#109
後日談?
SIDEカグヤ
『‥‥‥結局カグヤ様が優勝しちゃって、どうするんですかねその賞品?』
「どうと言われてもなぁ‥‥‥どうしようか」
学園祭から1週間後、今日は休日であり、自室にてカグヤは未だにある事で悩んでいた。
悩んでいる原因と言うのは‥‥‥なんやかんやあって優勝して得てしまったミスコンの優勝賞品である。
「『好きな殿方と一緒に2泊3日のウフフな旅』って‥‥‥俺は男だし、使い道のない旅行券ってどうしろと!!」
旅行先を見てみれば、観光地としては有名な‥‥‥と言うか、以前も行ったことがあるあの場所だ。
「バーステッド王国とデストロイ帝国の大体の間に位置する観光地‥‥‥『ティラーン湖』かよ」
思い出すのは、この夏にあった会談。
リースの親族との顔合わせや、王国と帝国での平和的な交渉、突如としてあらわれた怪物の襲撃…‥‥
中々濃い時期だったなぁと、カグヤはどこか遠い目をしながら考えた。
「今は確か、別の観光スポットも増えたんだっけ」
『カグヤ様自身が創り出した花畑ですよね?元は『クリーンフラワー』とかいう白い花でしたのに、浄化作用が極限まで高められた聖草まで言われるようになった『ゴールデン・クリーンフラワー』の花畑ですよ』
‥‥‥毒を吐く怪物クトゥルクラクパスへの対処として、魔法によって創り出された浄化能力が高められた花が咲き誇る花畑。
黄金の花畑であり、今では観光客が倍増したとかも聞くのだが…‥‥そこが旅行先のようだ。
「授業を公欠することができるようだけど、使いようがないし、使用しようとしてもあの優勝者が俺だとばれても困るしなぁ」
頭を悩ませるカグヤ。
捨ててもいいのだが、このままではもったいない。
かと言って、使用しようにも迂闊にすればカグヤが優勝したツキヨと同一人物だとばれるリスクが高い。
一応、唯一その秘密を知っているのはアンナだけなのだが…‥‥
うんうんいって悩んでいるカグヤの様子を見て、同様に考えていたアンナは動いた。
『‥‥‥でしたら、私にそれを渡してくれないでしょうか?』
「ん?それでどうするんだ?」
『それを私が使用してカグヤ様、一緒にその旅行をしませんかね?』
「‥‥‥へ?」
アンナのその言葉に、カグヤは目を丸くしたのであった。
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SIDE神
‥‥‥どこのとはわからない、真っ白な空間。
そこで、神は気まぐれに今のカグヤたちの様子を見ていた。
世界が多く存在し、時間の流れもなにもかもばらばらであり、特定の世界だけを見続けるのは実は難しい。
けれども、珍しく目をかけたカグヤたちがいるので、ちょっと苦労しつつその様子を眺めていた。
「ほほぅ、何やら面白そうなことになっておるのぅ」
アンナがカグヤに案を出しているタイミングで、神はその様子をニマニマとしながら見つめる。
ただまぁ、もどかしいと思うところがあるとすれば、カグヤの鈍感さである。
明らかに好意を持っている者達がいるのに、友人という枠組みから進むことがない。
‥‥‥カグヤが前世の月夜輝也から転生する際に、様々な細工を少しばかり入れ込んだのだが、肝心の部分でどうも抜けているようであった。
「才能もいくつか発現しておらぬ様に思われるが‥‥‥おそらくは、転生時の負荷とかもあるんじゃろうな。じゃが、もうすぐ全部目覚めるじゃろうし、それはそれで面白そうじゃ」
ニマニマとしながら、カグヤの体に入れていた才能を思い出し、その後どうするのかも気になる。
そしてもう一つ、カグヤの隣にいるアンナにも神は目を向ける。
‥‥‥数奇な運命とでもいうべきか、それとも必然と呼ぶべき運命なのだろうか。
めぐり逢い、別れ、ふたたび出会う人の運命。
それが今回、カグヤたちにどう定めるのかは、神ですら予想もできない。
ただ、面白そうだからと言う理由で神は見続けるのであった・・・・・・
‥‥‥ちょっと閑話orサイドストーリーを挟んで新章へ行きます。
そろそろ、きちんと向かい合うべき場を設けましょうかね。
転生し、めぐり逢い、そしてどうするのか。
次回に続く!!
‥‥‥なお、この時点でミスコン優勝謎の美女ツキヨの話もちょっと考え中。探し求める人たちの話を書いたほうが良いのかなぁ?