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#120

リアルでモフモフが欲しいなぁ。と、思わずつぶやく作者である。

伏線とかフラグとかじゃないよ?

SIDEどこぞやの貴族のお屋敷内


「……諸君、既に情報は手にしただろうか?」


 バーステッド王国首都、そのうちに一件のとある貴族の屋敷にて、集会が開かれていた。


 

 皆がそれぞれの姿がすぐにはわからぬように仮面や覆面、目出し帽を付けてはいたが、今回集まった目的は同じ者達である。


 室内はカーテンを閉め切っており、薄暗く、ろうそくの明かりだけで互いをギリギリ認識していた。



「ああ。すでに陛下からの連絡で簡易的にだが聞いた」

「王の娘である第5王女のミルル様が、とある貴族家の子息と婚約を結んだという事だろう?」

「しかも当主を継ぐことのないであろう三男だが……いろいろと厄介事を抱えているやつか」


 それぞれが独自に入手した情報を公開し、確かめ合いながらぼそぼそと、話し合う。


「シグマ家と言う物があるが、王家の権力には魅力がある。そのため、我々は王家に近付こうとしたが……」

「いろいろごたごたしているうえに、王位継承権の押し付け合いが起きているんだよな。今現在、最も有力なのは第2王子ラスター様のようだが、第3王子のマード様の方へ支持が行くように必死になっているそうだ。そして第3王子もまた同様の事を第2王子にしているようであり、さらに女性にも継承権があるので他の王女たちも同様の行動を起こしているらしい」

「ああ、第1王子のルーメン様がいればよかったのだろうが、十数年前からずっと行方不明のようだ。最近、異国の大地で巨人と友好的になっていると聞くが……」

「あれ?確かこちらでは火炎龍(ファイヤードラゴン)ではない別のドラゴンと交流していると聞いたぞ?」

「なんだと?こちらでは農作業をしつつ、すでに嫁を貰って仲良く円満に暮らしているのだとか」

「いやいやいや、確か目からビームに鼻からロケットを出す兵器に改造されたとか」

「こっちが聞いた話だと、スライムになったとか」


「「「「「……どの情報が正しいんだ?」」」」」



 情報が何やら混戦しており、ややこしいことになりそうで、議題からずれていたので皆一旦第1王子のことを放っておくことにした。


「とにもかくにもだ、王家につながりを持つのであれば王家の血筋を持つ者を引き入れればいい。だがしかし!!王族たちは誰もが思いっきり拒んでいるのだ!!」

「第1王子は情報の錯誤があるとはいえ、依然として行方不明」

「第2,3王子たちはすでに婚約をしており、相手は別の国の王族や皇族」

「第1,2,4王女たちはそれぞれ別の国へ行き、政略結婚とはいえ、甘い生活を送っているという」

「第3王女は……まぁ、うん、あれだ。少々いろいろあって今は繋がりを持てない」


 そこで口がよどんだのは、第3王女の現状がどうなっているかについて、若干同情じみた物があったのだろう。



「それはさておき、我々が現状王族とつながりを持てるとすれば第5王女様しかいないのである!!」

「だがしかし、そのシグマ家の三男がそこに入りこんだ!!」


 王家とつながりを持ちたいような彼らにとっては、カグヤの存在は邪魔である。


 そもそもカグヤがいなくとも、彼らにミルルが振り向くとは思われないのだが……それなのに必ず自分の方に来てくれるだろうと考えるのは、欲望の深さゆえか、妄想癖のせいか。




「排除してやりたいが…‥‥相手は当主を継ぐこともなく、分家になるかもしれない存在とはいえ、シグマ家の一員」

「その実力とかはすでにある程度把握してはいるが、真正面からでは勝ち目がないだろう」


 冷静になって話し合いをしつつ、きちんと把握していることができるのはただの馬鹿ではない証か。


「からめ手……ハニートラップとかはどうだ?他の女にうつつを抜かすような相手には失望して婚約破棄を……」

「無理だろう。そもそも、そのカグヤとやらには愛人のようなやつがいると聞くし、他にも彼に従う女たちがいるという情報があるからな。その手段はほぼ無意味だろう。と言うか、逆に奴に取り込まれかねんぞ…‥‥過去にあったし」

「ああ、シグマ家にかつて諜報員を派遣し、見事に辞表をたたきつけられて引き抜かれた過去が貴殿のところにはあるのか」

「そっちもか。あの一族は諜報員だろうと何だろうと、使える者は取り込み、手駒にしてしまうから迂闊に手出しができぬ」


 はぁっと、溜息を吐く仮面をつけた者達。



「何はともあれ、何とかして排除をせねばならないな」

「遠距離からの狙撃で頭を吹き飛ばすというのはどうだ?脚が付かぬように念入りにして……」

「それだったら、毎日こっそり彼が口にするものに薬を混ぜ込むのが良いだろう。気が付けれぬように、じわじわと蝕むものならいろいろあるぞ」

「もしくはどこかで盗賊とかに襲わせたほうが良いのかもしれないな。返り討ちに合うだろうが、その後に安心しきったところを狙うほうが良いだろう」


 ああでもない、こうでもないと屋敷に集まった者たちは計画を練っていく。


 そのうち、他の方面……リリスやサラと言った面子を狙ってきた者たちもいて、混じり合い、そして企みは密かに進められていくのであった。



……ただし、案の定と言うかこのことを予測している人はいる者である。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDEカグヤ


「にしても……最近思う事があるんだよなぁ」

『どうしたのですかカグヤ様?』


 寮の自室にて、カグヤがつぶやいたその言葉にアンナは尋ねた。


「いや、なんというか……最初の頃はさ、あまり目立ちたくはないなぁと思っていたんだよ俺は。でもいつの間にかミルルたちとの婚約とか精霊の加護とかで十分目立っているんだよなぁ……」

『……なんと言いますか、自業自得って言葉を知っていますかカグヤ様?』

「知っているけど……と言うかアンナ、その呆れた顔は何?」

『なんでもないですよ。私達に告白されるまでも鈍かったですけど、今も治っていないという事が十分理解できましたからね……』


 カグヤの問いかけに、アンナは肩をすくめ、はぁっと溜息を吐きながらそう答えるのであった。


 





……悪だくみでも、大抵潰されるか、およがされてより悲惨な目にあう。

それが世の中の悪役の底辺たちの現状です。

ラスボスクラスだと逆手にとってさらに上を目指すんだろうけどね。

次回に続く!!


……そろそろバトル的なシーンも欲しい。

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