エピローグ
‥‥‥本編、最終回です。
約5か月間の連載でしたが、最後までご愛読お願いいたします。
‥‥‥かつて、この世界にはある一族が存在していた。
ある時、神が気まぐれで創った存在であり、そしてその世界を見守るための役割が与えられていたのだ。
世界の崩壊を防ぎ、秩序を守り、人を滅ぼさないようにするという役割によって、その一族は長い間その世界の影から見守り、時代によって姿を変え続けた。
神がその存在を忘れ、その世界から目を放した後も、ずっとずっとその世界を一族は支え続けた。
いつしか、その役割が一族からも忘れさられたが、陰から見守っていくというその事だけは、なぜか残り続け、権力を手にしても振りかざすことなく、ずっと世界を見守り続けたのである。
長い長い年月が流れて行き、そのうちシグマ家としてその一族は栄え、ある国に居座り続けつつ、その世界を見守るという役割だけは、形だけになっても深層心理で残っていた。
しかも、長い間存在し続けた影響か、いつしか神すら恐れるほどの力を有してきたのである。
‥‥‥ある時、神が干渉し、シグマ家にある男の子が生まれた。
その男は別世界の者であり、そして彼のそばに与えられた魂魄獣もまた同郷の者であった。
実はこの時、神はようやくシグマ家の存在を思い出し、しかもあることに気が付いてしまった。
『あ、やらかしたのじゃ』
生まれる際に、神はカグヤにある程度の力を与えていた。
けれども、その力に加えてシグマ家の力も混ざったようで、渡した才能のいくつかがそのぶつかり合いで消し飛び、代わりにカグヤ自身の力が増加してしまったのだ。
間違った方へ育てば、世界を滅ぼしかねないほどの力へと‥‥‥
幸いなことに、その魂魄獣を通してカグヤに指示をしたり、シグマ家の教育方針やカグヤの元々の性根などのおかげで間違った方へカグヤは育たず、むしろいい方向へと成長したおかげで新たにゼルビス家を立ち上げ、その知らせを知った時に神はほっとしたのであった。
それから神はカグヤを見守り続けた。
子が生まれ、孫が生まれ、世界を裏から掌握していき、色々とやらかしているような気もしなくはないが、それでも間違った道へカグヤが進むことはなかった。
歳月が経ち、カグヤの死が来た時には、彼は大勢の子供や孫に囲まれて大往生した。
そして、彼の魂魄獣であり、良き妻の一人であった者も一緒に寄り添って往生したのである。
…‥‥ゼルビス家はカグヤの死後も発展し続け、数々の伝説を歴史の裏に残していった。
ある国での万能薬の作成。
戦争が起きそうな国同士を諫め、そして裏から互に仲良くなれるようにして争いを消した。
傀儡になるような馬鹿を叱責し、そして再教育を施して賢王・賢帝と呼ばれるほどまでの高みに登らせた。
数々の種類のドラゴンたちを統括し、彼等だけの国を創り上げた。
各国を裏から掌握していき、世界の均衡を保ち続け、その功績の割には目立つようなことを避け、一族は栄え続ける。
再び新たに分家が生まれ、その分家がまた同じように活動していき、その世界はずっと滅びる様な事はなくなったのであった。
‥‥‥ゼルビス家が行っていったそれらの数々の功績に神は驚きつつ、その世界が滅びないようになったことを知ると喜んだ。
そして神は考える。
このような一族がいれば、滅びそうな世界も再生し、そして異なる世界であろうと、世界の崩壊を防いでいけるのではないかと。
ゼルビス家を見本にして、そのように行える魂を厳選し、世界が滅びないように慎重に送り出していき、数々の他の世界をゼルビス家のような一族に見守らせて、その結果崩壊が防がれた世界が多く出来た。
その結果に満足した後、ふと神はカグヤたちの魂がどうなったのか気になった。
彼の死後、再び神の前へ、魂の状態でやってきた二人に神は再び共になれるように転生をさせた。
そして神はその転生させた魂を探し、その状態を見た。
再びまた力を持って生まれ、そしてある国をカグヤだった者は栄えさせていた。
そしてその横には、前世だろうと今世だろうと来世だろうと、一生彼と共に歩んでいくことを決めた美しい女性がいたのであった‥‥‥
‥‥‥最後に少し、カグヤの死後のゼルビス家の妻たちの話とおまけ話を乗せる予定。それで完全にこの物語は完結いたします。
本編はここまでですが、最後のちょっとしたおまけ話をお待ちください。
次回…‥本当にこの物語の最終回。できればまだまだ終わらせたくはない作者です。でも、そろそろ新作を出すので‥‥‥




