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サイドストーリー:異世界転移クラスメート達 その1

本日3話目

ちょっと違う世界に飛んでいる前世の月夜輝也時代にいたクラスメートたちの話である。

・・・・カグヤの前世、月夜輝也だった時の高校のクラスメート達は、現在とある部屋の中にいた。



「まさかな・・・よくライトノベルとか出るような勇者召喚って・・・」

「うぉぉぉぉ!!異世界チートきたぁぁぁ!!」

「面倒だけどなぁ。こういうのに限ってろくでも似合事が起きるもんだしな」

「王子様素敵でした・・・・ああ、王女様の方もぐへへへへへ」

「おい!!なんか怖いぞお前!!」



 それぞれの反応としては多種多様に分かれていたが、そんな中彼女・・・陽昼照代(ようひるてるよ)は、この中にいない人物の姿の事を心配していた。



(・・・・・やっぱりいないな、月夜君)


 


 高校に入学後、クラスの中で机に座ってぼうっとしていた月夜の姿を彼女は覚えていた。


 照代は本当は人づきあいが苦手な方である。


 けれども、彼女の容姿は昔から端麗で、よく声をかけてくる男子が多かったので、その対応のためにあくせくとしているうちになんとかある程度までなら大丈夫になった。



 そんな言い寄ってくる男子が多い中、中学時代のあるとき路地にてしつこい男子生徒の一人が迫ってきたのである。



「くっくっっく・・・よう、照代ちゃん。どうにか彼女になってくれねぇか?」

「嫌です。私は誰とも付き合いたくありませんし・・・・」

「ああぁぁん!?ふっざけんなこのくそ女!!」


 何処ぞやの会社の御曹司であるボンボンだったようで、拒絶した照代にむかついたのか、その男子が殴ろうとしたその時であった。



ごきぃん!!


「はぁうっ!?」


 いきなりその男子の背後から、釘バットが股間めがけて強襲し、そのままあぶくを拭いてその男子はぶっ倒れた。



「・・・何をやっているのかと思えば、何処ぞやの阿保か」


 その背後には、釘バットをその場に投げ捨ててめんどくさそうにしている輝也の姿があった。


「て、輝也君!?」


 

・・・・唯一、彼女に言い寄ってこない男子ではあったのだが、普段から一人でいる様子であり、中々近寄りがたい雰囲気を持っていた。


 その彼が、まさか自分を助けてくれるとは思わなかったのである。



(でもなんで釘バット・・・しかも、ちょっと赤く染まっているし)


 実はその釘バットは、偶然そこいらでヤンキーが使い捨てとして捨てたモノであり、偶々その近くを通っていた輝也が近くに投棄されていたそれを使用して助けただけである。


 偶然が重なったとはいえ、この時輝也の場合釘バットがない時は別に投棄されていた金槌で頭をガツンとしようとしていたのだが・・・・・。




「まあ、偶々なんかやっているなと見かけてな。そこいらにあった声で一発ガツンとやっただけだ。もちろん、こいつの方が100%悪いだろうし、しっかりとそこの監視カメラや、この携帯で撮影をしているからな」


 と、輝也が説明して、ポケットから携帯電話と、そこにあった監視カメラを指さした。



「・・・・どうして私を助けてくれたの?」

「ん?助けようと思ったから助けた。ただそれだけの単純な理由さ」


 そう言い残すと、輝也はそのまま去った。


 あとに残されたのは照代とあぶくを吹いてぶっ倒れている男子だけである。

 その気絶していた男子生徒は後日、証拠がいつの間にか実家に送られていたらしくて、勘当されて今では馬車馬のごとく働かされているらしいと噂で聞いた。





・・・・でも、この時から、照代は輝也の事が気になり始め、そして恋だとそのうち知った。


 


 輝也の事を調べていくと、悪い人でもなく、むしろその容姿や性格から実は他に恋するような人がいたらしい。


 けれども、その近寄りにくいような雰囲気を持つがゆえに、彼に話しかけにくい状況へとなっていたのだとか。



 だけど、中学時代に告白のチャンスがなかなか訪れず、何とか同じ高校に入って、ようやく同じクラスになったので、これから告白のために動こうとした矢先に、今回の勇者召喚とやらが行われたのである。


 しかも、クラスメートたち全員かと思いきや、なぜか輝也だけがその場にはおらず照代は悲しく思った。









『ぶもほほほほほほ!!よくぞ来たな勇者たちよ!』

『よく来てくださいましたわ勇者様たち!!』

『ふむ、これが今回の勇者たちか』


 ・・・・それが、この世界に転移させられて、照代たちが聞いた第一・二・三声である。


 見れば、王冠を頭につけているおっさんがいて、その周囲は鎧を着た騎士たちに囲まれていた。


 そして、そのおっさんの横には宝石で着飾った同年代ぐらいの女の子と、同じぐらいの男の子がいたのである。



 話によると、どうも照代たちはこの世界に勇者として転移させられてきたようであり、選ばれた人たちだとそのおっさん・・・・このメダールブタ王国の国王に説明された。


 勇者を呼んだ理由が・・・・テンプレとも言うべき魔王の討伐。


 そして、全員なにかしらのチート能力があるようで皆そのことで歓喜にむせていたり、夢に見たことだと泣き叫ぶ者もいた。


 もちろん、中には魔王討伐と言われても命の危険があると言って返してほしいという者たちもいたのだが、元の世界に帰るには魔王が持っている、この城から盗まれた異世界逆転移の書物がないとダメという。


