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1日目 正午

「モグモグ、ここの料理美味しいですね。」

「そうか?こんなの、どこでも大体一緒だろ。」

俺たちは今、ファストフード店で昼食を食べている。

「ぜんぜん違いますよ。ほら、この烏龍茶とか。」

「どんなチョイスだ。余計わかんねぇよ。」

「フフッ。冗談ですよ。でも、結構違うものですよ?」

「そうか。じゃあ、まぁそういうもんなんだろうな。」

「そういうもんなんですよ。」

それだけ答えると、琉唯はまたハンバーガーを食べ始める。

夢中で食べる姿が可愛らしくて、何だか見とれてしまう。

「?どうかしましたか?」

「あ、いや、琉唯って結局何者なのかなって。人の死期を予言したりしてただろ。」

「あぁ、その事ですか。えっと、貴方に分かりやすく説明するには、『天使』と言った方が良いですかね?私達はそういう存在です。」

「天使?何だかイメージと違うな。ほら、翼とか頭の輪とか。」

「わっかはないですけど、翼はありますよ。ほら。」

そう言った琉唯の背中から、翼が生えてくる。

ただし、鳥のような羽ではなく、光の点を翼の形に集めた感じだ。

「へぇ。ほんとにあるんだな。でもこんなところで出して良いのかよ。」

「えぇ。特に問題はありませんよ。no problemです。この翼は、死期が近い人にしか見えませんから。」

「なるほど。ありがちだな。」

「ですね。でも最近の死神は、鎌じゃなくて掃除機で魂とってますよ。」

「掃除機か。何て言うか、あれだな。夢がないな。」

「何か、最近では魂用のル○バが開発されてるそうですよ。タンクにたまった魂を回収するだけで良いらしいです。」

「なんだよそれ。何か納得いかないな。」

「まぁ、反対する人たちもいるみたいですけどね。もっと魂を、丁寧に扱うべきだって。」

「そうか。あの世ってのもなかなか大変なんだな。」

「まぁ、こっちよりは楽ですよ。罪をおかした人は、罪を償うまでは地獄ですから。しかも、地獄に送られた人たちの更生率は100%ですし。」

「100%は無いだろ。それなら、世界に犯罪者なんていないよ。」

「はい。こっちの犯罪者はみんな、元天国の人ですよ。皮肉な話ですよね。前世で良い事をしてご褒美をもらったのに、そのせいで、来世では悪い人になってしまうなんて。」

そこまで話して、琉唯は少し悲しそうな顔をする。

「そんな顔するなよ。元天国の人達が、全員犯罪者になる訳じゃないんだろ?」

「はい。基本的に正しい人の方が多いです。」

「そうか。なら、人間もそんなに捨てたもんじゃないさ。それに、琉唯がそんな顔してるとこ、見たくないよ。」

それを聞いて、琉唯がキョトンとした顔をする。

「…フフッ。アハハッ!何ですかそれ?アハハッ!ハハハッ!苦し!お、お腹痛い!アハハッ!」


ーーーーーー5分後ーーーーーー


「ハハッ。あー面白かった。久しぶりにこんなに笑いましたよ。フフッ。あ、思い出してわらいそう。フフッ。」

「もういいだろ。笑いすぎだ。俺もちょっと恥ずかしいんだぞ。店員さんに、何回変な目で見られたと思ってんだ。店出るぞ。」

「フフッ。そうですね。そろそろ、お店の迷惑になる頃でしょうしね。」

「あんだけ笑ったんだから、すでに迷惑だろ。」

「あれは、城山さんが悪いんですぅ。」

琉唯がむくれる。

「はいはい。悪かったな。ほら、行くぞ。」

お会計を済ませた俺達は、また車に乗る。

「むー。」

「悪かったって。ごめんな。」

そう言って、琉唯の頭をなででやる。

「こ、子供扱いしないでください!まったく!」

そう言って、真っ赤になる琉唯。

可愛い。

「ほら、遊園地行くぞ。」

車のエンジンをかける。

「むー!」

その横で、可愛らしくむくれる琉唯。

さて、遊園地まで、俺の理性は持つのだろうか。

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