サイドストーリー:異世界転移クラスメート達 その2
本日2話目!!
このサブタイトルって合っているのかな?照代がメインな様な感じだし・・・・
・・・・薄暗い森の中、一人の少女が歩いていた。
彼女の名前は陽昼照代。メダールブタ王国から抜け出し、現在さまよっているうちに、いつの間にかこの森に迷い込んでしまったのである。
彼女の持つ能力で王国の実態を見て、何とか敵対しているような国へと逃げようとしているうちに、迷い込んでしまったこの森は、まるで照代をどこかへ導くかのように木々の間に道ができていた。
なんとなく誘われるかのように進んでいくと、とある一軒家を彼女は見つけた。
甘い香りが漂い、まるでお菓子の様な・・・・・いや。
「なんでお菓子の家が!?」
目の前に立つ一軒家が、童話にあるようなお菓子の家であったので、つい彼女はツッコミを入れて叫んだ。
けど、ここまで来るのに疲労しており、ぐぅと鳴らす腹の音には逆らえない。
一応、「真実の瞳」で見てみるが毒もないようで、「絶対状態異常無効」があるので害があったとしてもい大丈夫である。
恐る恐る、ビスケットで出来ているらしい壁を削って食べて見ると・・・・・・超・おいしい。
周囲に警戒をしつつも、照代は少し少し食べていく。
・・・・けれども、流石に甘いものを食べ続けると甘ったるくなってくる。
「・・・うぷ、もうやめておきましょう」
甘いものの食べ過ぎは、年頃の女の子の敵である。
それに、いつまでもこうしているわけにはいかない。
こういう森の中にぽつりとお菓子の家があるのは怪しすぎるし、こういうのにセットで連想できるのは人食いの魔女のような存在である。
・・・けれども、ここまでの疲労と、甘いものを食べて満たされた感覚から非常に物凄い眠気が彼女に襲った。
魔法によるものでもないし、「絶対状態異常無効」があるので眠り薬の類でもないだろう。
これは自然な生理現象であり、逃れられない圧倒的な眠気。
ふらつき、そして照代は自然と眠ったのであった・・・・・・・・・
「・・・・・う・・・ん?」
ふと照代が気がつくと、知らぬ天井があった。
まだ頭が寝起きでぼうっとしているものの、周囲を見渡してみる。
森の中で倒れて眠ったはずだが、どうやら今彼女がいるのは何処かの部屋の中。
寝ているのは暖かなベッドであり、ふわふわで気持ちがいい。
二度寝をうっかりしたくなったが、この状況に彼女は警戒した。
「・・・お、目覚めたのかい小娘や」
「・・!?」
いきなり声が聞こえたのでその方向を向くと・・・・明らかに人ではない存在がそこにいた。
顔は何かへんてこなお面をつけており見れないが、その頭の横からでっかい角が生えていた。
真実の瞳から読み取れるのは・・・・・・あのメダールブタ王国が勇者を呼んでぶっ倒そうと計画していた相手。
「・・・・魔王!?」
「おや、初見で見破るとはすごいね小娘」
驚く照代を前に、その当の魔王はけらららと笑いながらそう言うのであった。
・・・・とりあえず落ち着きまして、敵意はないようなので魔王の方から照代の名前と身の上話を聞き、そして、メダールブタ王国の愚行を聞くと魔王は頭を抱えた。
「なるほどねぇ・・・・何をやらかすのかと思いきや、とんでもない馬鹿をやらかすとは」
はぁっと頭を抱えているようだが・・・・・勇者とか言うチート能力の塊がいるのに対し、なぜか焦ることもない。
「それで私はその国から逃げてきたのですけど・・・・えっと、なんで魔王さんが私をここに?」
「ん?そりゃあの森は別荘だもの」
聞くと、照代が迷い込んでいた森はどうやら魔王の所有する別荘だったようである。
あのお菓子の家は・・・・・魔王がなんとなくあったらいつでも食べ放題でいいだろうなと思って作ったものだったらしく、別に誰が食べようとも無くならないようにできているのでそこはどうでもいいらしい。
そして、今日もこっそり魔王城での職務から抜け出して食べに来たところで、寝ている照代を見つけたのだとか。
「あんなところで小娘一人寝ているというのも変だったけど、このまま置いていくのもどうかと思って拾って来たのさ」
「って、ことはここって・・・・」
「そ、魔王城さ」
