#20
本日2話目!!
なかなか激しい感じに・・・・したかった。
決闘を受けることにしたその翌日、さっそく決闘場所と日付が決まり、その翌日に決闘が執り行われることになった。
・・・貴族の決闘、学校内でもたまに行われたりするものであり、きちんとその決闘用の場所が用意されている。
学校の体育館のその真下、地下の方に決闘場が設立されており、観客席も用意されて一大イベントの様なモノとしても執り行われるのだ。
もちろん、貴族の子息同士だけど、それでも公正であることを示すために審判もわざわざ王城から呼び出されるほどであり、どれだけ重要な事なのかわかるようにしている。
決闘を行う者同士の決めたことを先に公表し、きちんとその約束が執り行われるかどうかも大事なのだ。
決闘時の約束を反故にするようなやつには信頼ができないだろうし、守らなければ処罰もあるので、当然と言えば当然だろう。
地下の方にあるとはいえ、決闘場が使用されるさいには照明がつくようで、きちんと明るくなって見やすくなる。
天井が崩落するのを防ぐために様々な予防策も張り巡らされており、観客席の方の安全も保障されている。
「ドキドキするけどさ・・・・ここまで盛大にするのはどうなのかと思うんだよね」
『まあ、娯楽の一種の様な感じですよ。お祭り騒ぎのばか騒ぎと言った方が分かりやすいでしょう』
決闘用の舞台に上がると、向こう側からもリースが舞台に立った。
「ふっふっふっふ・・・この僕がどれだけすごいのかここで貴様に見せてあげるよカグヤ!!」
「あーうん、あの手袋で変化球を投げるのがすごかったけどね」
「そう!!あの自由自在の投げるフォームが・・・・ってちっがーう!!それは関係ないでみょん!!」
また噛んだよ。リースって感情が高ぶると舌噛むのかな。
そしてノリがいい。漫才を組めばかなりいところまで行けそうな気がするな。
『さて!!今年度そうそう、いきなりの決闘が始まるよぉぉぅ!!』
と、司会席の方から声が上がり、観客である生徒たちがわぁぁぁとざわめく。
この世界にもマイクはあるようで、きちんと声が全体に聞こえるようになっているのだ。
『司会はこの僕!!この学校の校長であるベルトラン・フォン・ベータですぅ!!』
『実況は、この校長のお目付け役である執事兼副校長として支えているセバスクンがお送りいたします』
『あれ!?セバスクン今なにげにさらっとひどい事言ってなかった!?』
『気のせいです』
・・・・なんか司会席の方でコントが行われているようである。
そして観客も全員思ったけど、あの実況の人確実に校長の事をけなしていたよね。
見れば、熟練の老紳士と言った印象の人が校長の横に並んでおり、あれがセバスクンで間違いないだろう。何かが惜しいような気がするけど。
『さてと!!決闘者の紹介をまずは適当に済ませます!!』
「「「「適当にかよ!!」」」」
この時、観客も決闘するカグヤたちも声をそろえてそう叫んだ。
うん、あの執事の人の気持ちが一瞬のうちによく分かったような気がする。
『今回決闘を申し込んだのは、ここ数日のその様子で付いたあだ名が「手袋怪人」ことリース・フォン・エルソード!!エルソード男爵家の唯一の子供であり、次期当主となるまるで氷の様な髪の色をした薄い青髪の少年だ―!!』
結構ひどいあだ名なような気がするけど、良いのかここで言っても?
