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#85

主人公不在回。

ちょっと話題の場所へ‥‥‥

SIDEラフター皇国


「‥‥‥くふふふふふふふふふ、今日もまた20人も虜になったわね」

「はい、お嬢さまの美しさに皆ひれ伏しております」


 ラフター皇国、王城にて一人の女性がつぶやいた言葉に、隣にいた青年が答える。


「これで今日もまた皇国は平和、この魅了によって争うバカな男共はいなくなり、世界は統一される。そう、ワタシこそがこの世を統一しうる女神なのよ!!」

「「「「ははぁぁぁぁあ!!」」」」


 叫ぶ女性に、ひれ伏す周囲の男性たち。


 その顔は、誰もが何もかも忘れて夢中になっているようであり、狂信的な雰囲気を漂わせていた。



 彼女の名前はマッキーナ。

 

 元は皇国のスラム街にいたただの少女であったはずなのだが、才能が目覚めて悪用方法を思いつき、そして今日今この皇国を乗っ取っている状態にまで上り詰めていたのである。


 隣にいる青年は、彼女の魂魄獣・神獣型であるデストラーデと言う名で、執事のような役割を担っていた。


「デストラーデ、皇国の馬鹿な男共の掌握率は今何%まであるのかしら?」

「そうですね、マッキーナ様の魅力によって国民のおよそ98%は掌握できているかと。2%は性癖等の関係でどうしても埋めることができない者たちでありますが、お嬢さまの美しさを理解できない者たちなので、徐々に削ぎ取っています」

「なるほどね。まだまだワタシも甘いのね。削ぎ取るというよりも、そうね‥‥‥ワタシに反発するこの国の女たち同様に奴隷落としにしたり、もしくは新薬の実験に使用したほうが良いわね。この美しさも年を過ぎれば消えゆくでしょうし、今の生活のままだと高齢になってしまえば夜が持たないわ」


 新薬とは、彼女が掌握して堕とした男たちに命じて開発させている若さを保つ薬の事である。


 いくら才能によっても、薬で底上げしたりした魅力でも、老いていけば消え去るのは明白。


 その老化が怖ろしくて、マッキーナは開発を急がせるのであった。



「マッキーナ、今日の夜伽にこの僕ちんを参加させてくれないだろうか」

「いやいや、こんなやつよりもこのわたくしめが」

「ノー、ノー、ココはあっしにお任せネ~」


 その傍らで、マッキーナに言い寄っているのは、彼女に堕とされたこの国の第1皇子と第2皇子、そして国王である。


 彼らには婚約者や王妃、側室などもいたのだが‥‥‥マッキーナは全て略奪し、その婚約者などの女性たちを蹴落としたのである。


「ふふふん、そろって相手してもいいわよ。そろそろ他国の人も味わいたいけれども、あなたたちも素敵だもの」

「ああ、麗しのマッキーナよ」

「わたくしめたちにまで平等に扱ってくださるとは」

「感謝感激、雨あられネ~」


「‥‥‥それにしても、第3皇子のルシス様が手に入っていないのは痛いわね。あの忌々しい第3王女と共に他国へ留学するなんてね」

「どうやらバーステッド王国の学校へ留学したようです。留学の話はマッキーナ様がこの城に来る前からあったようですが、ちょうどよく逃げたとみてもいいでしょう」


 マッキーナとしては、この国を完全に掌握したくて、不安要因であるルシスは放っておけない存在である。


 女好きと言う話はあるのだが、なぜか彼女が体で誘おうとしても、彼はどういうわけか素早くその場から逃げてしまうのだ。


 

「ちっ、放蕩物の馬鹿皇子かと思っていたけど、まさか逃げるほどの頭が回るとはね。他国で味方を得られて攻め落とされても困るし、ここはそろそろ国外進出を考える時かしら」

