#140
夏の暑さでダウン。
クーラーとか付けることはつけるけど、今度はそっちで体調を崩してダウン。
温度は余り低くならないようにしているんだけど‥‥‥扇風機が一番と、結論を出しました。
SIDE ブルータス商会に連ねているとある商人。
‥‥‥私の名前はムサイ。
ブルータス商会に連ねる商人の一人であり、自分で言うのもなんだがこの商会の唯一の良心と言えよう。
つい最近、ライバル商会であったデーイル商会を潰したのだが、そのやり方に疑問を覚えている一人でもあるのだ。
なんでも、あのデーイル商家のトップの娘と、こちらの元トップの息子が恋仲になったそうで、うまいこといけば婚姻関係によって関係を改善し、良好なモノにできたはずなのに…‥‥両商会に巣くっていた馬鹿野郎共がやらかし、台無しになってしまったのである。
一方的に相手の商会の方を悪いとして、色々とやって潰したのだが、その行為を指示したのがその件の馬鹿野郎の一人、元ナンバー2であり、今ではトップの商会長となったアーケイチなのだ。
問題を引き起こした奴なのに、なぜトップに人事が変わったのか…‥‥いろいろとあくどすぎる手段を使ったのだと、もっぱらの噂である。
と言うか、この商会自体色々とあくどいことをしているんだけど…‥‥アーケイチのやり方はもっと悪逆非道であるだろう。
‥‥‥その事を考える以前に、アーケイチが起こした問題と言うのが、元商会長の息子の略奪だぞ?
相手の商会の娘を狙ったんじゃなくて、身内の商会の、しかも同性をだぞ?
いろいろとツッコミを入れたいところがあるのだが、現在アーケイチが商会のトップになってしまっているので、下手にやればこちらが首を飛ばされる立場になりかねない。
我が家に伝わる伝説の黄金ハリセンをかませられないのは残念だが‥‥‥まぁ、ここはこらえるしかないだろう。
やつが商会の台頭に立ち、このブルータス商会内の構造もいろいろと変革され、より奴の懐が暖まるようにされてはいるが、そう言う事をしでかす奴ほど、自滅するのは商人の勘からわかる。
逆恨みか、陰険すぎるせいか元デーイル商会の従業員を再就職できないように細工をしているそうだが…‥‥完全にはできないであろう。
そうこうしているうちに、ふと気が付いたその時から商会に少しある異変が起き始めた。
「どういうわけだぁ!?入荷量が増えて販売量が低下しているだとぅ?」
アーケイチが怒鳴り散らしてはいるが、その原因は不明である。
どうもここ最近の売り上げ年表を細かく調べなければ気が付く居にくいようにされていたが、たしかにこのアーケイチ商会の物流がおかしくなり始めていることに、ようやくあの馬鹿は気が付いたようである。
仕入れが多くなるが、販売量が低下し、赤字になりやすくなってきているということはつまり、商会の利益が無くなり、そして奴の懐に入る金も自然と減少する。
ほんのわずかな減少量、それとなく気が付かせない程度なのに、気が付いたときには物凄く大きく利益が減少しているのだ。
そして赤字が目立ち始め、この商会はやばいんじゃないかと言う噂が経ち始めた。
「くそぅ…‥このままうまいこといけば範囲を広げてもっと他国へいけるはずだったのになぜこうなっているんだ!!誰も打開策が思いつかないのかこの無能共!!」
もう見る見る間に追い詰められていく商会の現状に、アーケイチがぎゃんぎゃん騒ぎ立て始めたが、自分こそ何もできない無能と思わないのだろうか?
