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第8話 見捨てられた
「私は.....どうしたらよいのですか。」
大きな声を出したつもりだったが声が震えていた。
「どうしたら?笑わせるな。お前に何が出来る?」
「それは...!」
「何もできないだろう?お前になど一切期待していない。」
何もできない。
確かにそうだ。こんなにひどいことを言われているのに怒りの言葉の1つも出てこない。
...心が麻痺している。
何年間も続いた暴言に今更心が傷つけられるわけもなかった。
「この会社が潰れたら、お前のことを捨てるのも簡単だな。それだけがせめてもの救いだよ。」
「確かにそうですね!」
笑いあっている父親と兄の顔は私から見たらただの悪魔だった。