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第15話 同感
「あなたのお母さんは自分が死んでしまうことを分かっていたわ。それであなたの事をとても気にかけていた……。」
どうして私は気づいてあげられなかったんだろう。体調がかなり悪かったはずなのに……。
「私、気づけなかったんです。あの頃お母さんの顔色が悪かったのには気づいていたのに。それなのに、お母さんは私のことなんか心配して…。」
「私も同じよ。親友のくせして何にも気づけなかった。だから、光里が最後の最後まで心配していたあなたをどうしても助けたかったの。」
心がポカポカするのは気のせいだろうか。
こんな気持ちは久しぶりすぎて言葉に出来ない。
「私は…この家を出ます。」
これでお母さんが死んでからやっと1歩進めた。
「筒井さんのお母様の意見に従います。」