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#113

こういうのって理性との戦いを入れたくなる

SIDE???


 その存在は陰から見ていた。


 とある集団、そしてその中心にいる人物を。



 明らかに他の者たちに好意は向けられているのだろうが‥‥‥その存在から見ても、鈍感と言いたくなるような人物であった。


 しかし、いささか人を、何もかも惹きつけるかのような雰囲気を纏い、悪いようには思えない。


 いや、むしろ近くにいたほうが面白そうな、安心できるような感覚をその存在は感じた。



 そしてその存在は決めた。


 愚者となるのか、それとも己が求める様な者なのか試すための試練を出すことを‥‥‥



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDEカグヤ


「‥‥‥なんでだろうか、男湯から出た記憶はないのになぜ俺は寝巻に着替えているのだろうか」

「「「『‥‥‥』」」」


 カグヤが問いかけると、アンナ、ミルル、リース、サラの4人はあからさまに顔をそむけた。


 やや顔が赤いのは気のせいだろうか?




 温泉に浸かり、なにかがあって気絶したのまでは覚えている。


 こう、男なら刺激が強すぎる様な、それでいて忘れていたら忘れていたで何か悔しいような記憶があるのだが‥‥‥なんだろうか?


 それに、湯から出た記憶がないのに、なぜか着替えが完了しているのはどう言う事だろうかと、カグヤはふと思いついた可能性を疑って、皆を見たが‥‥‥皆目を背けて知らないふりをしているのである。


 これ以上深く詮索しても意味がないような気がして、とりあえず気になりはしつつも、この質問をカグヤは行うことをやめた。

 





「話は切り替えて‥‥‥後は明日の観光予定を話すか?」

『そ、そうしましょうよカグヤ様!!』

「え、ええ、そうしたほうが良いですわね!」


 観光予定の方の話に切り替えると、すぐさま話題がそれてほっとしたかのような顔で、皆振りむいた。



「今回の旅行は大体どのぐらいだっけ?」

『2泊3日のティラーン湖周辺古城宿泊ですよ。観光地としてスポットも多いですし、今日は湯につかるだけで終わりましたけど、明日は真面目に観光をしましょうよ!』

「観光にまじめって言うのかな?まぁ、悪くはないけどさ」

「周辺の観光スポットは色々あるのですわ」


 とりあえず、パンフレットがあったので部屋にある机に広げて皆で見てみる。


‥‥‥なお、現在男子1名だけの状況なのだが、既にカグヤはいろいろ悟って諦めているのは言うまでもない。




「湖は周辺探索だけでもかなり面白そうなのが多いな」

「カグヤが作った黄金の花畑も良いかもな。ほら、あのクト何とかコンとかってやつのマスコット広場ってのもあるようだぞ」

「白いタコになったやつでしたわね。名前が決定したようですわ」

『「豆腐太郎」‥‥‥物凄い残念なというか、醤油をかけたらおいしそうな名前になっていますよね。と言うか、あれって雄でしたっけ?』


 パンフレットには、この古城やティラーン湖周辺の観光スポットが多く乗っており、めぐるのが楽しみな感じである。


 豆腐太郎に関してはツッコミをいれんぞ。ん?名付け親は…‥‥ペンネーム苦労人?


「苦労人って、なんか誰かを想像できそうな気がするのだが‥‥‥」

「お父様の可能性がありますわね‥‥‥」

「案外、親戚のあの人かもな」



――――――――――――――――――――――――

「ぶえくしょい!!」

「皇帝陛下?風邪でもひかれたのでしょうか?」

「いや、なにかこう噂されたような‥‥‥」

――――――――――――――――――――――――




 ワイワイガヤガヤと、カグヤたちは明日めぐる場所を決めていく。


 何処が良いか、面白そうなのは何処か、めぐってみて何か徳があるかどうかを考慮しつつ、皆で楽しめるところを選んでいく。



 気が付けば、外はすでに暗くなっているようで、部屋の明かりもどこか薄暗い感じがするのである。


「ふわぁ‥‥‥そろそろ眠いな。寝たほうが良いだろうな」

「そうですわね。寝不足でぶっ倒れたら元も子も…‥‥って」


 寝ようかとベッドを見たときに、ふと、ある問題にカグヤたちは気が付いた。



「‥‥‥2つしかないなこの部屋」

「「「『‥‥』」」」


 元々、今いるこの部屋はカグヤとアンナが宿泊するための部屋であり、訳あって部屋が使えなくなったミルル、リース、サラも加えると‥‥‥寝ることができるのだろうか?



「俺が床かもしくは椅子に座って寝ようか?アンナはいれればいいし、後は3人でベッドに寝ることができるのだけど‥‥‥」


 妥協案として、カグヤはそう提案した。


 アンナは魂魄獣で、忘れがちだが魂魄獣は主の中に入れることが可能なのである。


 カグヤは床とか椅子に座って寝ればいいとして、後の3人で何とかベッドになればいいと、考えたのだ。


 流石に一緒のベッドで寝るわけにもいかないしな‥‥‥




 と、カグヤは考えていたのだが、納得ができないのが乙女たちである。


「いやいやいや、元々カグヤたちがこの部屋に泊まるのでしたわよね?それなのにわたくしたちだけがベッドで寝るのはいささか筋違いになりそうですわ」

「そうそう、カグヤだってベッドで寝る権利はあるし、別に気にしないってば」

「むしろ一緒のベッドに来てくれた方が、色々ト‥‥‥」

『何をしようと企んでいるのでしょうかサラさん!!』


 何やらニヤリと笑みを浮かべたサラにアンナがツッコミを入れたけど‥‥‥うん、同感だ。


 絶対何かしてきそうでむしろ遠慮したくなるだろう。




 ああでもない、こうでもないと言い争いをした結果‥‥‥


「どうしてこうなった」

『これが一番平和的な方法なのですよ』

「ベッドをくっつけて、適当にそのへんのクッションなどを敷き詰めて大きくして」

「そこで一緒に寝れば」

「文句はなイ」



‥‥‥いや、文句とかそういう以前の問題であろうとカグヤは思った。


 なぜなら、皆がカグヤの周囲で横たわり、寝ようとしているからである。


 カグヤを中心にして、皆は円のように囲んで寝ることに‥‥‥‥




 何処の罰ゲームだよと、カグヤのツッコミが入り、長い一夜での理性との戦いが始まろうとするのであった‥‥‥

‥‥‥これさ、何者かはよくわからないけど、十分試練を与えられているような状態の気がしてきた。

一国の第5王女、魅惑のハーフサキュバス、ドラゴンの娘、そして昔から一緒の魂魄獣。

どれに手を出してもやばそうだし、そもそも全員一緒のベッドです。

‥‥‥押しに弱いカグヤの明日はどうなる!次回に続く!!

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