髪の色が似ていたりとかして、だれがどうなのかわかりにくいことがあるから、その対策のために容姿の説明もしているようだ。
『対するは!!決闘を申し込まれたあのシグマ家の三男であるカグヤ・フォン・シグマ!!黒目黒髪の少年であり、ぶっちゃけ言って何でこんな騒動を起こしたのか小一時間ほど問い詰めたいけど、胃痛を起こしそうなのでやめておこう!』
うん、問い詰められたくはない。
そして、胃痛を起こすって・・・・・どれだけ恐れていたりするんだよ。
『さてと!!まずは今回の決闘の理由だが、入学試験時にカグヤ君のやらかしたことを見て、その後ろについていたリース君が実力を発揮できなかったという事が事の始まり!!そのリベンジもかねて、今ここに本気を見せるそうだ!!』
『決闘の際、互いに取り決めとしてカグヤ様側では「二度と決闘を仕掛けてこない様に」、リース様側では「とりあえず平謝り」という軽いものにされております。そして、この校長が気さくすぎることをここでお詫び申し上げます』
『さっきからセバスクンやっぱり罵倒していないかい!?』
とにもかくにも、ルール説明というか、今回の決闘のやり方が説明された。
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「今回の決闘方法」
・剣術、魔法、そして魂魄獣の3点で決闘をする。
・どれから行うのか、それは互いに決める事。
・命を奪うような行為以外ならほぼルール無用。ただし、やり過ぎには注意。
・魂魄獣同士で戦わせる際には、原則として魂魄獣の意思を尊重して行わせること。
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結構シンプルだが、「命を奪うような行為以外ならほぼルール無用」というところが厄介だろう。
もし互に悪意があれば、そこでギリギリまでいたぶるようなことが起きてもおかしくないからね。まあそんなことはしないが・・・・・
『さて!!まずはどれから行いましょうか!!』
「そうだな・・・決闘を仕掛けたのはこちらだし、カグヤ、お前のやりたいやつからやってもいい!!」
びしぃっと指をさして堂々言ったリース。
最近こいつ真性の阿保ではないだろかとちょっと疑いたくなってきたが、まあその言葉は飲みこんでっと。
「じゃぁ・・・まずは魂魄獣同士のからで」
『では!!まずは魂魄獣同士の戦いからです!!』
司会の方に伝わり、試合開始のための合図が用意される。
「アンナ、いけるか?」
『大丈夫ですね。相手があんなに可愛らしいネコだろうと私は手加減しません!!』
「ニャン太郎、行け!!」
『フニャン!!』
互いに魂魄獣を舞台に出し、光景としては・・・・・本がフヨフヨ浮いていて、その前には真っ白な川氏らしいネコが対峙している。
緊張感まったくないな。
『フニャァァァォォォォォ!!』
と、ニャン太郎が爪を出して、アンナにとびかかるが・・・・
『人バージョン!!』
アンナがそう叫ぶと、あっという間に本の姿から魔女の姿へと早変わり。
最初の時の本から上半身が飛び出ていたころに比べると、スムーズになおかつ素早く人の姿をとれるようになったものである。
『そしてネコにはこれです!!』
アンナが手を振りかざしたかと思うと、そこにポンポンっと何か小さな実のようなものができて、ニャン太郎めがけてなげた。
『フニャッツ!?』
さすがにいきなり人の姿になられた上に、なにか投げつけられるとは予想外で、ニャン太郎は硬直し、その謎の実が直撃し・・・
ポン!ポン!!ポポン!!
小さく破裂して、何か煙のようなモノがニャン太郎にかかる。
『ニャッツ!?・・・・・フニャ~ォォゥ』
すぐさま効果が出たようで、ニャン太郎があっという間にふらふらになって、その場に倒れた。
いや、酔っているようにも見えるが・・・・
『ふふん!!対ネコ専用魔法「マタタビ爆弾」です!!魂魄獣でもネコ科のようですから効果は抜群でした!!』
今使用したのは、ネコか相手に特化したマタタビを振りまくだけの魔法らしい。
でも、物凄く抜群だったようで、ニャン太郎は酔っぱらったかのようにその場にぐでぇんとしている。
「ニャン太郎ーーー!!」
リースが叫ぶも、ニャン太郎はぐでんぐでんに酔っぱらっていてもはや動けてすらいない。
そして、アンナはこれを待っていたかのようにニャン太郎を抱え込み、なで始める。
『ほーらほらほら、ここが良いですかぁ?』
『フナヤァ~、ゴロゴロ・・・』
のど元やらあちこちをこれでもかとアンナはニャン太郎をなでまくり、すっかり籠絡したようであった。
『おーっと!!これはまさかのニャン太郎戦闘不可能!!カグヤ君の魂魄獣が討ち取ったぁぁぁぁ!!しかし僕もあの豊満そうな胸に頭を載せてなでられてみたい!!』
『死んでませんけどね。そして最低ですよねそれ』
司会の方でもこの結果に驚くかのような声が出ているけど、そのある意味最低な言葉に、観客席の女子達は校長へ侮蔑の目線を向けた。
セバスクンの指摘はまさに同意である。
とにもかくにも、初回から速攻で勝利が手に入ったのであった。
・・・次は剣術と魔法だけど、アンナそろそろニャン太郎を解放してあげて。気に入ったのか撫で続けているよこの人。
『ほーれほれほれ』
『フミャアァァァァ・・・』
ニャン太郎、ここに昇天する(死んでないけど)。
校長どうしてこうなった?本当はこう、冷酷っぽい人を目指していたのに、なぜ作者の校長はどこか抜けていたり、はっちゃけたりしてしまうのだろうか。
そして実況役兼ツッコミ役のセバスクンの苦労もうかがえそうです。
次は剣術・魔法での決闘です!!