#135
今回はそれぞれの視点でお送りしております
SIDEとあるニューデストロイ帝国の貴族
‥‥‥デストライ帝国のカイザリア皇帝陛下が亡命し、その子であるグノーウという皇子が皇帝となり替わり、国名をニューデストロイ帝国と改めてから生活が変わった。
私は比較的まともな方の貴族であったと思うのだが、ある日王城へ呼ばれて、突然辺境への領地替えを言い渡されてしまった。
反論をしたかったのだが…‥‥ダメだった。
せめてもの願いとして、我が領に元からいた領民も一緒に移動させるという条件を付けて、その移動費は私が負担することにした。
なぜなら、私の領地に新たに居座るのだという貴族は、以前皇帝陛下によって裁かれたはずのある貴族のドラ息子だったのである。
確実にボロボロにさせられ、荒れるのを防ぐために私はせめてもの私財を出来るだけ売り払い、そして良民たちにその事を説明し、納得してもらってついてきてもらったのである。
民を大事にすれば、その地は栄え、そして国も栄える。
そんな単純な事でも、私の家はそれを大事にしているのである。
だがしかし、あのドラ息子はその単純な事すらもしっかりと分かっておらず、ただ重税ばかりを課すだけの無能なのは誰の目から見ても明らかであろう。
…‥‥領民たちも私が普段できるだけよく接し、交流していた故に皆付いてきてくれた。
そして、新たな辺境の領地で、皆で頑張って一生懸命たくましく過ごした。
こういう時に、互いの絆があるからこそ足りない部分を補い合い、そしてその優しさを実感できるのである。
しばらく経ち、元居た領地に来たあのドラ息子がかなり苦労しているという情報が入って来た。
まぁ、当たり前だろう。領地内に民がいたはずだが、それらはすべて私が引き連れており、もぬけの殻の土地になっていたのだから。
‥‥‥と言うか、皇帝にその条件を出した時点で民がゼロになる可能性を考えていなかったのだろうか?
もしかしたら、領民たちが誰も付いてこないだろうとでも考えていたのだろうか。
しかしまぁ、よく民がゼロの状態で領地経営をしようと思ったのだと考えていたら、どうやら少し事情が異なったようだ。
なんでも領民がいないことに気が付いた後に、大量の奴隷を仕入れてきて領民として居住させたようなのだ。
奴隷制…‥‥一応、他の国にもあるし、犯罪奴隷と言った制度もあるのだが…‥‥その大量の奴隷とやら、何処で購入したのだろうか?
明らかに違法な手段であろうが、奴はお構いなしに奴隷を領民代わりにして領地経営をした様である。
そしてその結果、ものの数日で一斉蜂起を喰らったようで、皆逃亡したようである。
ん?逃亡奴隷が流れてきた?
調べてみたらやはり違法な手段で奴隷にされたものが多いようだったので、一応辺境の子の地では働き手が欲しいし、皆匿ったよ。そしたら協力してくれて、より一層この辺境が栄えてきちゃったよ。
辺境の地に領地替えさせられたけど、むしろ前の領地の時よりも豊かになって物凄く裕福になったのだが…‥‥まぁ、領民たちと今度交流会をまた開いて、より一層絆を深めたほうが良いのかもしれんな。
と、そう思ってしばらく経つと、また領地替えの知らせが来たぞ。
しかし、またあのドラ息子とのだと考えるとなぁ。うん、絶対拒否しよう。
そして無視していると案の定、国から兵が来てムリヤリ領地替えしようと…‥‥‥いうことはなかった。
なんでも国内のあらゆるところで少しづつ反乱がおきて、物凄く大変で兵士を此方までよこせないようである。
そんでもって、なにやら愚かなことをしていた貴族たちの方には商人が来なくなって流通が途絶えたり、盗賊がやたらにでてきてやばいことになったりなどしているようだ。
しかも、きちんと愚かな奴らとそうでないやつらでその差が歴然としており、私のところにはまた苦の被害がなかったよ。
‥‥‥それからしばらく経ち、ニューデストロイ帝国改め元のデストロイ帝国へと戻り、再びカイザリア皇帝陛下が皇帝の座に就いたのだという知らせが届いた。
結局、あのニューデストロイ帝国は虚構だったようにしか思えぬな。
わずかな期間にだけ出現した、幻の帝国。
そして、愚か者は栄えぬということを改めて教えてくれた反面教師の国だったのだろう‥‥‥
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SIDEとあるニューデストロイ帝国の貴族(脳内お花畑)
‥‥‥デストライ帝国のカイザリア皇帝陛下が亡命し、その子であるグノーウという皇子が皇帝となり替わり、国名をニューデストロイ帝国と改めてから生活が変わった。
そう!!この僕はついに貴族の座に舞い戻り、そして豊かな領地を任されることになったのである!!
