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#124

予定通りに進まない。何とか予定通りにしようと画策中。

……決闘当日、会場に選ばれ、毎度おなじみとなった学校の地下にあった決闘場は現在満席であった。


『……あー、校長及びそのお目付け役の逃亡により、今回の決闘の司会を行うのは不本意ながら、あたし、ラフター皇国からの王女であるネリスです。隣で現在アイアンメイデンという拷問器具の中にいるのは、馬鹿兄貴のルシスで今回実況役の一人としてお送りいたします』

『実況役補佐の、ベスタだ!!……ところでネリスちゃん、ルシスが入ってまだ暴れているけど、そろそろ解放してあげないの?というか解放してやってくれよ!!』

『いえ、無理ですねベスタさん。あと勝手にあたしを「ちゃん」付けしないでください!!馬鹿兄貴は先ほど、やってきたほかの貴族の女性の方々にやらかしそうなので、ここで厳重に閉じ込めているんですよ!!』

『いやそれ拷問器具だからね!?中身思いっきりトゲトゲであかんやつだろ!?』

『あーはっはっはっはっは!!放置しているのかい?ミーはこの中でも平気なのさーーー!!』

『『しゃ、しゃべったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』』



 少々実況席がカオスになりながらも、別に誰も気にしてはいない。


 何しろ、この決闘はこの国一番…‥‥いや、下手したら世界の3本の指に入る者同士が行う物であり、その激闘に興味をひかれていたからである。



『さて!!いよいよ今回の決闘をやる者同士の入場です!!まずはこんかいの決闘の主役とでもいうべきかぁ!?カグヤ・フォン・シグマとその魂魄獣であるアンナの入場だぁぁぁぁぁ!!』

『ノリノリだねぇネリスち「ぶっ殺しますよ?」……ネリスさん』


 絶対零度の視線を向けられ、ベスタは意気消沈し、観客たちは舞台に向かう者を見た。



「……誰だ、あいつらを実況と司会に推薦したやつは?」

『校長とお目付け役の人が逃亡したようで、解説しやすいのはと言うことで、カグヤ様の友人に当たるあの方たちが選ばれたそうですよ?』


 呆れたようにつぶやくカグヤに、同じように呆れてアンナも返答した。


 来ている服は動きやすいように細工してあり、ついでにアンナが作った魔法陣も縫い込んで、出来る限りの防御力を上げた特製の戦闘服である。


 魔法陣…‥‥これこそが、カグヤたちにとって様々な相手への対策のために、アンナが創り上げた強力な物。


 細かいサポートから、とっておきの作戦(・・・・・・・・)決行のための切り札にも使用が可能であり、一応武器の類としても認められているようなので、この決闘で命を落としたくない二人はまったく自重せずに、本気で魔法陣を作製しまくった。


 少なくとも、この時点で世界最高クラスの防御服にもなっているのだが……果たして、それが相手に通用するのだろうか?


 なぜなら、今回の決闘の相手は……あのシグマ家のツートップである。



『さてぇ!!次に入場してくるのは、なんとなんと驚きのシグマ家の最強の一角!!大剣士としても名高い現シグマ家当主様のアーデンベルト・フォン・シグマ様に!!「微笑みの撲殺女帝」という名もある最強最悪のテリアス・フォン・シグマ様だぁぁぁぁぁ!!』

『あれ?カグヤにはそういえば様はつけていないな?』

『ベスタさん……一応カグヤさんはその二人の子息であり、立場的には上の方ですよ?』



 呆れたような司会の声がしつつ、カグヤたちと対峙するかのように二人が立った。



「ふっふっふっふ、息子よ。この父を超えてこそ、お前の成長はあるのだ」


 不敵な笑みを浮かべ、堂々とした威厳を放つのはカグヤの父親にして、魔法は使えないのだがこの国最強のシグマ家の当主の座についているアーデンベルト。


 その武装は現役時代の騎士の鎧を付けており、その手に持っているのは彼の魂魄獣、剣のデュランダルである。



「さてカグヤ……これがある意味、あなたに対しての母と夫からの愛です。この私達の勝利してこそ、あなたの未来はあるでしょう」


 そうにこやかに微笑み、魂魄獣金槌のトーランを手に持って言うのは母のテリアス。



 二人とも前線から退き、今は領地でおとなしくしている。


 だが、その強さはどこに居ようとも変わらないようで、その気迫はすさまじい。特にテリアスのが。



『おおぅ、司会のあたしたちの方でも伝わってくる漏れ出た気迫…‥‥流石シグマ家の裏ボスとまで他国に伝わっている人だ』

『ミーの方もガクブルだね。女性は等しくと思っていたけど……あれは無理。アーデンベルト様はよくあんな凶悪な、』


ゴジュッツ!!

『ゲグホゥッツ!?』

『うぉっ!?アイアンメイデンを貫通してどこからか炎の槍が!?』



「……『炎槍(フレイムスピア)』って魔法だな」

『無詠唱の正確なコントロールですね……カグヤ様のお母様、今目も向けずに的確に当てましたよ』

「一点集中の攻撃で貫通って、ルシス生きているかな…‥‥」

『あ、血が噴き出てますね。熱い血潮ってああいうのを言うのでしょうか?』



 決闘前に司会席の方で実況の一名が搬送された後、ルール説明が行われた。


―――――――――――――――――――――――――――――

1:原則命を奪うのは禁止。

2:場外の地に足が付くか、降参、気絶、戦闘不能状態になったら敗北。

3:出来るだけ観客席に被害を出さないようにする。今回は観客席に厳重に防壁が張られており、万が一に備えてはいるのだが、気を付けてほしい。

―――――――――――――――――――――――――――


「まぁ、妥当なところかな」




 両者納得しつつ、それぞれの立ち位置に立ち、対峙して構える。


『それでは、シグマ家の当主ペアVSカグヤ&アンナの決闘試合…‥‥‥開始ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!』


 決闘の開始の合図が出され、カグヤたちは決闘を開始するのであった……


いよいよ始まった決闘。

最強の座をかけているような争いでもあり、互いに全力を尽くし合う!!

果たして、勝利の女神はどちらへ微笑むのだろうか!!

次回に続く!!


……なお、校長&セバスクンは行方不明です。見つかり次第連れ戻しますので、今回の実況・司会役の人をご了承ください。ついでにルシスは3分後に回復したので実況再開させられます。

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