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#146

新作考え中。

その合間に、短編としてこの物語の未来でもある婚約破棄物「ありきたりな婚約破棄?」を投稿してみたので、そちらに興味があればぜひ読んでみてください。

「‥‥‥あり得るのかな」



 結婚式から1年の月日がたったある日、カグヤはその結果に驚きつつ、疑問の声を上げる。


「やることをやっていれば出来るかもしれませんけど‥‥‥」

「魂魄獣がねぇ‥‥‥本女に先越されたぞ。なぁサラよ」

「ちょっと残念なのと、これはこれで良かったような気がすル」


 ミルル、リース、サラの3人の声もある中、アンナを診察していた医師は診断をはっきりと下した。


「はい、確かにあり得ないようなことでもありますが、ないわけではありません。世の中には何事も例外という事がるのです」

『‥‥‥その例外に、魂魄獣であるはずの私が‥‥‥妊娠したことですか』



 嬉しさと驚きの入り混じった表情で、アンナはそうつぶやいたのであった。



 そう、アンナがついにカグヤの子供を身ごもったのである。


 ついでに言うなれば、ミルルは3カ月目、リースとサラはまだなのである。




 

 忘れがちだが、アンナはカグヤの魂魄獣。


 魂魄獣は人の身になれるものは主と交わることができるとはいえ、基本的に生殖能力がなく、子をなすことはできないのだ。


 だがしかし、世の中には例外と言う言葉があり、そして今回その例外にアンナが当てはまったのであった。


 あくまで基本的、でもできる場合があるから例外と言わないような気がするような、わからないような。







 そもそも発覚したのは、アンナが本の姿になれないところからであった。


 アンナは本の姿を持つのだが、それができなくなったからである。


 体調不良‥‥と言うのかどうかはわからないため、念のために医者に診てもらって、そこから妊娠したことが分かったのであった。



『おそらくですけど、私自身無意識な防衛本能でしょうかね。本の姿になる際に、その体内に芽吹いた命までも本になれないからこそ、自然と本の姿になれなくなってしまったのでしょう』


 どうしてこうなったのかについて、妊娠が発覚してからアンナなりの仮説がたち、皆納得した。



『まぁ、本の姿になれないから不便という事も特にありませんし、今はこの新たな命を育てましょう!』


 にこやかに言いながら、お腹をさするアンナ。



 ここでふと、ちょっとした疑問が浮かんだ。


「なぁアンナ、アンナって分類的に言えば魂魄獣だけど、その体としてはハーフサキュバスだろ?リースもそうだが、子どもができた場合、その子はクォーターサキュバスとかになるのか?」

『ん~今はそのあたりの事を調べられないので何とも言えませんが、まぁそうとは限りませんね』


‥‥‥本の姿になれないから、すぐに情報が手に入れられないという弊害が早速発生したが、アンナの予想もある程度なら当たっているので信用はできるので問題はないだろう。



「というと?」

『そうですね‥‥‥減数分裂という言葉を知っているでしょうか?』


 減数分裂‥‥‥生物の授業等で聞くような、生殖細胞を作る際に行われる細胞分裂である。


 親の遺伝子の半分を受け継いだ生殖細胞を作るのだが…‥


―――――――――――――――――――

持っている遺伝子を、それぞれ

サキュバス:Aa

人間:Bb

と仮定する。この場合、人間の遺伝子の方を固定して同一と考える。

(また、普通はおかしいが、サキュバスの遺伝子が一つでもあればハーフと仮定する)

減数分裂をした場合。

生殖細胞はサキュバスだと、Aとaに。人間だとBとbに分かれる。


ハーフサキュバスの組み合わせ:AB,Ab,aB,ab(どれもサキュバスの遺伝子があるので皆ハーフ)

になるが、この次世代でまた人間と組み合わせた場合、その次世代の子供の遺伝子は


ハーフサキュバスがABの場合:AB,Ab,BB,Bb(ハーフ2体、人間2体の組み合わせ)

ハーフサキュバスがAbの場合:AB,Ab,bB,bb(ハーフ2体、人間2体の組み合わせ)

ハーフサキュバスがaBの場合:aB,ab,BB,Bb(ハーフ2体、人間2体の組み合わせ)

ハーフサキュバスがabの場合:aB,ab,ab,bb(ハーフ3体、人間2体の組み合わせ)

となる。


――――――――――――――――――――――――――――


『と、このようにサキュバスが優性のおかしいような感じでもありますけど、必ずしもハーフサキュバスの子供がサキュバスの遺伝子を持つとは限らず、人間として生まれる場合もあるのですよ』


‥‥‥アンナの説明に皆がうなずくが、生物の授業をもっとまじめに受けていたほうがより詳しく出来たかもしれないと、カグヤは少し思うのであった。




 何にせよ、子どもができたのはうれしいことである。


「今から名前を考えたほうが良いな…‥」

『それなら決めていますよ!!女の子ならミリア、男の子ならアレンです!!』


 ぐっと指を立て、にこやかにそういうアンナ。


 名前の悩みもなく、このまま何事もなくすくすくと成長してくれることを、今はただ祈るばかりであった‥‥‥




「‥‥‥にしても、こうなれば負けられないな」

「カグヤ様、早く私たちにも子宝ヲ‥‥‥」

「ちょっと二人とも、すっごい肉食獣のような目をしていて怖いんだが‥‥‥」


 そしてその祈りの合間に、カグヤは干からびさせられそうなピンチを迎えるのであった。

‥‥‥後日、無事にリースもサラも妊娠。

その横で、ぐったりしたカグヤの姿があったとか、無かったとか‥‥‥

次回に続く!!


今回のお話でそれっぽい感じの生物の話を出しましたが、あくまで例えで出したお話であり、おかしい箇所がいくつかあるでしょう(優性、劣勢、メンデルの法則、致死性遺伝子の可能性等)。御指摘でより良いものがあれば、それに変更したいと思います。

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