良しとするのじゃ」
他の火炎龍たちの話から長は呆れるような、それでいて助かったような気もした。
「あとはその詳細な情報が正しければいいのじゃがな」
そして、長は振り返って準備を万全にした元火炎龍だった者の姿を見たのであった・・・・・
さてと、どうなることやら。
連休がもう少し続いてほしいなぁ・・・・




