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#147

段々年月が経つスピードが増えてきたなぁ

SIDEカグヤ


『一人が誘われ、また一人と寝ていく様子が可愛らしかったですね』

「スヤスヤ寝ていますわ」

「みんな一緒に良く寝ているよ」



‥‥‥月日は経ち、ミルル、アンナ、リースの順で子供たちは生まれ、今は皆スヤスヤとお昼寝中だった。


 ミルルの子供は男の子一人で名前はディラ。


 アンナの子供は性別が異なる双子で、人間の女の子として生まれたミリアと、種族が微妙に人間ではなくて、サキュバスの血があるのかちょっと女の子のような顔をしている男の子のアレン。


 そしてリースの子供はこちらはハーフサキュバスに近い女の子のアリアである。




「早く生まれて、こちらも混ざりたいナ」

「そっちももうすぐ生まれるから良いんじゃないか?」


 その様子を見てうらやましがるサラに、カグヤは励ましの声を送った。


 サラの子供はまだ生まれて‥‥‥と言うか、孵化していない。


 いや本当にさ、サラって人間の体をしているとはいえ、中身はドラゴンのままなのだとしっかり思い知らされた感じである。



 何しろ身ごもったかと思えば、すぐにバスケットボールよりも少し大きめの卵を彼女は産んだのだ。‥‥‥正直言って、かなりの難産だったような気がする。悲鳴と言うか、それを超えたなにかの声が出たぐらいだしなぁ‥‥‥


 そして今は、その卵の孵化のために彼女は抱えて四六時中ずっと温めているのである。割れないようにクッションを敷き詰め、うっかり転ばないようにもしつつ、時折卵を転がして中身が偏らないようにきちんと世話をするのだ。



「アンナ、もう本の姿にも戻れるようになっただろう?サラとの子供の場合、何が生まれるのかわからないか?」

『えっと、ちょっと待ってくださいね』


 こういう時に役に立つのが、出産後に本の姿に再びなれるようになって情報を検索できるアンナである。


 しかも、母となったことで何やらパワーアップして、より詳細な情報も収集できるようになったのだ。神からのお祝いメッセージも豪勢なものになっていたし。


『うーんっと、カグヤ様は人間、サラの場合は薬で人間の姿になったままの火炎龍(ファイヤードラゴン)ですので、この場合卵生で生まれる子供の種族としては‥‥‥ありゃ?意外なことに結構ありますね』

「結構ある?」

「何種類ぐらイ?」

『ドラグニュート、ハーフドラゴン、人間、龍人族、人龍族、ドラグニル、ヒューマンドラゴン、神龍、火炎龍(ファイヤードラゴン)・人間体もしくはドラゴン体、‥‥‥など、生まれるまではわかりませんけど、かなりバラバラですね』


‥‥‥思った以上に可能性が多かった。すごいなサラとの子供。将来性が期待できるような、逆に不安になってくるようなものばかりじゃないか。



 まぁ、まだまだ何が生まれるのかはわからないけど、それでもかわいい我が子であるのには間違いないとカグヤとサラはそう結論付けたのであった。



「っと、そう言えばふと思い出したけど子供が生まれるのは良いけどさ、ミルルとの子供の場合王位継承権が来る可能性もあるんだっけな」

「そうですわね。お父様たちがぜひともその方向でと、懇願してきていましたわよねぇ」


 思い出して苦笑するミルル。



 彼女のとの子供の場合、このバーステッド王国の王族の地を正統に引くので王族として扱う事も可能であり、王位継承権も低いとはいえ発生する場合があるのだ。


 こういう時って、普通王位継承権争いをしている国であれば邪魔者になる可能性はあるけど、この国の場合はむしろ大歓迎のようである。




 できれば、可能ならば、ぜひとも、絶対・・・・っと、少しづつ本音が強くでてきていた国王やミルルの兄妹、カグヤにとってはお義兄さんたちに当たる人たちが、ディラを王位継承権にいれるように物凄く懇願してきた様子を、カグヤたちは思い出して再度苦笑した。


