#84
前半、少々描写的に想像すると恐ろしいので改稿するかもしれません。
SIDE皇国兄妹
「さてと、何をまた馬鹿なことをしでかそうとしていたのかを、これで十分理解できたか馬鹿兄貴?」
「はい、物凄くミーは理解したのだよ‥‥‥だからその」
プスリ
「痛っ!?爪の間に針をいちいちぶっ刺さないでくれ妹よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
現在、留学生用に与えられた寮室にて、ネリスは己の兄であるルシスにシグマ家に喧嘩を売るとどのようになるのかを、具体的にかつ最低でも起きるであろう可能性を、肉体言語でしっかりと教えこんでいた。
関節を逆方向にばきっと折り曲げたり、足を拘束して延々とタンスの角に小指をぶつけさせたり、爪の間に針を刺したり、火あぶりにしたりと、様々な方法でしっかりと叩き込んでいたのである。
こうでもしないと、この兄は反省をきちんとしないのだと、ネリスは理解しているのだ。
‥‥‥なお、兄を毎回なにかしらの道具や技でぼっこぼこにしてはいるのだが、これはネリスの持つ才能にある。
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『お仕置きの才能(兄専用)』
「専用才能」と呼ばれる、才能の中でも特定の才能の相手にしか効果を発揮しない才能。
「お仕置きの才能」の対象が誰になるのかはランダムであり、発現したその時にしかわからない。
対象者にたいして、全能力が向上し、またお仕置き用の道具(例:ハリセン、輪ゴム、メイスなど)を自動的に手許に引き寄せて使用して、対象をフルボッコに出来る。
使用した道具はお仕置き完了後消滅するのだが、対象以外の相手には効果が全くないし、他人が触れることもできない。
なお、命を奪うことまではできない優しい仕様(?)。ゲームで例えるのであれば、必ずHPが1残るようなものである。
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「というか、むしろそうしたほうが良かったかもしれないじゃん。どうせ、うちの国って滅ぼしたほうが良いと思うし」
「確かに今皇国はあの女によって滅茶苦茶にされてはいるが、シグマ家によって滅亡させるようなことは絶対にするな!!不毛の大地になったら最悪じゃん!!」
ゴッツ!!
「ぐべぇっつ!?」
ぷうっと、年齢的にも見た目的にもかわいらしくない頬を膨らませたルシスに対して、ネリスはアッパーをかます。
「ふん、馬鹿兄貴が兄貴だから、あたしも大変困っているんだよ。まぁ、この専用才能のおかげで兄貴のお目付け役として一緒に留学と称してあの国から出られたのは、そこだけは感謝するけどね」
「感謝するなら、今度可愛い他の女友達ができたときに、ミーへ紹介をぜひとも」
「まだ言うかこの馬鹿兄貴ぃぃぃぃぃぃ!!」
「ちょっ!?そのおろし金はマジでやめて!!」
ルシスは全力で後ずさりし、逃げようとしたのだが‥‥‥
「許さん!!この馬鹿兄貴なんか細かくしてやるぅぅぅぅぅぅ!!」
ネリスはそう叫び、逃げようとしたルシスをがっちり捕獲して‥‥‥
ゴリゴリゴリゴリゴジャリザリザリザリザリザリザリ!!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ルシスの頭を押さえつけ、おろし金ですりおろすネリス。
はたから見れば、物凄い狂気の光景であろう。何せ足元に血だまりが出来ながら肉片が重なっていくのだから。
ルシスからしてみれば、シグマ家の恐怖よりも、己の妹であるネリスのお仕置きの恐怖が上だった野である‥‥‥。
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SIDEカグヤ
「え?久しぶりの神からの連絡?」
『はい、メッセージが届いていますよ』
寮室にて、カグヤはアンナがまた何か神からのメッセージを受け取ったという報告を受けていた。
「ちょっと表示して見て。また何かあったのかな?」
カグヤはそう命令し、アンナは本の姿になってそのメッセージを表示した。
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‥‥‥あー、マイクテス、マイクテス。マイクで話してはおらぬが、なんとなくこういいたくなったのじゃ。
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うん、そこはまぁツッコミ放棄しよう。
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さてさて、元気にしておるようじゃが、今回は少々面倒事と言うか、軽く国一つ潰れかねない案件があるのじゃよ。
ぶっちゃけ、国が一つ潰れようが滅びようが、基本的にノータッチの精神なのじゃが、本件は流石にそうも言っておられぬようなことになっておるのじゃよ。
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「国一つが滅びる案件に、神が接触?」
その言葉に、カグヤは首をひねった。
基本的にこの神からのメッセージと言うのは、大抵の場合たわいもない世間話か、もしくは世界に負担をかける様な転移させる技術の破壊などがある。
だけどそれはあくまで全体的な世界に関わるだけの話であり、特定するようなことは特になかった。
以前会った召喚魔法陣の腐った聖女と教皇のあれは‥‥‥自分たちの欲望で巻き込んでいて世界に負担をかけることだからと言うのはいい例だろう。
そんな中で、今回の件はどうやら国そのものに焦点を当てているようなのであった。
