セックス
日比谷 政史(二十五歳)童貞ニート
童貞でニートで引きこもりですが何か問題ありますか?
正直な話し…俺童貞だけどセッ○スなんて興味ないしー。
いやこれは別に負け惜しみとかじゃなくてマジだからね!!
羨ましいとかそんなんじゃ決してないからね!!
別に一生童貞でもいいくらいだしー!!
………すいません今のはさすがに強がりました。
一生童貞は正直勘弁して欲しいです。
でもあれじゃないですか。
セッ○スって相手が必要じゃないですか。
となると誰でもいいってわけにもいかないしできれば美人がいいですよね。
でも僕イケメンというわけじゃないんでそんなのおこがましいというか何というか…
それに美人すぎても本番になったら緊張しちゃってマグロになっちゃいそうだしなぁそうなると楽しめないしなぁ。
まあそういうわけで…僕の今のところの恋人は右手ってわけなんですよ。
だって妄想はどんな相手と○○○して○○○しておまけに○○○するのも自由じゃないですか。
緊張もしないじゃないですか。
その点で考えれば毎晩右手と愛を深め合ってる僕は“恋愛上級者”といっても過言ではないかもしれない。
うんそんだな…過言じゃない過言じゃないよこれ!!
というわけで、今日の夜を共にするお姫様を探しにコンビニの本棚に行ってきまーす!!
今日のお姫様は人妻系でイキましょ。
こうして、俺は意気揚々と家を飛び出していった。
1時間後に死んでしまうとも知らずに…
~~~~~~~~~~~~~
「ありがとうございました~」
店員の明るい声が俺を送り出した。
“新婚人妻旦那への秘め事:二つ穴責めファ○ク”
こいつを右手に携えて真っ暗の帰路を急ぐ。
俺の踊るような心を形容するかのように俺のステップは陽気にロンドを刻む。
まったく…今夜のベットが待ち遠しいぜ。
いったい“コイツ”は、俺にどんなあられもない姿を魅せてくれるんだ。
右手もすっかり温まってるし…こりゃ楽しみだゼェ!!
もう待ってらんねえと言わんばかりに、ムスコもしきりに暴れ出す。
「ふふふ…そう焦るな兄弟。家に着くまでものの数分だ。焦らなくとも獲物は逃げないさ」
俺はただの生理現象をかっこいいセリフで落ち着かせつつ、真夜中の街灯で照らされたアパートへの帰路を急いだ。
そんな矢先である。
「ぎゃあああッ!!」
「うわぁぁあッ!!」
後方で無数の叫び声というか、断末魔というか、そんな感じの声が聞こえた。
こんな時間にどうしたというのか?
酔っ払いが錯乱して暴れ出したりでもしたのだろうか?
だとしたら面白そうだ。
スマホで動画でも写真でも撮ってSNSにアップしよう。
まあフォロワーは片手で数えられるぐらいしかいないが…
カバンからスマホを取り出して、いざ写真家にでもなった気分で振り向いた。
すると、目の前がとても明るかった。
時刻が深夜だというのに昼間の様に…
「うわ眩しッ!! これって…………ッ!!」
この灯りが“車の前照灯”であると気付いた気づいたのは時すでに遅く、グチャッと熟れた果物が潰れたかの様な音が聞こえたと同時に、激痛が全身を襲った。
俺は数十メートルほど宙を舞い、そのままコンクリートの地面に叩きつけられた。
「うわぁぁあどうなってんだ!! 何でダンプが歩道に!?」
「居眠り運転だぁ!! 誰か警察呼べ!!」
いろんな人の声が、薄れゆく意識の中聞こえた。
だがその声も、どんどんと遠退いて行く。
衝突の瞬間俺を襲った激痛はとうの昔に感じなくなっている。
手脚の感覚も無くなり、自分が呼吸をできているのかさえもわからない。
痛みを感じる以前に…体の感覚全てを感じることはもう俺にはできなかった。
ああ…これが#死__・__#か…
これで…死ぬのか俺は…
まだ…童貞だったんだけどなぁ…
未練が無いなんて言ったら嘘になる。
俺の人生は未練だらけで、むしろ未練の塊のような人生だった。
がしかし、今回の俺の人生はどうやらここまでらしい。
この未練は来世に持ち越してきっちりと達成するとしようか。
「………生まれ変わったら…死ぬほどセッ○クスしてやる!! 巨乳も貧乳もどんな奴とでも!!」
そう宣言して…と言っても虚ろな意識を残すあまりの俺は自分がしっかりと言葉を発することができていたのかもわからない。
わからないが…とりあえずこれで俺の今世は一旦幕引きだ。
こうして、俺 日比谷 政史の25年の人生はあっさりと誰にも惜しまれる事なく幕を閉じたのだった。