#15
主人公の規格外なチート性能、改めてここで確認しよう。
・・・・筆記試験の後は実技試験だが、剣術と魔法の両方をカグヤは受けることにした。
「でも、カグヤ・フォン・シグマって書いたらなんかビビられたのだが」
『シグマの名前でしょうね・・・・多分』
うん、本当にシグマ家ってなんだろうか。
先に剣術の方が受けられる様なので、順番に並ぶ。
なお、もう筆記ではなく実技という事もあって皆魂魄獣たちを出した状態であった。
しかしまぁ、魂魄獣って本当にいろいろな姿があるな。
「統一感がないというか、ものの見事にバラバラだよな」
『その人に目覚める才能に役に立つ姿に近い状態で生まれるようですからね。剣術関係のなら剣みたいな、魔法関係なら杖みたいな感じですよ』
「母上は金槌だけど?」
『・・・・・・・まあ、規格外の例外ってことでしょう』
あ、答えられないから逃げたなアンナよ。同意はするけどな。
「次の方どうぞ!!」
と、気がついたらいつの間にか自分の番になっていた。
あくまで剣術を見るだけの試験なので、使う剣は木刀である。
そんでもって、相手の試験官はそこそこガタイのいいおっさんの様であった、
「お、次はお前さんか。その剣筋を見てやるからお手柔らかに頼むぞ」
「はいはいっと」
気さくな感じだけど、ちょっと油断できない感じだよね。
剣を構えて、合図を待つ。
「それでは開始!!」
・・・・キィン!!
「あれ?」
「「「「え」」」」
最初、周囲はよくわからなかった。
しかし、すぐにどういう状況になったのか理解ができた。
カグヤの姿が一瞬ブレたのと同時に素早く試験官の前に現れ、その手に持っていた木刀を弾き飛ばすのではなく、先端から斬り落としたのである。
使用されていたのは木刀であり、本来は斬るようなことはできない。
それなのに木刀で木刀が斬り落とされたという事は・・・・・・・・
(・・・・・もしかして、やばい感じかコレ?)
・・・周囲の反応と、いましがたやらかしたことに気がつくカグヤ。
父からの剣技を学んではいたが、流石にやばいかなと思いつつちょっとは加減していた。
けれど、そもそもその父と常人は差を予想以上に超えていたようで、加減していても・・・・・かなりの切れ味を木刀で出しちゃったようであった。
さすがにこれには、周囲も唖然。
そして、この時に改めてシグマ家の剣術の教育のすさまじさをカグヤは理解したのであった。
・・・・強くさせ過ぎだと。
いや、でもこれでも父には勝っていないからね?だとすればあの父はどれだけの・・・・・
周囲の反応が驚きで染まったが、カグヤの名前に「シグマ」が入っていることを聞いた試験官たちと他の人達はそれで納得した。
あのシグマ家の子供ならば、こんな芸当ぐらい当然だと。
「・・・・シグマ家って言葉だけで便利だな」
『いや、カグヤ様自身の才能と身体能力にも原因がありますからね?まあ、ぶっちゃけシグマ家とつくだけで簡単に舐め腐ったことをするような人は出ないでしょうガ・・・』
次は魔法の試験の方だけど・・・・・先ほどの剣術の件と、シグマ家という事で急きょ別の場所に案内された。
迂闊に普通の場所で魔法を使われては、やばい被害が出かねないためである。
「流石に次はまだ加減が楽だよ」
こちらは普通の魔法で良いようだし、まだ剣術よりは加減しやすい。
「魔法としては自分が得意な奴でか・・・・いや、別に殲滅級をぶっ放すわけじゃないけどね」
『さすがに試験でそれはふざけてますからね。というか、方向性がおかしいですって』
冷静なアンナのツッコミが入った。
「それでは、魔法を取りあえずはなってみてください。攻撃系統ならあちらの的です」
試験官が言うけど、さっきの剣術の方を聞いているからか冷や汗だらだらである。
うーん、どういうのが良いんだろうか。こういう的を狙うやつだとテンプレ的には・・いやいやいや、そんなことじゃなくて、この試験って攻撃魔法じゃなくてもいいんだったな。
「だったら・・・『花畑作成』!!」
この際、適当にこの魔法を使用した。
攻撃魔法じゃないし、こっちなら特に被害もない。
あと、見ている人の心にも優しそうな魔法である・・・・・はずだった。
ズバボボボボボボボボボボボ!!
魔法を使用した途端、一気に周囲に花が急速に生えてきて一斉に開花した。
その光景・・・・綺麗というよりちょっと怖い。
と、ここでふと俺は気がついた。「才能学習」によって、兄から「植物成長の才能」をもらっていたことを。
普段気にもしなかったけど、どうもその才能と今の魔法がマッチしたようで、相乗効果というか・・・・試験会場の床が一気に花畑へと変貌した。
その光景に、またもや唖然と驚く周囲の人達。
しかし、なぜ魔法で花畑をと皆が首をかしげたのだが、その中で「この平和ボケ」と暗に込めて言っているのだと解釈をする人が出たりした。
・・・・この日、カグヤのやらかしたことは、改めてシグマ家の規格外さを周囲に知らしめるのであった。
・・・なお、この花畑を生成する魔法はアンナがカグヤの特訓中に考えていた物を話していたことがあり、、その後カグヤが出来そうかなと思っていたのだが、まだ一度も試し打ちをしていなかったのである。
後に、綺麗な花畑としてこの首都の観光名所に加わったのだが、それはまた別のお話。