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#42

それぞれの動きって、その視点に立つと結構あるんだよね。

SIDEカグヤ


・・・・長いようで、短かったようにも感じ取れる夏休みの終わりが近づき、始業式のためにカグヤとその兄たちは始まる数日前に学校へ向け、家から出る馬車に乗って出発した。




『でも学校の始業式に間に合わせるためというのは建前ですよね?」

「その通り」

「いやまぁねぇ」

「本音を言うなれば・・・・・」


「「「あの訓練ばかりの毎日がマジできついからさっさと逃亡したかった」」」


『・・・・仲がいいですよね。同意はしますけど』


 エリザベス、スイレン、カグヤの兄弟そろっての本音に対して、アンナは納得と同意の声を出したのであった。



 何しろ、ギリギリまで家に居ようものなら確実にその分の訓練が母と父から課されるのが目に見えているからであろう。


 特に、カグヤより年上である兄たちはそれも理解しているためにこうして弟であるカグヤとも一緒に一時的な学校への逃亡という事を説明して、全員納得しているのであった。



「母上とアンナの魔法の雨あられはきつかったなぁ・・・・」

「父さんの無茶苦茶な、それでいて強すぎる剣術を相手にさせられるのもねぇ」

「いや本当に毎年何で生き残れるのかが自分でも不思議だよ」


『そしてそのせいで常識を忘れそうになるんですよね?』

「「「まさにその通り!!」」」



 貴族家である以上、当主争いとかが起きそうなものだが、カグヤたち三人には特にこれと言った欲がない。


 そして、父や母からの訓練の辛さを分かち合っているだけに兄弟仲は良好であった。



 一人より二人、二人より三人と言った具合に一緒に苦労を分かち合う相手がいれば、自然と関係が良くなるのは世界の摂理なのだろうか・・・・・



 アンナはアンナで、カグヤの母に夏休み中に魔法の相手をさせられて毎回ボロボロになった分、カグヤたちの気持ちが深く理解できているのであった。




 なお、馬車の御者をしていたシグマ家の使用人も、その会話が聞こえてきた時に思わずうんうんと同意を示して頷いていたのは言うまでもない。


 シグマ家の訓練の厳しさは、使用人たちにもしっかりと浸透して分かち合えているようであった。




・・・・使用人に課されるシグマ家の者としての訓練は、実はカグヤたち以上に厳しいものだという事を、偶々自分でふと思って調べた結果知った事実をアンナは黙ったが。


 優れた主に対して、その下の者たちもさらに仕えるのにふさわしくなるようになろうと努力を怠っていないのである。というか、させられているのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEミルル


「ふぅ、もうすぐ学校がまた始まりますわね」

『宿題は終わっているでありますか?王族と言えども免除はないでありますよ』

「当然よ!!残り数日はあるのにもう全部終わったのよ!!」


 王城にて、第5王女であるミルルは自身の魂魄獣であるナイトマンに質問されて、自信満々に返答をしていた。



「それにしても、予定以上に早く終了したのが自分でも驚きね」

『そうでありますよね。確か最初の方に一日いくつやるかと決めて計算していたのでありますのに・・・・何かこの予定の空いた分の宿題忘れとかはないでありますよね?』

「どれもきちんとやっていて漏れがないのだけれども・・・・確かに何で予定より早く終わっているのかしら?」


 予め一日いくつやるかをきちんと計算してミルルは夏休みの宿題をこなしていた。


 だが、きちんと毎日変えることなくやっていただけなのに、予定より早く終わったことに彼女たちは疑問に終わった。



・・・・実際は、ミルルが宿題をしている最中にこっそり次やる予定の物を気が付かないように混ぜ、数日ほどは気楽に過ごせるような時間ができるようにというナイトマンの配慮の仕業であった。


 ミルルは物事を取り組む時に集中してしまうので、その熱心さゆえに気が付かなかっただけである。



 主の事を考え、それとなく気が付かれないように手助けできる策略も、ナイトマンは練る事が出来るのであった。



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SIDEリース


「もう宿題も終わり、そして夏も終わるか・・・・」


 屋敷の自室にて、リースはそうつぶやいた。


 自身の魂魄獣であるニャン太郎は、ただいまお昼寝中でありスヤスヤと寝ていた。


 その毛を触り、宿題をやっていて疲れた指を癒すかのようにモフモフモフモフッと触りまくるリース。


 こういう時ばかりは、自分の魂魄獣が獣型の白猫で良かったと心の底から思えたのであった。


 

 カグヤの魂魄獣であるアンナとはほとんど対立をするのだが、ニャン太郎の触り心地の良さは数少ない互いの意見の一致であろう。



 モフモフとニャン太郎を触りながら、もう間もなく始業式が始まる学校へ向かう用意をリースはこなす。


 宿題忘れがないようにきちんと確認し、見送りもしない家から馬車に乗っていくのであった・・・・・

夏も終わり秋へ・・・・と行きたいですけど、都合上次回はちょっとだけ年月を進めます。

流石に10歳の時期を重点的にするのもなかなか疲れるんですよね。

・・・ついでに、何かしらの出来事も起きるかな。

次回に続く!!


シグマ家の使用人たち・・・・元は暗殺者、諜報員、ハニートラップ、等々さまざまな職種についていた方々が付いていますけど、誰もがシグマ家に再就職をする前に比べると、はるかに全体的な能力が向上しております。

それだけ厳しい訓練も密かに受けているんだよね・・・・でも、給料とかも見合っただけの分が出ています。有給、産休、休日、などもあってそこそこ良い職場です。

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