#10
ちょっと年月が進みます
幼い時ならではの話は閑話とかにもまた載せる予定
・・・・5年の歳月が流れ、ついにカグヤは10歳となった。
この国では10歳になると、首都の方にある学校へ通うことになる。
学校は貴族平民外人関係なく、入学が可能でありそこで学ぶことによって将来に困らないようにする機関である。
ちなみに寮生らしく、きちんと予めどこに誰が入るのかも決められているそうな。
そして、このバーステッド王国の教育レベルは高い方で、他国からの留学生とか転校生も来るのだとか。
なので、この国で一番グローバルな場所ともいえよう。
その分、文化の違いでトラブルが起きたり、また貴族の子息の中にはテンプレ的な阿呆もいるそうで・・・・・。
「どう考えても『巻き込まれの才能』がすっごい出てきそう」
『トラブルメーカーってやつでしょうかね・・・・ちょっと意味が違うような、いや、でもあっているのでしょうか・・・・』
首都行きの馬車に乗りながら、カグヤたちはそのことについて話していた。なお、アンナは馬車酔いするので魂の方へ収納中。
こっちのほうが酔わないらしい。でも、体の中に入れて会話が成り立つってやっぱ妙な感じだな・・・・。あ、これテストとかでカンニングできるのでは?しないけど。
なお、兄たちは数年前にすでに入学しに行っていたので、久し振りの家族勢ぞろいとなるために父が休暇を取り、母上も一緒にいる状況である。
「ふふふ、大丈夫よカグヤ。少なくとも相当な大馬鹿者じゃない限り、そうそうちょっかいをかけてくる人はいないはずよ」
にこやかに母上が言うけど、ちょっと怖い。
でも、その通りでもあるんだよな・・・・・シグマ家ってどうも他の貴族家からも恐れられる様な感じの様で、下手に手を出せば存続危ういとかも言われているらしい。
いや本当にうちってどんな一族だよ。チートな才能以上にやばい気しかしないよ。
「ふぉっふぉっふぉっ、まあ安心しなされカグヤ様。シグマ家は相当やばい家でございますが、それでも身内であれば確実に命の安全は保障されますからなぁ」
馬の手綱を握っている御者のマルビスさんがそう言った。
現在このシグマ家用の馬車を担当しているマルビスさんだが、この人の出身は暗殺部隊とかいう類のやばいところだったらしい。
数十年ほど前に、当時の当主であった祖父の命を他の貴族から依頼されて狙ったらしいが、見事に返り討ちになったそうな。
毒をワインに仕込んでも平気で飲み干して効果がなく、罠を仕掛けても全部かかっても無傷で済み、最終的に頸動脈をナイフでさくりと行こうとしたら、ナイフがばきっと折れたそうな。
そんでもって、その腕とかなじみやすさを見込まれて家で雇われ、今もなおこうして御者として働きつつ、情報を仕入れているのだとか。
・・・・どんな経歴やねん。というか、当時の祖父が化け物じみているような気がする。
蜂が相手でもその針は通らず、剣の刃物の部分を素手で握りつぶして傷も負わず、崖から転落してようやくかすり傷ができる程度の頑強さの持ち主だったようだ。
『「超硬質の才能」ですかね・・・・該当するのはそれですよ』
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「超硬質の才能」・・・刃物が通らないほど物凄く頑強な体に肉体改造できる才能。ただし、外科手術が不可能になり、万が一がんなどになった場合治療が困難。
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「それ以外もあるよね・・・・というか、その才能こそチートだと思う」
本当に何だこのシグマ家の家系。
調べたら本気で化け物じみた人が多いようで・・・・もはや才能の力云々すらないような。
まあ、そのため数々のやばい伝説が残る家にうかつに手出しをしてくるような少ないらしく、出してくるとしたら情報収集能力が甘い家となる。
貴族というのは情報も大事なそうで、きちんとそう言うことができる人を雇っていかないといけないらしい。
ちなみに、シグマ家の情報を集める諜報部隊とやらは8割ほど外部からの引き抜きによって構成されているそうな。
引き抜かれた家は優秀な諜報員を持ってかれて大損害。
まあ、中には他国の人もいたようなので、国レベルでの損害を与えているような気もするが・・・・。
とにもかくにも、馬車は目的地へと向かって進む。
大体2日ほどで着くらしいので、夏休みとかあれば楽に帰れそうだ。
・・・・まあ、でもその時まで無事に過ごせるといいんだけどな。いや本当に嫌な予感しかしないという感じなんだよね。
兄二人は今のところ面倒事にはあっていないそうだが、俺が行くとありそうで・・・・・・・神よ、「巻き込まれの才能」を付けたのは恨みますよ。
シグマ家の使用人全員の経歴をいつか紹介できたらいいなぁ・・・・
スパイに暗殺者、諜報員、ハニートラップ要員、犯罪者、元敵、亡命者・・・・・バリエーションは豊富なので、それぞれの力を活かして現在役に立っております。
・・・暗殺者とかは命を奪いに来るまでの過程や、暗殺方法、心理状態などと言ったところから判断し、逆にスカウトしたりもね。一種の就職活動の様なモノだと考えると安っぽく感じるから不思議。