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閑話 ルシス&ネリス

お久し振りの兄妹です。

そう言えば、初期段階では本当はこの関係逆にしようかと思っていたんだっけか…‥‥マッキーナの事があったので、ネリスがルシスのような性格になると被るのでやめたけどね。

‥‥‥ラフター皇国、かつてはとある才能を持った悪女によって一度は滅茶苦茶にされた国であったが、今ではすっかり以前のように活気のある国へと戻り、その傷跡は癒えていた。



 以前と違う点としては、王の権力が消えうせ、民衆の声で動く民主制へと移行したところであろうか。


 また、ラフター皇国のトップであったその王を連ねていた一族も、王籍が抹消され、平民として生活していた。



 とはいっても、約2名はその平民としても特殊な立場にあったが。





‥‥‥現在、ルシスとネリスはラフター皇国のとある商会に勤めていた。


 一社員として働いているのだが、二人とも商才もしくは努力していたのか、結構出世しているのである。


 ただ、望めばまだまだ上に行けたのだが、おごる心を作りたくないのと、現場が好きだからと言う理由で二人とも下の地位の方についていたのであった。



 この商会はフライタルト商会。主な商品は日用品だが、二人のもつ奇抜なアイディアによって日々その利益は伸びているのだ。



 ネリスは兄であるルシスをゴキッ、バキッ、グシャッ、メキっと、おおよそ人体から出してはいけない音を出させている最中に思いつき、ルシスはナンパしているときに思いつくのだから、ある意味その時点で奇抜と言えば奇抜であろう。





ギリギリギリギリギリギリ‥‥‥


「‥‥‥なぁ、馬鹿兄貴。この仕事を3日で終わらせると言ったよな?」

「‥‥‥」


 圧倒的な重い圧力がその職場に立ち込め、恐怖のような気もするが、だいぶ慣れてきた職員たちはその行く末を見守っていた。


「でもなぁ、1週間もかけているし、そのオーバーした日にちに何をしていたんだ馬鹿兄貴?いや、わかっているよね」

「‥‥‥」



 にこやかな顔でも、その目の奥は笑っていないネリスは、己の兄でもあるルシスの顔面をお仕置きの才能で取り出したガントレットで綺麗なアイアンクローを決めて尋問していた。



「あ、あのネリスさん、その状態だとお兄さんがしゃべれないわよ…‥」

「すいません、確かにその通りでした」


 職場の同僚の女性職員の一人がネリスにそう言うと、はっとしたかのようにネリスは手を放し、今度はアイアンメイデンを取り出した。


「馬鹿兄貴、この中に入りたくなかったらその理由を正確に述べてね。このメイデンも日々改良を重ねて、引き抜く際に激痛が伴うようになっていたりとしているからね。これも妹として馬鹿兄貴を思う愛だよ」

「「「「「「それのどこに愛があるの!?」」」」」


 天使のような微笑みを魅せながら言ったネリスのその言葉に、思わず皆のツッコミがそろっていれられたのであった。


 なお、この後きちんとルシスはその中に入れられました。


 ちなみに、この後理由を吐いたルシスが、追撃という事でネリスの手によって激辛香辛料を溶かした油を鼻から飲まされたのは言うまでもなかった。








 今日の仕事を終え、定時になったので二人は帰路につくことにした。


 いつもはもう少し残業したりもするが、たまには定時通りに還ったりするのである。‥‥‥ルシスの回復待ちというのもあったが。


「ふぅ、それにしてもやっぱり王族としてではなく、こうやって働いているのはあたしの性に合っていいわぁ。やっぱりこういう生活こそ、日々生きているという感覚を思い起こさせてくれるんだよ」

「ミーとしては、何度かあの世の光景を見るたびに、生きているのが素晴らしいと思えるけどね」


 王族ではなくなったが、今の生活の方がむしろあっていると二人は感じていた。


 ネリスはやりがい、ルシスはナンパを主軸にしていたが…‥‥真面目と不真面目、でこぼこな兄妹でも仲はそこそこ良かった。たまにルシスが本当に絶命しかけるが。





「そういえばネリス、ミーたちの友人のカグヤの結婚式がそろそろあるようで、招待状が早めに来ていたけど、お祝いの品って何にしようかな?」


 ふと、思い出したかのようにルシスはそう言った。



「そうだねぇ‥‥‥馬鹿兄貴の貯金全部下ろしてその範囲内で買えるものにすればいいんじゃないかな?」

「ミーだけに絶大な負担をかけるつもり!?あ、でもよく考えたら今月はナンパで使って貯金がもうないんだっけか。あっはっはっはっ、ぐほうぉぇ!?」

「ほぅ、よく考えて金を使えと言っているのに学習しないのかなぁ、あたしの馬鹿な兄貴は?」

「ぎ、ギブギブ、首、締まって‥‥‥」

「大丈夫、ちょっと今日はあの世の探検に逝ってもらう程度に済ませるからね」


 その程度で済む済まない以前の問題のような気もしたが、ルシスはそう考える前に意識を失うのであった。




 ルシスとネリス、皇国でも平常運転であり、そのネリスがルシスに対してお仕置きすることが記録され、その内容を元に誰かが物語に書き直し、皇国内、いや世界中でなぜか大ヒットしたのであった‥‥‥



―――――――――――――――

SIDEカグヤ


「なぁ、これってあのルシスとネリスがモデルな様な気がするんだけど」

『このやり取りってあの兄妹しかなさそうですからね‥‥‥誰が書いているんですかこれ?まるでその情報を詳細に集めて、編集して、面白おかしくなっていますよ』


【ギクッ】



 ゼルビス地方にもその本が出版され、ヒット作となったのだが、その裏で面白半分でやってしまった精霊がバレるかバレないかドキドキしていたという‥‥‥



次回は新章‥‥‥か?

そう言えばこの二人、結婚相手見つかるのだろうか‥‥‥独身のままになるのかな。

ちなみに、ルシスの見た目は一応悪くはないけどナンパの成功率が低いのは、すでに街中でネリスの存在が知れ渡っており、うかつに関わればもしかしたら自分もルシス同様の目に遭わせられるのではないだろうかと、密かに噂になっているのが原因だったりする。


「流石にあたしでも、そんなことはしないよ。馬鹿兄貴限定さ」

「本当か?ミーの勘的に絶対やりかねないような」


ゴスッツ グシャッツ バキッツ


‥‥‥真っ赤な花がよく咲くので、この国では清掃業の方の腕が上がってきているのだとか。

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