#89
マッキーナがなんとなくイラっと来たので、少々短くなるかも。
SIDEカグヤ
「‥‥‥魔性の女ってこういうやつを言うのか」
『あっという間と言うか、一瞬で大半が堕とされましたね』
学食の場にて、その光景を見ながらつぶやいたカグヤの言葉に、アンナはうなずきながら返答した。
本日、ラフター皇国から新たな留学生としてきたマッキーナとか言う女は、あっという間に学校の男子生徒の大半を掌握してしまった。
何しろ一目見ただけでドキューンって音が何人からか聞こえ、微笑んだ瞬間にはなぢを吹き出してぶっ倒れる人が大多数出たのである。
‥‥‥正直言って、どこにそんな魅力があるのかカグヤは理解に苦しむ。
化粧が厚いし、仕草も作り物じみているし、なんか皆愛しているとか薄っぺらいように感じられる言葉を吐くし、そして何よりも‥‥‥
「すっごい気持ち悪い‥‥‥嘔吐感がひどいな」
カグヤの兄たちの協力の下、魅了にかからない薬を処方してもらい、あらかじめ予防として飲んだのだが‥‥‥かなりきつい副作用があった。
それは、魅了をかけようとしている相手がいる場合、かなりの嘔吐感をもたらすという副作用である。
この気分の悪さで惑わされないような効果があるらしいが、余りの吐き気に、ひどい乗り物酔いをするアンナの気持ちが少々理解出来たのであった。
「なんというか、気持ち悪いなあの女‥‥‥」
「そうですわね、こう嫌悪感がありますわ」
「爛れた娼婦の雰囲気ダ」
リース含むいつものメンバーの女性たちはどうやら男子柄生徒たちとは逆の作用を受けているようで、魅了よりもひどい拒否感を持つようで、皆顔をしかめていた。
ベスタ?あいつはもう陥落しかけたから薬を突っ込んだ上に、頚椎のあたりをガッとね。
本当なら学校中の男子全員に服用させたかったのだが、少々量が足りずにいきわたらなかった。
そもそも、人に何かわからないような薬をもらって、説明が胡散臭いモノだったら素直に飲むか?
その考えもあって、結局大勢が犠牲となったが‥‥‥まぁ、魅了の作用はそのうちある事でまとめて消し去る予定である。
「ああ!!見つけましたわルシス様ぁぁぁぁ!!」
「げぇぇぇぇぇぇっつ!?」
と、ふと気が付くと、マッキーナが物陰に隠れていたルシスに気が付いたようで、早歩きでそこに迫った。
「ああルシス様、どうしてこのワタシの愛を受け取ってくれないのかしら?お義父様やお義兄様方も一緒になっているのに、なぜでしょうか?」
「ミーにとっては何もないし、今は近付かないでくれぇぇぇぇぇぇ!!」
「ああ待ってくださいルシス様ぁぁぁぁぁ!!」
猛ダッシュで逃げるルシスに、慌てて追いかけるマッキーナ。
ただ、その姿は好きな人を追いかけているというよりも、獲物を狙う捕食者のようにしか見えなかったのであった‥‥‥
―――――――――――――――――――――――――――――――――
SIDEマッキーナ
「‥‥‥ちっ、やはりワタシの魅了にかからないようですわね」
「マッキーナ様の魅了にかからないところを見ると、やはりある程度耐性のようなものがあるかと」
「女好きに惹かれない女って、それはそれでプライドを傷つけるわね……」
第3皇子のルシスに逃げられ、校内の中庭にてマッキーナは忌々しそうにそう吐き捨てた。
女好きでナンパしまくりでで軽薄な男としては、第3皇子は有名である。
そんな人物なら簡単に籠絡できると考えていたのだが、思いのほか全く魅了に引っかからないことにマッキーナはいら立ちを見せた。
「そのうえ、シグマ家の子息らしき者たちも見たけど、誰も魅了されていないじゃない!!他の男たちなら簡単に手玉にとれたのに、全く気に食わないわね!!!」
「それなのですがマッキーナ様、どうやらすでにそのうちの一人は女に不自由していないようですので、おそらくそのせいでマッキーナ様の魅了にかからないかと推測ができます」
憤慨しているマッキーナに対して、デストラーデは自身の推測を述べた。
「不自由していない?誰かいるってことなのかしら?」
「食堂で陰から確認してみたところ、どうやら仲がいい相手がいるようで、しかも愛人を名乗るような者がいるという証言も取れます」
「あ、愛人がいるぐらいなのに、なんでワタシを見ないのよぉぉぉぉぉ!!」
その言葉を聞き、激怒するマッキーナ。
己の魅了にかからないばかりか、自分以下だと彼女が考えている学園の女子とも関係があるときくと、どうしても耐えられないような怒りがわき上がってくる。
「‥‥‥そうよ、だたらいつも通りにいけばいいのよ」
「と言いますと、恒例の邪魔者排除でしょうか」
「そう、その手よ!!その女を見てワタシを見ないのであれば、その周囲からその者たちをすべて排除して、ワタシだけしか見れないようにすればいいのだわ!!」
すべての男は自分のモノ、男の相手は自身の相手と、ジャイアニズムもどきの持論を立てて、ラフター皇国でも相手を手に入れるために使用した方法をマッキーナはとることを決意した。
‥‥‥だが、その様子を密かに物陰から小さな猫が見ていたことには気が付かなかった。
ただの猫ではなく、とある人物の魂魄獣であり、その様子を見てくるように命令されていた魂魄獣。
己の主にその様子を伝えるために、その猫はそっとその場から気が付かれぬように離れたのであった‥‥‥
滅亡への道を歩んでいることに気が付かないマッキーナ。
見事に虎の尾を踏むことになるか、逆鱗に触れる様な行為をしていこうとする。
この世にギリギリ残るか、消滅させられるかの未来が見えそうなものなのだが‥‥‥
次回に続く!!
‥‥‥マッキーナを完全消滅or瀕死で生きている方が辛い状況にするか。
後者の方がいいかな?