‥‥‥そぅいえば、無能で思い出したがたしかアーケイチは商才関連の才能は無かったような気がする。
いや、悪徳商法の才能はあったような‥‥‥
なんでそんなやつが商会のトップに、その前にナンバー2にもなれたのかと言う疑問が出たけど‥‥‥まぁ、うん、金とかコネとか暴力とかでやっていたんだろう。
そのうちに、少しとある噂を耳にするようになった。
なんでも、元デーイル商会の従業員と言うか、護衛をしていた奴がいたようで、アーケイチの妨害の対象でもあったらしい。
で、そいつが最近就職したのが、今噂の発展中のゼルビス地方を治める貴族のところだそうだ。
ゼルビス地方の貴族と言うと‥‥‥確か、あのシグマ家の出身の人物じゃなかったか?
どうも友人の関係であったようであり、その友人の再就職を邪魔し続けていたというこのブルータス商会を敵視したのではないだろうか?
シグマ家の出身者である貴族の友人を‥‥‥‥あ、これ確実にこの商会終わったかもしれない。
と言うか、もしかしてここまで赤字になって来たのももしかしたらその貴族の仕業ではなかろうか。
その話しが徐々に商会内に広まり、次々と紹介から離脱していく商人が多くなった。
かくいう私も、本日限りでこの商会から抜け、しばらくはフリーの商人として働く予定である。
あのアーケイチはごねにごねて、次第に怒りをどんどん貯めてきたようだが、もはや関係ない。
怒りを爆発させて、ろくでもないようなことをしたとしても‥‥‥‥その末路は滅亡しかないだろう。
商会から抜け出し、その被害から逃れることにしたけど、心残りとしては黄金のハリセンを奴にかませられなかったことだろうか…‥‥
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SIDEカグヤ
「…‥‥で、フローリア。例の商会とかはどうなった?」
【いろいろと工作して、もうそろそろ完全な機能不全となって破産するでしょう】
屋敷にて、カグヤはフローリアからブルータス商会の状態を聞いていた。
ベスタが来てからいろいろと諜報部隊に探ってもらったが、叩けば叩くほど出るわ出るわのあくどすぎることだらけ。
まともな商人もわずかにはいたとはいえ、賄賂や暴力の横行があって、よくこんな商会があったなと言いたいほどである。
実情をより詳しく調べてみると、どうやら複数の貴族も絡んでいるようで…‥‥面倒としか言えなかった。
少しづつ絡んでいるところをほぐし、探り、こっそり国王へ報告し、自然と潰し、徐々にブルータス商会は赤字に押されていき、弱っていったようである。
もうしばらくすれば、完全に破産するだろうが…‥‥
「でも、やっぱりそう事は簡単に動かないか」
【なにやらアーケイチとかいうゲス野郎は、流石に噂から我らが絡んでいるらしいとようやく理解したようです。で、其のために】
「愚鈍な頭で後先考えずに嫌がらせを残った力でしようと企んでいるのか‥‥‥よし、徹底的につぶせ」
【了解】
最後の力を振り絞って何かするようだが、その影響が出る前にチリ一つ残さないほど徹底的につぶせとカグヤはフローリアに命令し、商会の未来はこの瞬間決まったのであった。
「そういえば、ベスタはどうした?」
【ああ、彼ならなんとか短期集中訓練を乗り越えたようでして、現在ちょっととあるところに出向いて諜報活動をしてもらっていますよ。スライムの魂魄獣も持っていますし、色々と合わせることで結構役に立っているようです。影も少し薄いせいであまり目立たないようですがそれも利用できますし‥‥‥】
‥‥‥最初の頃はよく見ていたけど、後々あまり目立たなくなっていたベスタの影の薄さが役に立っているようである。
ある意味、この諜報部隊は彼の天職だったのかもしれないとカグヤは思うのであった。
調べれば調べるほどいろいろ出てくるブルータス商会。
しかし、その商会はもはや虫の息である。
果たして、アーケイチはどう出るのだろうか?
次回に続く!!
‥‥‥更新が最近ちょっと遅れ気味なのはまぁいろいろとあるんですよね。毎日投稿と言うわけではないのですが、やはり楽しみに待ってくれている皆様へ待たせてしまう事をお詫び申し上げます。




