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第17話 寂しさ
――あっという間だったな。
筒井さん親子が来てから今日まで本当にあっという間だった。
今日から私は筒井さんとマンションで同居することになる。
つまり、引っ越しをしなくてはいけない。
「準備できましたか?」
引越し業者の人が私に尋ねてきた。
持っていく荷物は少ないのでとっくにできていた。
「あと少しだけ待ってもらえますか?」
私は家を見ながら聞いた。
悪い思い出ばかりだが、この家はお母さんと一緒にいられた空間でもある。
いざ離れるとなると寂しさが心を覆い尽くした。
―自分が決めた道なんだからしっかりしなさい。
お母さんの声が聞こえてくる気がする。
「準備できました。お願いします。」
引越し業者の人の目を見て頼んだ。