#4
神父の反応がすごいような気がする。
この世界、魂魄獣の卵の授与の儀式として神父は体力が必要になるので、実は結構なるのが大変な職業でもあるのだ。
「さてと、明日この卵が生まれるのか・・・・」
屋敷に戻ったカグヤは卵を抱えながら、夕食をとり、風呂に入った後自室にて、教会で受け取った魂魄獣の卵を見てつぶやいた。
夕食時、一応両親と兄たちの魂魄獣を見せてもらった。
過去に見せてもらったことがあるけど、自分の魂魄獣の時の参考にしたいと言ってねだったんだよね。
そしたら皆見せてくれたよ。
父のアーデンベルトは、胸からでかいサーベルのようで、違うような形の剣を取り出した。
その魂魄獣は剣のような姿をした物質型のやつで、名前が「デュランダル」だとか。
よく見れば、柄の部分の装飾に目玉の様なのが見えるけど・・・・軽く怖いな。呪いの剣じゃないのかと言いたくなる。
母上ことテリアスは金槌の物質型魂魄獣。
「あれ?母上って魔法の才能が有りますよね。思いっきり物理攻撃用名な気が・・・・・」
「ふふふ、この『トーラン』は魔法が効かない相手の時に協力してもらうのよ」
「あっはっはっは、テリアスは魔法よりも物理攻撃の方が向いているようでな、その才能はないはずだったのに、当時挑んできた者たちの心をへし折るためによく振り下ろされたものだ」
母上がふふふと微笑み、父はしみじみと語る・・・・・うん、この家最強って確実に母上です。
というか、微笑みながら殴りつけたことから「微笑みの撲殺女帝」という二つ名がついたこともあるそうで、はっきり言って絶対逆らいたくないなと改めて思った。
因みに、長男のエリザベス兄さんはすり鉢の物質型魂魄獣『コギリーン』、次男のスイレン兄さんは枝切りばさみの物質型魂魄獣『デッドリーカットマン』だった。
何だろう、母上の後に見るとかなり安心できる。
でも、ぎょろりと目玉がどこかについているからちょっと怖い。
そしてそのネーミングセンスの基準が分からん。
寝室に戻り、俺の魂魄獣の卵を抱えて考える。
確実に神からのガイド役としてきそうだし・・・・・・うちの家系的に物質型魂魄獣が多いから多分本とか、もしくは石板のような奴な物質型魂魄獣になるような気がする。
いや、チート的としてスマートフォンとかのようなタブレット端末の様な魂魄獣になる可能性もあるな。
そっと卵をなでて見ると、温かみを感じる。
ほっとするような、安心できるような気持になりながら、そのまま俺は眠りにつくのであった・・・・・・。
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真夜中、カグヤの寝室にて窓から月光が静かに入り込む。
寝ているカグヤにもあたるが、熟睡しているしその程度では起きない。
・・・けれども、卵にあたった時、卵に変化が現れだした。
コツ・・・コツ・・・・・コツン・・
ひびが卵に入り始め、どんどん大きくなって中から割れようとする。
孵化が始まったのだ。
そのまま一晩かけて、カグヤの腕の中に抱かれている卵は割れていくのであった・・・・・・・
さてさて・・・・生まれる子はどんな魂魄獣の型だろうか。
チート的なのを考えているけど、やっぱ主人公よりも周囲の方が強烈なほうが面白いからね。




