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#108

今回中々大変だった。

『‥‥‥さて、いよいよ最後の参加者の登場です!!魂魄獣の神獣型、人の姿をとるけどその姿はまさに美女!!アンナさんの出番です!!』


 ミスコンもいよいよ終盤となり、最期に舞台に立ったのはアンナだった。


 大人の魅力を醸し出すかのように、彼女は黄金に輝く髪をなびかせ、着ている服は漆黒を思い浮かばせるようなほど黒いドレスながらも、よくよく見れば魔法でちょっと整えたのか、綺麗な光の粒子が混じっており、なんというか…‥‥月夜があればより引き立ちそうな、夜に君臨する魔女と言った姿であった。



『最後のトリを飾りますアンナです。皆さま、今回私は演奏でアピールをいたしましょう』


 いつものような明るい彼女ではなく、どこか落ち着いた雰囲気を出し、なにかをつぶやいたかと思うとどこからともなくバイオリンのようなものがアンナの手の上に出てきた。



『それでは弾かせていただきましょう‥‥‥』


 そういうと、アンナは演奏し始めた。


 奏でられている曲は聞いたこともないようなものであったが、どことなく愁いを帯びたようなものから、明るくなるような曲まで混ざっているように感じられ、自然と皆聞きほれさせられた。



‥‥‥物凄く意外である。


 普段本の状態でいたり、明るかったりする彼女が楽器を使用して奏でるという姿をカグヤは想像したことはなかった。


 だがしかし、もともと持つその美貌とその恰好や雰囲気が見事に合わさり、違和感なくアンナの演奏が行われていく。


 音楽家の才能でも彼女は持っていたのだろうか?いや、違う。


 そもそもアンナは魂魄獣であり、才能に関してはないらしい。


 ただ、前世が大魔法使い‥‥‥つまり、儀式とかをやるような感じがするので、その時に何か音楽を奏でる必要性がある物なら習得していてもおかしくはないのかもしれないのだ。




 しかし気になる点としては、演奏している手を物凄く早く動かしているところである。


 いや、バイオリンとかの演奏を見たことはあるけどさ、あそこまで早く手を動かすっけ?


 影分身をしているかのように、いくつもの手があるように見えて、なんか元の曲の演奏の仕方が大量のバイオリンやら腕がある事が前提のように思えるのだが‥‥‥まぁ、そういう演奏だと思えばいいのかな?


 まさかその曲を教えた人物が物凄い大量の手を持っていたとかってことはないだろうし、何処ぞやの楽団でも見て覚えたとか、そういうことだろうね。アンアの前世の生活がちょっと気になるなぁ‥‥‥






 演奏が終わり、会場に静寂が訪れるとともに、アンナが一礼をして、そのすぐ後に大量の拍手喝さいの嵐が巻き起こったのであった。







『さぁ!!いよいよ集計へと入ります!!』

『まもなくですが!!果たして優勝はいったい誰の手に渡るのでしょうか!!』


 舞台に参加者全員が立ち、結果を待つことになった。


 観客や実況の人達がいれてきた点数を集計し、一番高得点の人物が優勝となるのである。



 カグヤは優勝とかはどうでも良かったし、さっさとこの場からバレる前に逃げたいとは思っていた。


 やっていたアピールも地味なものだったし、そうそう目立っていないはずである。


 観客の拍手などの様子から見て、おそらくミルル、リース、アンナあたりの三つ巴の戦いへとなるだろうが、果たして結果は‥‥‥‥




 ジャラララララララララララ!!っとどこの世界でも共通していそうなドラムの音が鳴り、結果がいよいよ発表されるときになった。


 観客席も、参加者たちも全員がドキドキしているようであり、そのどきどきとした心音が響き渡っていそうな次の瞬間。



バァン!!


 ドラムが叩かれ、優勝者を告げる声がした。



『10点満点中!!』

『なんと驚きの10点ぴったりの!!』

『優勝者決定!!』

『それはぁっ!!』


 ごくりと、皆がつばを飲み込んだ次の瞬間、告げられたのは‥‥‥


『エントリーナンバー34番の今回の飛び入りダークホース!!』

『『『『ツキヨさんに決定いたしましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』』』』



 わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!っと歓声が上がる中、カグヤは唖然としていた。


 地味な感じでアピールして、それほど目立つこともしていなかったはずなのに‥‥‥なぜ?



『理由のアンケートも既に集計されています!!』

『「他の方々に比べてどこか自信なさげな姿が良かった」、「全体的な素の美しさを出していた」、「顔が好みである」、「美しさの中でも見ていることができるほどだった」、「淡い光の散らばるさまでより一層姿が引き立てられていた」等々、他の参加者に比べて自身をより綺麗に引き立てる、このミスコンの美しさの基準を考えさせるようなアピールが優勝をつかませたようです!!』

『皆様盛大な拍手を!!』


 ぱちぱちと拍手が送られる中、カグヤは叫びたかった。



 なんで優勝してしまうんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!っと。


 カグヤのその心の叫びは、その事情を知っているアンナ以外は知る由もないのであった‥‥‥

‥‥‥まさかの主人公が優勝したのでした。

この後、カグヤが優勝賞品を受け取った後全力で逃走したのは言うまでもない。

そして後日、「謎の美女優勝」の噂でもちきりになるのだが‥‥‥正体を探ろうとした者たちは、もれなく何者かの手によって変な姿にされたり、色々と不幸な目に合うようになって、次第にその噂はすたれていくのであった‥‥‥


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