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#47

・・・前半少々重いか?

本日2話目です

SIDE火炎龍(ファイヤードラゴン)


・・・・その火炎龍(ファイヤードラゴン)の群れは、とある洞窟の中に入っていた。


 人が絶対訪れることがない秘境であり、そしてとある別のモンスターが住んでいる場所である。

 

 その洞窟の主でもあるモンスターに彼らは交渉し、しばらくの間その者の実験材料を出来るだけかき集めることに協力するとして、とある秘薬を火炎龍(ファイヤードラゴン)たちは得ることに成功した。



「さてと・・・・無事にこの秘薬が手に入ったわけだが、誰が犠牲となって飲むかが問題じゃ」


 長が秘薬の入った彼ら並の大きさの樽を持って、そう告げた。


 効果が出るための必要量なのだが、その量を飲む時点で火炎龍(ファイヤードラゴン)たちでも死にそうな量である。


 そのうえ、確実に超激マズとも言われており、一部の味音痴を除いては誰も決して飲みたくはない薬であった。


 そしてその効果もまた・・・・・・



「この秘薬を飲めば今の我らの姿は強制的に変化し、二度と元の姿に戻れぬ。だが、どのような容姿になるかはその者の素質次第であり、最悪の場合、全身が腐り果てるというデメリットがあるそうじゃ」


 彼らが全滅しないためにも導き出した解決案の一つだが、犠牲が最も少なくて済むのだが・・・・・それ相応の対価となるようだった。



「だが・・・この案を成功させねば、第2の案でいかねばならなくなるのじゃ。そして、この秘薬を飲むのは・・・・」


 火炎龍(ファイヤードラゴン)の長はそういうと、まずは消火されて真っ白に燃え尽きた今回の元凶である火炎龍(ファイヤードラゴン)を見たが・・・


「ダメじゃな。お主にこれを飲ませるのもまた一つの罰ではあるが、認識を改めて改心したとはいえこれを飲んだところで失敗するのが目に見えておる。素質がものを言うのであり、今回の事を引き起こしたものが飲んでも・・・・その腐り果てるデメリットが出るオチじゃな」


 その言葉を聞き、燃えつきて真っ白になっている火炎龍(ファイヤードラゴン)は飲まなくてよかったというほっとした気持ちと、長の次の言葉を予想できて物凄く申し訳ない上に、一生この贖罪の気持ちが続くのかと後悔の気持ちが大きく占めた。


「ならば、今回この秘薬を飲むことになるのは・・・・・お主の子じゃな。家族にこの責任を回させるのは重いが、それがお主のやらかしたことの末路じゃと、生涯罪悪感にさいなまれるのもまた罰じゃ」


 長の言葉の後、出てきたのはその燃え尽きた火炎龍(ファイヤードラゴン)の・・・・唯一の子供であった。



 親とは違って、長の言葉をしっかりと理解しており、そしてこの火炎龍(ファイヤードラゴン)の群れの中にいる若い世代としては最もしっかりとした子であった。


 将来が有望であり、長としても次期長に出来るとしたら・・・・と考えていたが、それだけ重要なものでなければ、其の襲撃した対価にはならないだろうと考えていた。



「親の責任を子に取らせるというのも無責任じゃが・・・・その親が元凶である以上これ以上裁こうにもその者だけではダメであるという一致がある。罪というのは計り知れぬ者であり、これが失敗すれば我が一族が滅ぼされる可能性があるのだ・・・・・」


 そう言いながら涙を流す長に、その前に出てきた火炎龍(ファイヤードラゴン)はしっかりとした目で向き合った。


「けれども、それでどうにかなる可能性が高いのであれば、私が進んで犠牲になりましょう。一族の死を招くのは最も重い罪ですが、その責任を私が受け持つことで免れるのであれば本望です」

「くっ・・・それだけの覚悟をできるものを、犠牲にせねばならぬとなるのは・・・・惜しい事じゃのぅ」


 物凄く悲しい声を出す長に、親でも元凶でもある燃え尽きた火炎龍(ファイヤードラゴン)は今にも命を絶ちそうなほど落ち込み、周囲の他の火炎龍(ファイヤードラゴン)たちも、その犠牲をその者に背負わせることに対して深い悲しみを覚えていた。



 そして、その犠牲に選ばれた火炎龍(ファイヤードラゴン)は・・・・・その自分とほぼ同じ大きさの樽に入っている薬品を飲んでいくのであった・・・・・


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SIDEカグヤ



「面倒なことになったなぁ・・・」


 どこか遠い目をして、カグヤはつぶやいた。


 あの火炎龍(ファイヤードラゴン)の襲撃から3日が経過したのだが・・・



「他の生徒との距離が広がっていないかコレ?」

「力が強い者は恐れられもするが、お前の場合火炎龍(ファイヤードラゴン)を本来の用途とは違う戦闘向きではない様な魔法で、いともたやすく撃退したからな」

「あの魔法をああいう使い方して、それでいて撃退した時点でとんでもないからな?」

「お父様・・・国王陛下は今回の騒ぎの事で、ドラゴンを撃退したことに対する褒章やらを準備しているようですが、その準備にいがものすごく痛いと・・・・」

『カグヤ様が別に褒章いらないとか言っていますし、実家のシグマ家の方からは之を機会にカグヤを国に取り込もうとする動きを見せればぶっ飛ばすみたいなことを言っているようですからね』

『アンナ殿も防御魔法で功績が得られるのでありますが・・・その主であるカグヤ殿の方にその功績を譲り渡すようなことを言うからでありますよ』


 食堂にて、いつものメンバーでカグヤたちは集まっていたのだが、他の生徒たちから距離を置かれていた。


『政治利用の可能性、よくシグマ家やカグヤ様の力を理解していないバカな人たちが出る可能性、他国からの注目・・・・まぁ、色々ありますね』

「どうしてこうなったし・・・」

(((自己責任だと思う)))


 カグヤのそのつぶやきに対し、その場にいた全員がそう思ったのであった。

カグヤ自身としては目立ちたくなく、平穏な暮らしをしたいのだが・・・

想いと行動の見事なすれ違いである。

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「異世界道中魔物使い ~とりあえずのんびりしたい~」

Nコード N9262DY

http://ncode.syosetu.com/n9262dy/


魔物使いシリーズで新たな作品を投稿し始めました。よろしければどうぞ読んでみてください。現時点ではまだ話数が少ないですが・・・・

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