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#36

斜め上を目指しました。

「・・・・なるほど、皆あの不審人物たちに襲われたという事か」

「僕の方は、油断し切っていた相手だったから楽だったよ」

「わたくしの場合は、すべてナイトマンが解決してくれたのですわ」


 衛兵たちが駐在している詰所にて、当初の予定とは違う形でカグヤたちは合流し、互いに情報交換していた。


 それぞれが襲われ、返り討ちにしてはいるのだが・・・



「しかし、リースを襲った相手は男として同情するのだけど・・・」

「それ言うならカグヤの方も大人数をそのようにしたというのも、相手が悲惨すぎますわね。手加減の実験台にしてますもの」

「僕としてはミルルの魂魄獣であるナイトマンの行為に関して言うかな。すべての関節を逆に曲げるって、どんな荒業を・・・」


 互いに退けた方法を聞き、それぞれの襲撃者たちをカグヤたちは哀れんだ。


 襲ってきた相手であるのだが、その末路を聞くと逆にものすごくあわれに思えたからである。



「とにもかくにも、今回のこれで尋問して見てさ、どうやら目的があって新入生たちから選んだ人たちを攫ているらしいんだよね。すでに十数人ほどとらわれているんだってさ」

「場所はわかっているのか?」

「まぁついでに聞き出せたんだけど・・・・手を下さなくても多分大丈夫じゃないか?」

「「え?」」

『だって、シグマ家の子息(・・・・・・・)であるカグヤ様を襲った相手ですからね。返り討ちに出来たとはいえ、明確な悪意を持って襲撃したのはわかるでしょうし・・・・』


 アンナのその言葉に、リースとミルルは何を言わんとしているのかを理解した。


「これは・・・・もう終わったと考えて良いのだろうか」

「多分そうですわよね。確実にもう終わっているでしょう」

「実家の恐ろしい評判を聞いていたけどさ、こういう時ばかりはシグマ家で良かったと思えるだよね・・・」


 もうすでに首謀者は人生を終えていると皆悟ったのであった・・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDE???


「なに?人が減っただと?」


 首都ヴァルガスにある建物の中で、その人物は聞かされた報告を聞き返していた。


 たぷんとした贅肉を揺らし、部下に向き直る。



「脅威となろう奴らをこうして攫ってきていたのですが、定時になっても戻ってこない者たちがいます」

「まさか裏切って逃げたとかか?」

「いえ、そのことだけはあり得ません。念のためにヴァルガスの人の出入りもチェックしていたのですが、誰一人として勝手に出ていった痕跡は見つからず・・」



「当たり前でございます。すべて撃退及び捕縛及び社会的な死を迎えてもらったのでございます」


「「誰だ!?」」


 突如として聞こえてきた声に、その人物と部下は声の方角を見た。



 すると、そこには先ほどまでいなかった人物がいた。


「先に今宵最後の挨拶なるでしょうから聞かせましょう。シグマ家(・・・)所属諜報部隊副隊長の・・・ああ、名前までは言わなくてもよろしいでしょうか?それだけでもう何を相手にしてしまったのかあなた方は十分理解できたようですからね」


 顔を蒼白にした二人の人物を前に、副隊長はにこやかな笑みを浮かべた。


「な・・・・なぜシグマ家の者がここにいる!?」

「え?だってあなた方が対象としていた攫う予定のものたちに、当主様の御子息であるカグヤ様がおられましたからね。すでに自力でぶっ倒しており、その成長にシグマ家に仕える者一同感涙にむせわびてますので。ですが、それでもやはりカグヤ様を狙ったという情報がこっそり見ております私共の耳に入りましたので・・・・」


 その言葉に、贅肉を揺らしていた男は目を見開き、驚愕する。


 そして部下の方に顔を向け、問いただすと・・・・・たかが子供と侮っていて、それでついでに捕獲するように判断されていたことが分かった。


 絶対に(・・・)シグマ家の者には(・・・・・・・・)手を出すな(・・・・・)という指示をしっかりとしておかなかったことにその場にいた贅肉男は物凄い後悔をした。


 もう、時すでに遅いのだが・・・・・・





・・・・その日、首都ヴァルガスで起きていた生徒誘拐事件は攫われた生徒たちは何事もなかったかのように皆無事に戻って来た。


 そして後日、とある怪しい宗教団体とつながっていたという貴族家がいくつか貴族籍剥奪という処分が下された。


 それを耳にした時、カグヤは改めてシグマ家の情報網の恐ろしさに戦慄したのであった・・・・・。


 実家怖い。目立たなくて済んで、実家がすべて終わらせたけど・・・・あまりにも手際が良すぎて怖いよ。

・・・そもそも襲撃者たちを手加減の実験台と言って大勢ぶっ倒している時点で目立ちそうなものである。

まあ、その惨状に衛兵たちが改めてシグマ家に対する畏怖を強めてもいたが・・・・・


カグヤの周囲にはね、一応シグマ家から様子を見守るために密かに諜報部隊が派遣されているんですよ。

ついでに長男、次男も同様だけど、誰一人気がつかないレベルである。

・・・・何せシグマ家に忍び込んだ諜報員とか、他国の凄腕スパイなども取り入れて編成していますからね。いいところ取りしまくってすごい状態ですよ。

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