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#118

手に出来るタコと言うか、水疱って潰れると痛いよね。いや本当に地味に嫌なところに…‥‥

ちょっと愚痴りたくなった作者であった。

……そして、現在へと時は戻る。



【‥‥‥と言うわけで、長い永い眠りについていたのですけれども、つい先日に我は目覚めたのだ】

「なるほど、そんな歴史があったのか」

「文献とかではよくわからないような感じだったそうだけど、まさかそうなっていたとはなぁ」

「その馬鹿王子をぶん殴りたいですわね」

「精霊の怒りと言うのはすさまじいと聞くが、それほどまでとハ」

『神に近い存在とも言われているようですけど、まさしく天災ですね』



 フローリアと名乗る精霊が創り出した空間の下、カグヤたちは過去の話を聞いていた。


 婚約破棄がきっかけで国が滅亡したという話は聞いていたのだが、その詳細までは不明だった。




 だが、今この精霊が語った昔話のおかげで、その詳細までもが明らかになったのである。



「なるほど……で、それが俺たちにどう関係があるわけだ?」


 話の内容から察することもできたのだが、あえてカグヤはフローリアに尋ねた。




【‥‥‥実はな、お前たちの事はこの地に来てから観察させてもらっていたのだ】


 カグヤの質問に対して、フローリアは隠すことなく、順を追って説明していった。



 古城の地下奥深くで眠っていた彼女は、ある日目を覚まし、そして真実の愛を持つ者たちを求めて、誰にも悟られぬように観察を続けていたという事を。


 そしてカグヤたちが来た時、感じ取ったものがあったのでそのまま至近距離で観察していたのだという。




 精霊は気配を完全に隠すと、ほとんど誰にも分らなくなるらしい。


 その為、カグヤやアンナ、あと野生の勘が強そうなサラでさえもその気配に気が付けなかったほどである。



【観察を続け、そして昨夜我は目撃をしたのです。あなたたちが告白したその現場を……】


 その言葉を言われ、思い出して顔を赤くするカグヤたち。


 自分達だけならいいが、第三者が見ていたとなると恥ずかしくなったのである。




【その告白で、我はしかとこの目で真実の愛を見させてもらった】


 構うことなく、すっと目を細めてフローリアは一人ひとり見ていく。



【アンナ、貴女は世界を渡りつつ、それでいて愛しい人に会うために長い年月を超え、記憶を失う事があっても思い出し、そして告白し、その愛を示した】


【ミルル、貴女はもとは警戒をしていたそうだが、それでも次第に惹かれ、そして敵対する心を無くし、其の時の自分を受け入れ、告白しその愛を示した】


【リース、貴女は助けられたからという理由だけではなく、本当に好きになって、それでいてその心をさらけ出し、見つめさせるという愛を示した】


【サラ、貴女は火炎龍(ファイヤードラゴン)であり、人の姿になる秘薬によって覚悟を示しつつ、愛人と希望していたが、彼に惹かれてそして、愛人としてだけではなく、きちんと正面から向き合うという愛を示した】



【そしてカグヤ、あなたはこの者たちを惹かせるだけの魅力があり、器もあり、そして力もある。溺れることなく、そして自制し、彼女達を気遣いつつ、この先訪れるであろう困難に立ち向かう覚悟を示し、その愛を示した。……ちょっとヘタレだけど】

「今何か余計な一言がつぶやかれなかったか!?」





 フローリアがそれぞれの評価をして、そしてカグヤの前に立った。


【あなた方がこの先結ばれるには、立場、権力、金、血筋、色欲、強欲と言った様々な思惑を持ち、狙う者たちが困難として立ちはだかるでしょう。そのような物事に対して立ち向かうにはまだまだ力不足だと、あなたは、カグヤ、自覚しているはずです。そして対抗策を練り、彼女達を守るためにと思っているでしょうが、それでも個人の力だけではどうにもならないこともあるでしょう】


 そう言いながら、カグヤの手をフローリアはとった。



【それでも、真実の愛があるあなたたちならば、乗り越えようとするでしょう。せめてもの手助けに、そして精霊の我が認めるあなたたちに、我が加護を与え、手助けをしようと思います。どうでしょうか、加護を受けますか?】


 そう問いかけ、カグヤを見つめるフローリア。



 問われ、カグヤは考える。


 かつて土地を栄えさせ、そして破壊をも可能な力を持った精霊が加護を与えてくれるならば、十分な後ろ盾ともなるだろう。


 だが、精霊の加護を頼り切りにするのは何か間違っているのではないだろうか?


 あてにして、そしてその意味すらも忘れていくような者たちにはカグヤはなりたくない。



『……大丈夫ですよカグヤ様』

「アンナ?」

『魂魄獣である私は、カグヤ様が何を考え、想っているのかが一番わかります。加護をもらうか、もらわないかで悩み、そして私たちを思ってくれていることを。間違った道へ進む可能性がある?それならば、必ず私たちが止めましょう。愛する者の破滅は見たくありませんからね』


 そうはっきりとカグヤを見つめ、宣言するアンナ。


 その横では、ミルル、リース、サラも同様に見つめ、同じ気持ちだというのが伝わって来た。



「そうか……ならば、精霊フローリアとやら。あなたの加護を俺は受けましょう。彼女たちを守るために、そして俺が間違った道へ行こうとするならば、止めてくれる彼女たちを助けてもらうために」


 気持ちを受け、カグヤは真っ直ぐにフローリアを見据え、そう宣言した。


 加護は受ける。彼女たちを守るための盾としても使い、そして己が間違った道へ歩んでしまった時に、止めてくれる彼女たちを手助けしてもらうために。


 そう決意したカグヤを見て、フローリアは笑みを浮かべた。



【ふふふ…‥やはり、我が見た通り、ふさわしい者であると思う。ならば、我の加護をあなたに授けましょう。そして、その決意の通り、手助けもしていきましょう。精霊はうそをつきません。必ず、その気持ちを忘れないようにさせしてくれれば…‥‥私もあなた方へ忠誠を誓いましょう】


 そう告げ、フローリアはカグヤたち1人1人へ手をかざし、なにかふわっとしたものをカグヤたちの中へ入れていく。


 冷たいような、それでいて暖かいような不思議な感覚をカグヤたちは受けた。



【これが我の、かつて国を潤し、破壊もする強力な加護。見る人ぞ見ればすぐにわかり、誰にでも対してきっとあなた方の手助けとなるでしょう。……もし、王となる素質も持つあなたが国、もしくは安住の地を求めるのであれば、ここに来て欲しい。この地に根付けば、より一層強い加護へとなるのだから…‥‥】



 微笑みながら告げたその言葉を最後に、カグヤたちはいつの間にか元の部屋の中に戻っていた。




 精霊の姿は幻だったのだろうか?いや、籠の力と言うべきものが体に流れているのをカグヤたちは理解した。



「……約束しましょう、精霊フローリア。俺は必ず彼女たちと共に歩み、貴女の加護を無駄にしないように生きていきます」


 カグヤはそっとつぶやき、決意をあらわにする。



 加護を受け、彼らは一つ、精神的にも成長したのであった……



精霊の加護を受け、精神的にも成長したカグヤたち。

この先、様々な困難などがあるだろうが、負けじと突き進むことを決意する。

果たして、無事に結ばれることができるだろうか?

次回に続く!!


……ちょっと閑話かサイドストーリーが入って、新章へ移ります。しかしまぁ、この精霊去ったけどさ、また再登場の予定があります。次は何か別の物を出したいけど……ハプニングが先か、他の精霊が先か

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