思い返せば、親父が馬鹿をやらかしたせいで俺まで貴族籍を抜かれ、そしてなにやら余罪だとかで牢に入れられたあの辛き日々。
ちょっとばかし街で暴れ、女を攫い、酒を盗み、俺は貴族だから平民を虫けらのようにと扱っていただけなのに、酷くはないかおい!!
だがしかし!!あの愚かなカイザリアは国を捨て、この国はグノーウ皇帝陛下に収められう事になったのである!!
そして、以前から気に食わなかったある貴族の領地を俺は欲し、一応これでも残酷過ぎないように慈悲として、物凄い田舎である辺境の地を渡してやったぜ!!ざまぁみろ!!
そして意気揚々と僕はその地へ向かったのだが‥‥‥なんでだ!?領民が全くいないぞ!?
あのクソ貴族、どうやら領民を引き連れていってしまったようで、全く誰も住まわぬ地にしてしまったようだ。
ま、そこで起こってもしょうがないだろう。今の事を考えねばいけないしな。
それならば、領民の代わりのものを置けばいいんじゃないか?そうこの賢い僕は閃いた。
そこで、この僕は奴隷を買い占め捲った。
都合のいいというか、前の親父のつながりがあってとある奴隷商人と連絡を取り合う事が出来て、大量に購入ができたのである。
それも二束三文の値段と、ずいぶん安く変えてラッキーだったぜ!!
‥‥‥あれ?そういえばこいつら正式な奴隷ではないようだな。皆絶対違法奴隷だろうな。
バレなきゃいいし、問題ないか。
そして領民の代わりとしてこの地に住まわせ、強制的な労働をさせ始めた。
畑を耕させ、領内の木とかを切り倒し資源とし、できりうる限り搾り取りまくった。
ここで死なないようにする加減が難しいのだが…‥‥まぁ、2,3人潰れても大丈夫だろう。
と、想っていた時期がこの僕にありました。
まさかの盗賊が大量に押し寄せて、突然水源が無くなって畑が枯れ、違法奴隷故か強制力がたいしたことなかったようであっという間に大半が逃げ、その上商人とかも来なくなって流通がだめになりなどと、ものの見事に不幸が積み重なってしまった。
そのせいで、現在我が領地は荒れまくり、国に治めるべき金もすっからかんである。
あっれぇ?どこで僕は間違えたのだろうか?
と、自問自答して答えが出ないうちに、なにやら反乱だとか、前皇帝が帰って来たとかいう事で、色々調べられて、あっという間にあの牢屋へ帰って来させられました。
罪状が述べ上げられ、下された処分は鉱山での永久強制労働のようです。
どうしてこうなった!?甘い汁をむさぼれると思っていた俺の生活をかえせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
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SIDEカグヤ
「‥‥‥まさか、あっという間に効果が出るとは思わなかったな」
バーステッド王国、寮室にてカグヤはフローリアからニューデストロイ帝国の現状報告と、工作結果を聞いていた。
その結果、笑えることにまともな貴族が治めているところは栄え、まともじゃないやつらがいるところは荒れ果て捲ったようである。
起死回生の手段として、なにやらバーステッド王国に戦争をと唱えたやつらもいたようだが、食料も枯渇させたのでほぼ兵を動かすのは無理になったようである。
ティラーン湖のときのように、何かしらの化け物を出されたら困ったが、事前にすべて諜報部隊によって防いでおり、その心配もなくなった。
あとは、無能な馬鹿たちのところへ盗賊を自然に誘導したり、フローリアの力によって水源を一時的に止めたりなどと、諜報部隊の工作によってあっという間にニューデストロイ帝国は追い込まれたようである。
あっけなさ過ぎて、肩をすくめるカグヤ。
「この状態なら、カイザリアを再び皇帝として送る事が出来そうだな」
『と言うか、あまり工作する意味が無かったですね。ほぼ相手の自滅ばかりですよこれ』
アンナの指摘の通り、カグヤが手を下す必要性はほとんどなかったようである。
馬鹿がやらかすことは連鎖するのか、あっという間に似たようなことは他でも起きたようで、帝国は現在ボロボロだ。
これ以上時間がたつと、あまり心配はないが窮鼠猫を噛むという言葉もあるし、追い詰めすぎると何をしでかされるのもわからないので、カグヤは速めにチェックメイトを決めることにした。
その為にも、まずはカイザリア皇帝に話をしたほうが良さそうであるとカグヤはそう考え、王城に謁見の申し込みを行ったのであった‥‥‥
‥‥‥これってさ、カグヤが手を下さなくても馬鹿が馬鹿をやらかして自然に自滅したかもしれない。
けれども、一応まともな人もいるのでその人たちの苦しみが続かないようにと動いたのだと思えばいいかもしれない。
次回に続く!!
‥‥‥思った以上にあっけなくいきそうで怖いわぁ。
追い詰められた馬鹿は、何をするかわからないし、さっさと早めに潰してほしいかも。




