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1日目 午前

「貴方は、あと一週間で亡くなられます。本日はその事をお伝えしに来ました。」

俺こと、城山(きやま) 伸也(しんや)25歳(独身)は、朝目を覚ますと同時に、目の前の女性からそんなことを言われた。

「これから最後の時まで。そして死後から天上までの間、私があなたのお世話をさせていただきます。」

目の前の女性は、当事者を差し置いて話を進めていく。

っていうかこの人…

「なぁ、あんた音成さんだよな?隣にすんでる。」

そう。この女性は音成(おとなり) 琉唯(るい)

今、俺がすんでいるアパートの隣の部屋の住人だ。

確か大学一年生だったような。

「え?今さらですか?てっきり、気づいているものだとばかり思っていました。」

「こっちは寝起きなんだ。気づくわけないだろ。」

「そうですか。申し訳ありません。」

一応、謝ってはいるが、音成さんは無表情だ。

絶対悪いと思ってないだろ。

「まぁ、いいよ。で?俺が1週間後に死ぬって言ったか?」

「はい。確かにそう言いました。信じられませんか?」

「そりゃそうだろ。突然余命宣告されて信じられるやつなんていないだろ。」

「では、貴方も疑いますか?私の言葉を。」

彼女は、どこか諦めたような目で俺を見つめる。

そんなに見つめないでほしい。

音成さんは、かなり美人なので、ドキッとしてしまう。

「疑わないよ。音成さんがそんな嘘を吐く理由も無いしな。かといって、信じることもできないけど。」

そう言うと、音成さんは意外そうな顔をする。

「おや?普通の方なら、頭ごなしに否定されるのですが。」

そう言うと、音成さんはクスクスと笑う。

その姿に、またドキッとしてしまう。

「悪かったな。変わり者で。それより、ひとつ聞きたいんだが、いいか?」

「はい。どうぞ。」

「俺がいくのって、天国と地獄。どっちなんだ?」

「おや?意外とそういうのが気になっちゃう方ですか?」

「まぁそりゃ人並みには気になるな。」

「そうですか。では、コホン。言い知らせと悪い知らせ、どっちから聞きたい?」

「何だそのノリ。この流れで悪い知らせとか、確実に地獄行きだろ。」

「いえいえ。案外そうでもないかもですよ?例えば、天国も意外と辛いところらしいですよ。とか。」

「どっちにしろ嫌だよ。じゃあ、良い知らせから。」

「地獄も案外暮らしやすいそうですよ。」

「やっぱり、地獄行きじゃねぇかよ。」

期待させないでほしい。

「ほら、住めば都って言いますし。」

「うるせぇよ。」

「それで?どうしますか?自分が地獄に送られると知った貴方は。」

彼女はこちらを見て、悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「別になにもしないさ。あーいや、会社休んでちょっと遠くまで行こうかな。」

そう言って、俺は身支度を始める。

「普通の人ならば、ここで少しでも良い事をして天国に行こうとするのに。やはり城山さんは変わり者でしたか。」

「25年も生きて地獄行きなんだ。7日じゃ取り返せないだろ。」

身支度を終えた俺は、部屋の扉を開けて駐車場にでる。(俺の部屋は一階にあるので、駐車場が近い。便利。)

その後ろを、音成さんもついてくる。

俺が車の鍵を開け、運転席に座る。

音成さんも、助手席に座る。

「やっぱり、普通についてくるんだな。」

「お世話をさせていただきますって言ったじゃないですか。」

「まぁ、そうだけど。」

何か腑に落ちない。

「これからどこへ逝くんですか?」

「地獄だよ。絶対わざとだろ。」

「失礼。どこへ行くんですか?」

音成さんは、またクスクスと笑って訂正する。

「いや、別に行きたいところとか無いしな。音成さんは…」

「あ、琉唯で良いですよ?」

「そうか。じゃあ、琉唯はどこに行きたい?」

「うーん、じゃあ、遊園地に行きましょうよ。私、1度も行ったこと無いんですよ。楽しみだなー。」

「お世話は、どうなったんだよ。」

「それも勿論やらせていただきますよ。どうします?ご主人様とかって呼んじゃいます?」

「やめろ。」

「フフッ。冗談ですよ。それじゃあ、行きましょう。」

「はいはい。じゃあ出発するぞ。」

そう言って俺は、エンジンをかけた。

短編小説にしようとしたのに、思ったより長くなってしまった。

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