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#123

最近暑いですけど、熱中症にならないように注意しましょう。

SIDEカグヤ


……決闘が決定したその日の夜、寮に帰宅後、カグヤは自室で溜息を吐いていた。


「はぁ……父&母上との決闘か。俺死ぬのかなぁ……」

『一応死なないと思いますけど、とんでもないことになりましたね』


 アンナもカグヤの母の方であるテリアスの実力は知っているのだが、そこに父のアーデンベルトの剣技も加わったペアの戦闘力を考えると、物凄くやばい相手であるのは理解できたのである。


『カグヤ様にわかりやすい例えで言うなれば、最弱装備で最強の最終形態の魔王に挑む勇者のような感じですね』

「わかりやすいけど、そう例えられると思いっきり嫌になるなぁ」





 王城から戻り、女子寮の方に向かったミルル、リース、サラたちの物凄く悲しそうな眼を思い出すと余計に気が重くなった。


―――――――――――――

『カグヤ……婚約早々未亡人にしないでくださいませ』

『命ある事を願うよ』

『ああ、せめて子種でも残して今後の形見としテ……』

『死亡決定なのかよ!?』

――――――――――――

 ふとその会話を思い出し、敗戦ムードが早くも漂っていることにカグヤは悲しくなった。




「……でもまぁ、くよくよしても仕方がないか。ここは正々堂々全力を出して、何とか死なないように頑張ろう!!」


 ぐっとこぶしを握り、気分を切り替えるカグヤ。




 そう、暗いムードで考えてもダメである。


 最初から負けるとわかっていても、せめて出来るだけ抗い、そして綺麗に散ったほうが良いじゃないか。いや、散るのはだめか。


「今の俺は、才能も努力もあるし、なによりも大切な人たちができた。今さらここで死んでたまるか!!」


 死なないかもしれないけど、両親二人の相手は死を覚悟でもしないとおそらくかなり厳しい戦闘となるだろう。


 けれども、その両親と言う壁を乗り越えてこそ真の平穏があるはずなのだ。



『ええ、あくまでも命を奪うのは禁止される決闘ですが、あのカグヤ様のご両親が加減し切れないとは限りません!!万が一という事もありますし、絶対に生きて戻ってきましょう!!』


 カグヤを励ますように、そう言ったアンナ。


 その意気込みはぐっときて、愛しく思えたカグヤであったが、ここでふと気が付いた。


「……そういえば、決闘で魂魄獣の使用は禁止されていないよな」

『え?そのはずですよ。決闘の際に、カグヤ様のお父様は剣の魂魄獣デュランダル、お母様は金槌の魂魄獣トーランを使用するはずですからね。あの二人の力量に耐えれる武器なんてそうそうなさそうですからね』


 それもそうだとカグヤは納得したのだが、そのルールであれば一つの勝ち筋がある事を思いついた。


「アンナ、決闘の際にお前も一緒に戦ってくれないか?相手はペアだし、目には目を、歯に歯を、ペアにはペアで挑んだほうが良いかもしれない。それに、アンナも魔法が使えるだろう?」

『そっか!!私も一緒になって戦うのも禁止されなさそうですし、いけるかもしれません!!全力で支援と攻撃を行いますよ!!』


 アンナは元は大魔法使いでもあり、知識も豊富でその魔法の力もとんでもないレベルだ。


 テリアスにボロボロにされたりもするそうだが、今の彼女は全力の手加減抜きで行くようだ。


 互に大事な相手であり、絶対に守りたい。


 その想いこそが二人を恐怖から払しょくさせ、全力でいくように心に誓うのであった‥‥‥



――――――――――――――――――――――――――――――

SIDEとある貴族屋敷


「ふむ、あのシグマ家の最強組と、そして第5王女様の婚約者に正式になりやがった三男が決闘しあうのか」

「身分の差に関して文句を言いたかったところだが、卒業後に侯爵の地位か……その地位は若造にはもったいないとは思わないか?」

「ああ、我々もそれなりに力があるはずなのに、身分をさらに上にいかれるのは屈辱である!!三男で当主を告げないだろうと思っていたが、まさか分家にしてその上国王陛下から爵位をいただけるとはな!!」


 貴族屋敷にて、恒例となった仮面を付けた者たちはそれぞれ憤りを見せていた。


 パーティから戻り、その内容について不満だらけなのである。


「……だが、これは逆にチャンスではないだろうか?」


 話を聞いていた仮面の者のうち、一人がポツリとそうつぶやいた。


「チャンスだと?」

「ああ、その三男……カグヤだっけか。そいつが明日どうやら、決闘場でシグマ家の最強最悪の戦力とぶつかり合う。あの最強たちに勝てる見込みはないだろうが、勝つ可能性がないわけでもない。そこは良いとして、私が言いたいのはつまり、其の時こそが暗殺のチャンスではなかろうか?」

「暗殺……確かにそのとおりだ!!絶対に物凄い疲労に襲われるだろうし、体力的にも限界にまでなくなるはずだ。いくら物凄い実力を持つとはいえ、勝負の後油断したすきはできるだろうし、疲労のせいですぐには動くこともできまい!!」

「ならばその時を狙って暗殺者を向かわせれば……」

「「「「邪魔者の三男は消せるはずだ!!」」」」

「ついでに相手側であるシグマ家の当主たちも疲労するだろうし、これはこれでどちらとも潰せるかもしれない、かつてないほどの超恵まれた機会ではなかろうか!!」



 その言葉に、他の仮面を付けた者たちも納得し、そして仮面の奥の方でニヤリと笑みを浮かべた。


「時間はもうないだろう。決闘が行われるのは明日の正午であり、決闘が終わるまでになんとしてでも暗殺者をよこすのだ!!」


 そう高らかに叫び、皆で暗殺のチャンスに喜ぶ仮面の者達。


 だが、彼らは知らない。



人の心を見透かすようなとある存在が、怪しさを感じてこっそりついてきていたことを。


 そして逆に、それを利用して害になるような者たちを消し去ろうと考えていたなどとは、誰一人として思わなかったのであった……

……そしていよいよ明日、カグヤの両親との決闘が始まる。

アーデンベルト&テリアスVSカグヤ&アンナ

勝利をつかめるのは、果たしてどちらなのだろうか?

次回に続く!!


……決闘に関して、いつもの実況と司会の二人が逃亡いたしましたので、その二人の代わりを出す予定です。書こうとしたら、二人ともいつの間にか消えていたよ。

なお、今回は健全にしていますけど、当初の通りに書こうとしたノクターン行きになりそうだったので…‥‥バカップルどもめ。

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