「でしたら、マッキーナ様も留学なされてはいかがでしょうか?」


 マッキーナの言葉に対して、デストラーデは提案をした。


「勉強なんていやよ?あんな文字の塊、数式の意味不明さ、蛮族とも言えるような品性のかけらもない剣術や魔法なんて学びたくはないわよ」

「そうですか。ですが、留学をすればあるメリットがあります」

「メリット?」

「はい、その学校には今あのシグマ家の子息たちが通っているという情報です」

「シグマ家‥‥‥一番敵に回したらやばいところよね」


 さすがにこのラスター皇国でもシグマ家の話は伝わっており、教養をほとんど受けていなかったマッキーナでも聞きかじってはいた。


「子息たちは皆男児。マッキーナ様の美しさで籠絡すれば、将来的にシグマ家を手中に収めることが可能でありましょう。そうすれば‥‥‥」

「なるほど、シグマ家をバックに付かせることができればより堂々と交わったりできるのね!!」

「そうでございます」


 何を言いたいのかわかったマッキーナが叫び、デストラーデは肯定した。


「そうと決まれば、明日にでも向かうわよ!!」

「マッキーナ!!今日の僕ちんたちとの夜の相手は」

「もちろんするわよ!!シグマ家の子息を相手取る前にまずはあなたたち全員と修練を積むだけよ!!」

「流石マッキーナ!」

「麗しの女神様!!」

「老いもワスレサセルネー」


 その晩、ラフター皇国では絞りに絞りつくされて、翌日マッキーナが国から出たときには、皆ミイラと化していたそうな‥‥‥



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

SIDEシグマ家




「へぇ、あの淫猥女がついに出てくるのね」

「はっ、情報によればそうらしいという事です」


 シグマ家の一室で、シグマ家当主のアーデンベルトとその妻のテリアスは、シグマ家の持つ諜報員からの情報による報告を受けていた。


 最近、ラフター皇国での動きが怪しく、シグマ家で独自に調査を進めていたのだが‥‥‥その内容が飛んでもないものだったのだ。


「まさか、たった一人の女によって国が掌握されるとはな。武力による掌握ではなく、血を見ないのは評価ができそうなところだが‥‥‥」

「けれども、掌握後が最悪ね」


 バサッと、報告された書類の数々のうち、その一部を見てテリアスは胸糞悪そうな声でそう言った。


 

 ラフター皇国は現在あった一人の女‥‥‥マッキーナとかいう者に掌握されており、ほぼ全員が傀儡のようにされているという情報だ。


 そして、その中でも男性たちの中で見麗しい者たちは毎夜の相手をさせられており、麗しくない男たちでも‥‥‥


「自分に逆らったり、気に食わない娘を奴隷に堕としたり、冤罪をかけてそいつらに引き渡しているわね。最悪よ」



 同じ女としても、絶対に相いれないような存在であり、気に食わないどころか嫌悪しか出ないテリアス。


「そして今度は学校へ向かい、掌握をこの国でさせるようだけれども‥‥‥可愛い息子たちを狙っているのは明らかね」

「エリザベス、スイレン、カグヤを狙っているのは明白だな。流石にこんな女とは一緒にさせられぬし、破滅の未来しかないだろう」

「というか、掌握されて手駒にでもされたらお腹を痛めて産んだ我が子とはいえ、本気で私が殺戮こほん、仕置きして目を覚まさせる必要性がありそうね」


 何やら物騒な言葉がテリアスから出たのだが、これはある意味巣に戻っていると言っていいだろう。


 今ではアーデンベルトとの甘い関係を構築してはいるのだが、結婚前は婚約しようとして来る者たちをすべて粉砕してきた「微笑みの女帝」とまで呼ばれた最強の女。


 己の息子たちが、簡単に籠絡されようものなら許せないのである。


 というか、たぶらかそうとするマッキーナ自体、姿は未だに見てはいないものの、滅殺対象としていた。



「ふふふふふふ、どうせならこの女が来る前に不幸として何かしらの落石や盗賊とかを仕掛けるのもよさそうね。ああ、落とし穴を仕掛けて剣山を仕掛けてもいいし、むしろ精神的な意味では糞尿を詰めようかしら?」


 にこやかに言いながらも、全く笑っていないその目に報告してきた諜報員の代表の人物と、夫であるアーデンベルトはぞっとする。



「ま、待て待て妻よ。ここはいっそのこと息子たちに任せてみようか」

「あら?あなたはそれでいいのかしら?可愛い我が子たちの貞操の危機でもあるのよ?」

「大丈夫だろうと思えるからだ。エリザベスやスイレンはそもそも植物や薬に関してのみにしか興味の対象としていないし、カグヤに至ってはその女よりも十分すぎるほどの彼女がついているだろう?」

「ああ、アンナね。確かに彼女なら任せても大丈夫でしょうけど‥‥‥」


 カグヤのそばにいる魂魄獣のアンナを思い浮かべ、大丈夫かもとテリアスは思ったが‥‥‥




「けれども、息子たちはそろそろこういった情事にも興味を持ち始める年頃。そこに甘い爆弾を投下されては理性が砕けそうなのではないかしらね?」

「そこは精神力次第だな。まぁ、何かがあった時のために断罪の材料をたくさん用意したほうが良いだろう」

「それもそうね。人の子供に手を出そうとする魂胆であるならば、それ相応の天罰を下したほうがいいわね」


 にこりと微笑むテリアスに周囲はほっとした。


 この日、シグマ家では万が一に備えてマッキーナの素性や犯してきた罪などを白日の下にさらす用意を密かに進め始めるのであった‥‥‥


カグヤの母のラスボス感をもっとあふれさせたかった。ううむ、迫力をもっと上げたほうがよりすごそうな感じなのだろうが……

そして密かに断罪へ向けての準備が進められるって、もうマッキーナ最初から詰んでいないかこれ?

次回に続く!!


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ちょっとおまけ「名前の由来」

マッキーナ=「末期」:最初は優しい少女だったはずが、いつの間にか悪女へ変貌。色欲に狂わされた感じである。

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