 この国・・・・王族が王位継承権を押し付け合う珍しい国だからね。少しでも国王になれない可能性を高めるために一致団結してくるのであろう。


 まぁ、これから先まだまだ子が増える可能性もあるのですぐに王位継承権をディラに与えることはできないが、将来的なこの国の国王になる可能性を考えると、できるだけ綺麗な心で育ってほしいとカグヤは考える。


 雨にも負けず、風にも負けず、魔法や剣が襲い掛かっても負けず、山を吹き飛ばせるほど強くなってくれればそれはそれでいいかもしれないけど‥‥‥


『カグヤ様、それ後半がおかしくなっているんですが』


 なんとなく表情からカグヤの考えを読み取ったアンナは、苦笑しながらツッコミを入れるのであった。


‥‥‥一応、魔法で山をふっ飛ばすぐらいであれば、ある程度可能なアンナではあるのだが、そのあたりにツッコミを入れる要員はいないのであった。



―――――――――――――――――――――――――――――

SIDEシグマ家


 ちょうどその頃、シグマ家の屋敷ではカグヤの母のテリアスが、夫のアーデンベルトと共に、今度孫たちの顔を見に行こうと用意しているところだった。


「ふ~ん♪ふ~ん♪孫が出来るのは~♪親としてはものすごくうれしいわ~♪」


 鼻歌混じりのテリアスに、アーデンベルトも笑う。



 シグマ家の当主の座は現在アーデンベルトなのだが、もう次期当主を譲り渡すのだ。


「父上も母上もご機嫌だなぁ」


 その様子をみる長男のエリザベスもご機嫌であった。



 次期当主はエリザベス、その補佐として次男のスイレンが付くのだが、当主争いもせずに兄弟仲は良いのでこの決定に文句はない。


 しいて言うとすれば‥‥‥カグヤが先に子を得たことぐらいであろう。



 実はエリザベスもスイレンも、つい最近挙式したばかりであり、まだまだ甘い夫婦生活なのだが、やっぱり子が欲しいとも思っているのであった。



‥‥‥ちなみに、シグマ家の全体をきちんと二人とも把握しており、次期当主とその補佐としての自覚は誰よりもあり、そしてその中でうれしい時には来てほしくないような情報も入手しているのである。


「こういう時に限って、本当に面倒ごとを起こすところは起こすんだなぁ‥‥‥」

「ゼルビス家のフローリアさんの方からも連携して対処するような案が出ているけど‥‥‥やっておく?」

「そうだな。大体、神聖とかっていうけど、神々がいるとかどうとかは別にいいとして、それを免罪符にやらかしてこようとしたら…‥‥ま、ゴキッと逝かせよう」

「甘いわよ息子たち!」


「「は、母上?」」

「そういう時はね…‥‥今後の憂いを無くすためにも、心の底から、いや、魂そのものまで徹底的にやるほうが良いのよ。孫の方まで手を出そうと考えていたら‥‥‥生きているのが、いや死ぬのも、何をしようにも公開時すでに遅い状態にしてあげるのが良いのよ」

「「なるほど!」」


 テリアスのその言葉に、まだまだ自分たちは甘かったのかと改めて認識するエリザベスとスイレン。


 

‥‥‥ツッコミ要員がいないシグマ家は、今日も平和で、加減を知らなくなっていたのであった。

‥‥‥使用人一同、ツッコミ要員を求め中。

果たして、シグマ家にツッコミを入れる人が出てくれるのだろうか?

そして、年月は経っていき‥‥‥

次回に続く!!


‥‥‥もう少しだけ話は続くかな。しかし、誰かツッコミを入れないと暴走しそうで怖いなぁ。


「こっちのツッコミ要員誰だっけ?」

「アンナ(たまにボケ)、リースぐらいですわね」

『なんかさらりとボケ認定されていませんか!?』

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