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なにせのぅ、今回お主にどうにかしてほしいのは「ラフター皇国」という国じゃ。そこで少々困ったことになっておるのじゃよ。
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「‥‥‥ラフター皇国って」
その言葉に、カグヤの頭に浮かんだのがあの二人。
ルシスとネリスの二人は、確か互に皇国の第3皇子に王女だったはずなのだが、その出身国に何かあったのだろうか。
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何しろ、今その皇国ではとある迷惑な大馬鹿野郎が‥‥‥才能の悪用をしており、牛耳っているような状態で、将来的にいつぞやかの聖女・教皇のようにまた何かを召喚してしまおうとかいう風になる可能性があるからのぅ。
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「はぁっつ!?才能の悪用でどうやって国を牛耳っているんだよ!?」
『カグヤ様の才能を悪用すれば世界征服できそうですけど、そんな国を牛耳るような才能の悪用ってあるんですか!?』
「おいアンナ、今さらっと何か言わなかったか?」
まさか魂魄獣の彼女にそう言われるとは思わなかったけど‥‥‥とりあえず話を戻そう。
神からのメッセージ内容を大まかに聞くと、才能の悪用で、現在ラフター皇国はある人物に乗っ取られていて、将来的に今は正直者かどうかを試す場としてなった国のように、異世界から何かを召喚しかねない危険性があるという事らしい。
で、その悪用者をどうにかしてほしいようである。
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とはいえ、うかつに男が近寄ってはまずいような奴じゃからな‥‥‥下手すりゃちょっと人間の構造をいじってできているお主でもだめかもしれんので、どちらかと言えば今回はアンナの方に頼みたいのじゃ。
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ちょっと待て、またさらっととんでもない発言をしていなかったか?
そう言えば転生時に、色々いじるみたいな話をしていたが‥‥‥俺って人間やめさせられていないよね?
「ん?男が近寄るとまずいって何があるんだ?」
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なんというか、サキュバスもどき、いやそれ以上にたちが悪い「魅了の才能」を持っておるからな。本来であれば、ほんの少しだけ相手に惹かれやすくなる才能なのじゃが、そやつ何やら様々な道具や薬などで無理やりその才能の力を向上させて、言うならば誘蛾灯のような状態になっておる。そ奴の本質をきちんと理解し、嫌悪している輩には効かぬ才能じゃが、それ以外の異性は明かりに引き寄せられる虫のごとくあっという間に虜にしておるようじゃしのぅ。カグヤでも万が一と言う可能性があるのじゃし、異性であるアンナの方が適任じゃろ。
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「なるほど、そういうやつなのか‥‥‥って、才能の力を無理やり高めることができるのかよ」
『様々な条件にもよりますが、理論上可能らしいです。というか、カグヤ様の「才能向上」もその力を高める一つですしね。ですからあり得ない話ではないですが……』
言われてみればそうであった。
理論上以前に、才能の力を高める方法はある事はあるらしい。
ただ、努力をして才能の力を高めることの方がいいのだが、薬の類とかだと変質もしていくらしい。
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ぶっちゃけそのせいで、そ奴の魂も恐ろしく濁ってのぅ、すっごい爛れた生活と言うか、神から見ても物凄く引く状況の汚濁された状態と言うか……ま、そんなわけでどうにかしてくれなのじゃ。命を奪うのが最適じゃが、流石に殺人犯のようなことにはならぬようにな。
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‥‥‥神からのメッセージは以上であった。
「なんというか、これまたすごい面倒事を押しつけられたな」
『国を牛耳っているという事は、権力者たちとつながっていそうですし、相当厄介ですね』
ううむとうなり考えるカグヤたち。
今までの魔法陣の破壊などであれば、遠距離から攻撃するだけで良かった。
だが今回は、特定の個人を狙ったものであり、そう簡単に事が進まないのは理解できる。
ならば、その皇国でせめてもの協力者、それもある程度権力とかもある相手じゃないと……
「どうにかならんかなぁ?」
『うーん、流石に私でもこういうのはどうかと。シグマ家の方に要請するという手段もありますが、基本的にこういうことに対してはふれなさそうですしね』
リースの時のは、親しい友人という事でもあり、この国の膿を切り捨てる意味もあったのでシグマ家ソノも尾からの情報提供などの協力は得ることができる。
けれども、あくまでカグヤはシグマ家の三男であり、将来的に継ぐこともないだろうし権力も持っているわけではない。
それに今回は他国なので、うかつにやれば外交問題待ったなし。
「さて、どうするかな‥‥‥?」
考えるカグヤたちであったが、結局その日はいい解決案を思い浮かばないのであった‥‥‥
迂闊に手を出しにくい他国の特定の人物。
今のところは様子見になりそうだが、果たしてどうしたものか。
‥‥‥ぐぬぬぬぬ。なんて面倒な事を神は言ってくるんだよ。
‥‥‥なお、ネリスは本当はツンデレ系を目指す予定だったのに、なぜか男勝りな性格になった。どうしてこうなった?