まさかの魔王城であった。いや、魔王がいるのと部屋の装飾とかが人のセンスではないようだったので照代も薄々気がついていたが。
「にしても、そのちぃとぅ能力の勇者だっけ?後召喚してきたその国が利益を狙って勇者をだましているようなというのもなんというか、愚かだねぇ」
「・・・あの、なんでそんなに余裕があるんですか?」
魔王の様子を見て、照代は不思議に思う。
照代自身が魔王の敵でもある可能性だってあるし、嘘だという可能性も考えているはずだ。
それなのに、魔王は真摯にその話を聞いて考えている。
「ああ、そもそも小娘の話が全部本当なのがわかるさ。この魔王城っていわば一つの特殊道具でね、この主である魔王にとって害をなそうとする存在なら、小娘を入れた瞬間に即消化してしまうのさ」
そう話す魔王に、照代は唖然とした。
いわばこの魔王城そのものが魔王にとっての絶対の守りであり、破損個所が有ったとしても魔王がいる限り修復され、半永久的に存在し続けるのだという。
それは、勇者のチートよりもチート過ぎると照代は思えた。
「まあ、半永久的・・・つまりは永遠じゃないのはね、そりゃ魔王だって生き物だから寿命がある。いつかは崩壊するのさ」
それが何千年後になるのかは不明だが、その為勇者たちなんて脅威に思っていな理由の一つらしい。
「ん?理由の『一つ』って・・・・まだあるんですか?」
「ああ、小娘の話を聞いて思うのだが・・・・そのちぃとぅ能力やらは勇者たちにあるんだろう?」
「はい、皆強力なものが多くて・・・」
「そこがポイントなのさ。小娘、あんたの場合はまだ器が合っていたから大丈夫なのだろう。こうやって自分の目で見て、確かめるだけあんたの心は広く大きく、割り切っていて偽善者ぶってもいない。けれどもね、そのちぃとぅ能力とやらはそれだけ大きな力であるのはわかる。そんなでかい力を、きちんとその器に収め切れるのかが重要なのさ」
そう魔王はけららと笑いながら言った。
・・・・・・・強大な力はその器にあった者が居るからこそきちんと定着する。
照代の場合、そのチート能力は控えめと言ってもいいモノであり、そして彼女自身難の偶然かそれに見合うだけの器があるらしい。
だが、そのほかの者たちはどうなのか。
あの愚かな国の国王たちに踊らされ、利用されるほどの器であり、自身のチートを逆に活かして過ごしてしまえと思うようなやつが多い。
中にはまともな方に力を使うやつもいるかもしれないが、それでも人の悪意というモノに消される可能性がある。
そんな者たちに、その強大なチート能力というモノが、その器に収まりきるのだろうか。
例えで考えるとするならば、力が水の様な感じだとして、その器がバケツのようにとらえられるのであればまだいい。
器に収まらぬのなら、あふれるだけでいいのだから。
しかし、バケツのような出ていくところがなく、その器がもし風船の様なモノだったらどうなのだろうか。
力を抑えきれず、限界が来たのであれば・・・・・・破裂してしまうのではないのだろうか。
魔王がそう言っているように照代は考えらえ、その勇者たちの末路を話されたようにも思えたのであった・・・・・・・・
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SIDEメダールブタ王国
一方、照代が魔王城にいる丁度その頃、勇者たちにはとある異変が起きていた。
「ううん?なんか最近妙に暑いような気がするな」
「はぁ?まだこの世界って夏じゃないらしいよ?」
「でも確かにこう・・・内側から燃え盛っているような気がするな」
「俺様達の魔王を倒さんとする心が暑く燃え盛っているだけじゃないか!!それだけやる気を持っているんだぜぇい!!」
勇者たちは感じていた。
なぜか自身の内側から燃え盛るような暑さを感じ、冷やせるような魔法を使える奴が試してみても効果がないことを。
まるで、あふれる力が逃げ出さんとして荒れ狂っているかのような・・・・・
・・・強すぎる力に代償はないのだろうか?
彼らがいる世界は、その代償をはっきりとさせる世界なのかもしれない。
世界によっては、常識も、その力も、法則も異なるだろうから・・・・・・・・・