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#40

それぞれの夏休みの様子


SIDEカグヤ&アンナ



アンナがカグヤの母に時々の戦闘を頼まれ、断れなくて絶望し・・・・数日経過した。


「今日は本の姿の状態か」

『はい・・・いやもう衣服がですね・・・』


 本の姿の状態でいるアンナだが、その姿でいる理由が衣服の枯渇だとか。



 元々、人の姿になっている際に着ている衣服は、彼女がイメージして魔法で作り上げた物や、購入して得た物になるらしい。


 魔法で衣服を作ることが可能であっても、それにも限度はある。


『考えて作るんですけど、ドッカンドッカンやられていたせいでそのイメージが安定しなくなったんですよね・・・いやもう服がどうしてもボロボロになってしまうんですよ。なので、その安定するまでの間は衣服を作れないので・・・』



 母上との戦闘で、毎度アンナはズタボロになってしまうのだとか。前世が大魔法使いとは言え、圧倒的な差があり過ぎるのだろうけど・・・・それを考えると母上ってどれだけ強いのかが気になるな。



 そして、ボロボロになってばかりいたら衣服のイメージがどうしてもボロボロになって来てしまい、イメージが安定するまでこうやって本の姿の状態のままでいるのだとか。


『衣服を買って着る事もできるのですが、今手持ちにないんですよね』

「というかその場合衣服どうなっているんだ?」

『なんかこう、カグヤ様の知識からわかりやすい例えで言うなればなんでも入る不思議なポケットの中に入れているようなものだという感じですかね』


 その例えはわかりやすいようなわかりにくいような。



『それに購入しようにもその・・・・サイズが』

「ああなるほど」


 なんか一瞬で口に出さなくてもわかったような気がした。


 アンナの人の姿・・・・魔女の妖艶な姿になった時には、その姿は色々と出ているところは出て、出ないところは出ないという体形なのである。


 ボン!キュッ!!ボン!!みたいな言い方があっているのだろうか?



『大体最後にバストを測定したときだって9じ・・・ゲフンゲフン、とにもかくにもなかなかこれと言ったのがないんですよね』

「言われてみれば、アンナと服の買い物に行ったことがないよな」


 アンナが魂魄獣になって以来ずっと一緒なのだが、よくよく考えてみれば彼女の衣服の購入なんてことはしたことがなかった。


 というか、今さらりと何か発言しかけなかった?



「・・・よし、だったら領地内に確か衣服の専門店があったはずだし、そこに買いに行ってみようか」

『今日は確か訓練は都合上お休みですからね。当主付き添いの何かしらでカグヤ様の(シグマ家で)お母様(一番やばい人)方は外出しますからね』

「そうらしいけど・・・ん?今なんか妙な言葉が一緒になって聞こえてきたような気がするんだが」


 もうアンナの中ではトップクラスにやばい人として位置づけられているのだろうか。


 今世の自分の母親とはいえ、間違っていないのが複雑である。




 とにもかくにも、シグマ家の領内にある衣服の店へカグヤたちは向かうことにした。


 外出することを先に兄たちに伝えておいて、屋敷の外へカグヤたちは出る。


 買い物のためにお金は小遣いから出しておくとして、後はそこまで向かうだけだ。



「領地内の・・・歩いて15分ほどでつく場所にあったかな?」

『そう言うのはきちんと覚えているのですね』

「一応、領内の様子とかをきちんと把握しておくのが貴族の常識らしいからね・・・ま、万が一迷ったらナビゲーションを頼むよ」

『自信ないのですか?』

「うん」



 だって久しぶりに領内に戻ってきたわけだし、いなかった間に変化があってもおかしくはないからね。



 とにもかくにも、アンナの予備の衣服の為にもカグヤたちは服屋へと向かうのであった。


「ん?あれ衣服だけなのか?下着とかは・・・・」

『カグヤ様、デリカシーって言葉を知っていますかね?』


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SIDEミルル&ナイトマン


『ほあっつ!!せやぁ!!でおえぇえぇぇやぁぁ!!であります!!』

「・・・いちいち気合いを入れて叫びますわね」

『こうしたほうがなんか力を入れやすいんでありますよ!』


 王城の庭にて、自己研鑽に励むナイトマンを見ながらミルルがつぶやくと、速攻で返答が来た。


「はぁっ、夏休みの宿題が多いのが辛いですわねぇ」

『王族だからって無しにしないでありますからな。公平平等と学校でされているでありますよ。まぁ、一応ある程度の身分差に対する敬意とかも暗黙の了解でありますがなぁ』


 夏休みの宿題の多さにミルルは疲れて、こうして適当にナイトマンを眺めていたが、今一つつまらない。


 というか、鎧だけの身体故に汗をかかないのは何処かうらやましくも感じた。


「・・・ふと思ったんだけどねナイトマン」

『ん?いかがされましたでありますか?』

「あなたって鎧だけの物質型魂魄獣よね。その鎧だけの身体でどうして声が聞こえるのかなーって思ったのですわ」

『・・・・いや、それ我輩にもさっぱり。でもなんかこう自然と声が出るのでありますよ』


 見ていると何気に疑問に思う事・・・・物質型魂魄獣の発音の謎である。


 鳴き声をあげたり、ナイトマンのように会話が可能なのが居たりもするのだが・・・・そもそも口がないのにどうやって声を出せているのか。


「そういえば、カグヤの魂魄獣のアンナさんも本の姿の時でも声が聞こえたですわね。あれってどこから出しているのでしょうか?」

『うーん、わからないでありますな。我輩たちの様な魂魄獣は、神の元から主へ送られる存在だというのははっきりしているのでありますが、そう言う疑問をもたれると回答に困るでありますよ』


 ふと思いついた疑問だが、結構深いところにまでつながっているような気がミルルはした。


 けれども、追及するには経験が浅く、まだまだ時期尚早だとミルルは考えて、一旦この疑問を忘れることにしたのであった。



「・・・あれ?でもよく考えたら他にもアンナさんの衣服とかも謎ですわね。あれって人の姿になる時にきちんと衣服を着ていますけど、本の姿の時と連動はするのでしょうか?」

『おおぅ・・・王女様が深みにはまっているでありますよ・・・・』


 ぶつぶつと考えにのめり込むミルルを見て、どうしようかとナイトマンは悩むのであった。




リースの方は次回かな?

時間軸もそろそろちょっと進めようかと考え中。


・・・しかしまぁ、考えてみると魂魄獣って謎が多いんだよね。才能を目覚めさせ、一生そばにいるような存在だというところは確定だとして、それ以外のところではまだわかっていないこともあるんだよ。

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