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進言

「ねぇ、絶花。あなたのお父さんってどんな人なの?」


 出来る限り遠まわしに、分かりにくく、無関係なことから質問をしていく。


 「ん? 俺のお父さん? あぁ~、あんまり記憶にないなぁ。俺は妖怪に育てられたから」


 妖怪に育てられた? あぁ、それは納得できるかも。確か絶花のお父さんの血筋ってかなり有名な陰陽師の一族だったはず、絶花はその跡取りになる。子育てなど家にいるであろう式神に任せていたとしたら、絶花の性格が我が儘になるのも分かる。きっと周囲にはイエスマンしかいなかったのであろう。


 「でも少しくらい顔を合わせる時だってあったでしょ?」


 「無かったなぁ。俺のお父さんは俺に興味なんかなかった人だから。お母さんもあんまり顔を合わせなかったなぁ。だから家族って俺にとって新鮮なんだ」


 陰陽師機関が解散したことで母親と対話する時間が出来た。家族で囲んで食事をする時間ができた。肉親の姉に会うことができた。絶花にとって、これは幸せなことなのか、それともそんなことではないのか。


 「じゃあ逆にお姉ちゃんのお父さんってどんな人? 俺とあんまり会話しないからさ」


 「え? そうねぇ。極度の重労働者だよ。普通のサラリーマンって表現になるのかな。家には殆ど帰ってこなかったよ。だから私も父親との記憶はあんまりないかな。生真面目な性格だよ」


 「へぇ。今度勇気を持って話しかけてみようかな」


 「いいんじゃない」


 式神に育てられた。自分を叱ってくれる存在がいない。自分を心配してくれる存在もいない。自分を慈しむ人がいない。我が儘な餓鬼と表現するのは容易い。だが、我が儘な子供というのは、それはそれで不幸で悲しいものかもしれない。教育の正しさなんて、十年後、二十年後にしか結果は出ないのだから。


 ★


 「お姉ちゃん。今から党首様に会いに行くけど、そんなに緊張しなくていいからね。お姉ちゃんは陰陽師じゃなくてお客様だから」


 「そう? お殿様みたいな人に会うから……無礼なことをしたら打ち首とか考えていたけど」


 「ないない。そんなことをしてくれるスタッフがいない。このお城は深刻な人手不足だからね」


 絶花の倒した悪霊討伐の報酬金の確保。私の体に起こった妖力が体にないのに、妖怪を操れる問題への打診。そしてレベル3の悪霊である柵野眼の存在の進言。そして昨日の戦いでお願いされた……党首様への今後の方針を尋ねる。やることは山祇やまずみだ。


 「昨日は結局会えなかったから…………まずは感謝の意を述べないとね」


 「それは任せるわ」


 向こうに党首様がいる。意気込んで障子を開けた。


 「「失礼します!!」」

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