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攻略対象たちVS悪役たち、そしてモブの俺

何度か推敲しましたが、お気付きの点がありましたらご連絡して下さい。

作者もしっくりきていません。

どこがどうとわからないので教えてください。

「音無さんが突き落とされたのは映っていなかったんだけど、音無さんに太刀原 初音さんが突き落とされた時のには映っていたんだよ。犯人としてね」


俺は慌てて腕の中の妹を見る。

バツの悪そうな顔をした初音は嫌がらせの犯人を暴露した在原のおじさんを睨んだ。


「奏が?! そんなまさか」

「奏ちゃんがそんなコトするはずがないじゃないですか、理事長」


奏ちゃん?


ロリコン教師の呼び名に寒気がする。

同じロリコンでも親父はお袋のことをそんなふうに呼ばないぞ。


「太刀原君が言ったように嫌がらせの自作自演、それに加えて太刀原 初音さんに対する嫌がらせ。嫌がらせも程度を越えれば立派な傷害罪なんだが、階段から突き落としている時点で既に成立しているね。それに取り巻きによる生徒たちへの社会的制裁を考えれば退学は充分妥当な処分だよ」

「!!」


あの偽善者女が妹に嫌がらせを全部した犯人だったのか!!


「そんなことをして良いんですか? いくら系列校をいくつも経営しているとはいえ、在原は教育事業主体で家の規模は大きくないですよね?」


腹黒、在原のおじさんは理事長だぞ?!

在原のおじさんにそんな口きいていいのか?!


「それに問題はないよ。いくら家の規模や力が君たちより小さくても、政財界で活躍してくれている卒業生たちが在原の判断を支持してくれているからね。在原の信用は一日で作られたものではない。そして在原の人脈も」


在原のおじさんは何事もないようにのたまう。

さすが、在原のおじさんだ。

笛水たち学生とは年季が違う。


「理事長を脅すなんてどうしようもない方々ね。ところでお忘れになって? あなた方のお家は既に潰されているってことを」


妹が在原のおじさんに続いて追撃する。


あとで妹には嫌がらせのことをちゃんと聞かなくては。

お兄様は誤魔化されないからな、初音。


「それは何かの間違いだと言っているだろう、太刀原 初音! 嫌がらせのことにしても奏に罪を着せるために監視カメラに細工したんじゃないのか?」


「そこまで音無さんを信じる姿は美しい。しかし、君たちが陥っている症状と過去何度も遭遇していた経験から君たちと被害者の代表を務める太刀原家の兄妹を休日に集めたんだが、――これは重症だな。自分たちのしでかしたことの重大性がわからないとは。」


在原のおじさんは溜め息を吐く。


「・・・。校内における数々の風紀紊乱で退学は当然の結果だとわかっているかな、笛水君。全校生徒の前で処分しないのは、収集のつかない事態を避ける為にしているだけだ。君たちは余程、恨まれているようだからね」


「理事長。何を言ってる。俺たちは生徒の信任で選ばれた生徒会だぞ。恨まれているはずがない」


「目上には敬語を遣いなさい、笛水君」


「貴方々、ご自分たちが何をなさったのか理解していらっしゃるのかしら? 被害者はお兄様だけではありませんのよ? その方々にもお兄様と同様のことをなさったのを。奏様のお隣の席であった男子生徒、クラスで同じ班だった生徒たち、体育の授業で組みになって準備運動した女子生徒、皆さんが何かしまして?」


「奴らは奏に嫌がらせをし、お前の兄は奏に暴力を奮った。当然の結果だ」


「わたくしはその濡れ衣と妄想の被害を受けた方々にお声をお掛けして、太刀原の下について頂いただき、皆で音無奏様と不愉快な仲間たちに立ち向かいましたの。これこそ当然の結果ですわ。ここは絶対王政の時代でもなければ、家名だけで生きていけるほどお優しい社会だと思いました? 実力がなければ資本主義社会では潰されるだけ。あら、これはどの社会でも同じでしたわね」


この時は学園生活だけだと思っていたが、奴らは言いがかりを付けられた被害者の家に圧力をかけたり、潰していたらしい。そこに妹が声をかけて親父が反対勢力に纏め上げて指揮していたそうだ。

勿論、うちだけじゃ無理だからそれなりの家々にも笛水たちの資産から被害の補填を除いた分を報酬にして協力してもらったらしい。


「いつも思うことだが精神汚染は本人の人格にあるまじき言動まで引き起こしてしまう。だからと言って、君たちがしでかしたことは許される段階を超え過ぎているけどね。――太刀原さん、お兄さんを連れて帰ってもいいよ」


「では、悪役は退場致しますわ。行きますわよ、お兄様」


在原のおじさんと妹の間で話はついたらしい。


「わ、わかった」


「医師としてこの子たちにはしっかりカウンセリングを受けさせて、元の優秀な子たちに戻すから気にしなくていいよ、太刀原君。いい歳したロリコン教師はそのあとで免職にして放り出すけどね」


とうとう、在原のおじさんがロリコン教師って言っちゃってるよ。

本心、言っちゃって良かったのか?!


「ありがとうございます!」


妹は100万ボルトの眩い微笑みを浮かべ、俺の代わりに答える。


妹の輝かんばかりの笑顔は奴らに見せるには勿体なさすぎる。


挨拶をして退室をする妹に続く俺の耳に、在原のおじさんが奴らに話しかけている声が届く。


「私はギャルゲーだろうが乙女ゲーだろうが、そんなハーレム展開が学内で展開されるのは我慢ならないタチなんだ。それが許されるのは二次元だけ。ああ、それと音無さん。太刀原君のお父さんは君にも責任はあると仰っていたから――」


扉が閉まってしまい、それ以上、在原のおじさんの言葉は聞こえなかった。


在原のおじさんも、もしかしてリア充が嫌いなのか?

リア充のくせにリア充が嫌いって・・・嫁さん泣くぞ?

もしかして、嫁さんには俺たちの前じゃ見せない顔があるのか?


何か知りたいような、知りたくないような疑問に思ったが、次の瞬間には妹と過ごす休日への期待のあまり、頭の片隅からも消え去った。

理事長はギャルゲー、乙女ゲーのイベントになりそうな所は積極的にセキュリティを強化しています。

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