 そのため、元の世界に帰りたい派は魔王を討伐することを目標としたが・・・・・異世界、つまりはこの剣と魔法だけの世界にあこがれて、まだ見ぬケモミミとか、ハーレムとか、逆ハーレム、内政チートなどを目的とする異世界残りたい派で少々対立が起き、話し合いが行われた。


 


 その結果、自由に行動する組と、国からの支援を受けて行動すいる組に分かれたのである。


別れてすぐに自由に行動する組は出ていったが・・・・・どうなるかはわからない。


 だが、誰しもがチート能力とやらを持っているのでそう簡単にはくたばらないだろう。


 将来的にこの国と対立したとしても、同じぐらいのチートを持っているものたちがいるので、どうにかなりそうであった。





・・・・それでも、照代は未だに不安であった。


 皆はこの異世界転移という事に浮かれているようだったが・・・少しおかしいようにも感じ取れたのである。


 浮かれすぎていると言った方が正しいように思え、なんとなく不安を覚えた。




 そこで、明日から勇者は魔王討伐の旅に行くという事になったので、城にそれぞれ与えられている部屋にいったん入ることになった。


 個人部屋という事もあり、ここで照代は自身のチートを初めて使用することにした。


 チート能力の説明は、国王が皆に「開示板」というものを持ってきて、本人のみにしか見えないが、どのような能力を持っているのか見ることができるという道具で行われたのである。



 チートは平均して3~5つほどあるようだけど、その中で彼女が得ていたチートは以下の5つ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「魔力無限」・・・魔力が切れることがなく、永遠に使用できる。

「真実の瞳」・・・見たいと思うことに集中し、その本質やその時に起きていたことを見ることができる。ただし、魔力量によって効果が依存する。

「魔力授与」・・・魔力を他人に渡すことができる。

「絶対状態異常無効」・・・呪いだろうと猛毒だろうと、何者も蝕めない。常時発動。

「絶対気配遮断」・・・透明人間のように、その場にいても姿が見えなくなり、その気配を感知するモノや行動を予測することがいかなる能力でも不可能になる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 燃料タンクの様な扱いになる可能性はあるのだが、それでもかなりのチートだと照代は思えた。


 そして、「真実の瞳」とやらで確かめると・・・・・



「・・・・やっぱりね」


 見たいと思う事を見れる能力・・・・それは、皆が今どのような状態になっているのかも見ることができるのだ。


 そして、照代を除くクラスメートたちにはみんな状態異常として「興奮」がかかっていたのだ。


 普通の興奮とは違い、状態異常のモノは冷静さを欠けさせるという効果があるようで、中には「魅了」なんて言うモノもあった。



 その元凶が、あの国王とその他(王子や王女たち)のようである。


 そのうえ・・・・・この能力によって彼らの考えまで見えてしまった。


「帰還方法無し、帰ってきたら毒殺決定、自由にしているやつらは寝込みに暗殺もしくは奴隷化、魔王は別に脅威ではなくむしろ友好的なろうとしているけどこの国は聞く耳持たずで、領土ほしさゆえに他国とも共謀、勇者召喚のために犠牲者は数知れず・・・・どれだけやばいのよ!!」


 

 あまりにもひどすぎる状況に、照代は思わずツッコミを入れた。


 腐りきっているどころか、新たな化け物を生みだしているかのような状況である。



 とはいえ、知ったところで彼女一人ではどうしようもない状況。


 この事を他の人達に話そうとしても、すでに魅了にかかっているひとや、興奮している人たちには聞く耳を持たれない。


 むしろ、この事実を知ってしまった今、すぐにでも暗殺されそうな状況である。



 

 仲間はおらず、孤立無援・・・・・絶望的であった。


 だが、完全に絶望というわけではない。


 






(・・・・この能力があって本当によかったわ)


 深夜、皆が寝静まったころに照代は「絶対気配遮断」によって城を抜け出した。


 彼女の行動を読み取れそうなものはいないことを確認したうえで、少々旅費代わりに金庫からわずかな金額をいただいてきている。


 このまま人知れずに逃げ出し、この国と共謀していないような国・・・・・出来れば敵対しているところへ彼女は逃げ込むつもりだった。


 そして、その場所でどうにか隠れて生活し、何とか元の世界に・・・・出来れば輝也がいるところへ帰る方法を探し、無理ならこの危険性を教える。


 それでもダメであるならば、万が一のために自決用の毒をついでにもらってきていた。


 この世界に愛することができる人がいない以上、その自決の手段は最終手段とは言え使用するつもりである。




こうして、照代は人知れずに、その国から逃亡したのであった・・・・・・


・・・時間軸としては、結構あやふやなところがあるので過去でもあり、未来でもあるような状態だと思ってください。

このサイドストーリーって、もう一人の主人公の話の様なものである。


ついでに、ご指摘によって作者は気がつきましたが、照代さん「状態異常無効」・・・・・つまり、自決用の毒って意味があるのだろうか?

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