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光線

 かつて敵だった連中が味方になる。微笑ましい光景である。私が好きなバトル漫画の展開だ。絶花は心底嫌そうな顔を浮かべているが。


 「お姉ちゃんだけならともかく、こいつらと肩を並べるとは」


 「グタグタ言うな。党首様を殺すつもりか。しっかり狙えよ」


 「わかっているよ」


 残る問題はこの渾身の一撃で仕留められるかどうかである。幽霊列車の図体は夜幢丸ほどではないが、極めて大きい。最上級クラスと言っても過言ではない。蒲牢も化け鯨も規格外の大きさを誇るが、奴はそれの比ですらないのだ。


 妖力枯渇の問題が解決した以上、絶花の方は問題ないだろうが、問題は私である。私の身体には妖力が流れていない。この世の誰にも私がどうやって式神と契約して、その恩恵を受けているのか説明できない。まさにブラックボックス。それを生死を分けるこの瞬間に頼るしかないのだ。


 「私は陰陽師じゃない……でも…………私の弟くらい守ってみせる」


 身体に妖力が流れていないので、どうやってオーラを飛ばせばいいか分からないので、取り敢えず両手をパーにして前に押し出すポーズをしてみた。ただの気休めである。絶花も折りたたみ傘の先から光線を放つ用意ができた。


 「お姉ちゃん。せ~の!!」


 掛け声と共に唐傘の先から青い妖力が一斉に飛び出した。まさにビーム砲である。さすがに私の両手からは光線はでないが、上部の蒲牢の口先からしっかりと絶花と似たような光線が出ていた。


 私が左で、絶花が右。そう約束していたが、結果はそうはならなかった。光線が獲物を仕留める前に、その妖力がどんどん振れ幅を増して行き混ざり合ったのである。絶花が嫌がっていた合体必殺技がここに完成した。


 その渾身の一撃は真っ直ぐに幽霊列車の二つの残骸を覆い尽くした。


 ★


 「消防士になった気分だわ」


 あれだけ燃え盛って、今にも爆破しそうだった列車は完全に動きをとめて、火の粉も立ち込めない、ただの真っ黒焦げのちりとなった。完全に消滅させることは叶わなかったが、爆発を阻止できたなら結果オーライである。


 「お疲れ様です。お二人共……今なら二人共倒せそう」


 「やめておけ、虎坂。そんなみっともない真似をするな。真剣勝負をしないのであれば、敗北を初めから認めているのと変わらない。それに私以外にメンバーで妖怪を持っている奴はいないだろう」


 虎坂の軽率な発言に、絵之木が大声を張り上げた。


 「我々の敗北だ。素直に負けを認める。だが、今度は負けないからな」


 そんな言葉を言い残すと、三人は立ち上がった。仲間を失った悲しみと、作戦失敗の責任と、相棒を失った絶望と、敗北を味わった悔しさと、そんな奴に助けられた惨めさ。そんな取り留めのないような、虚ろな感情が一気に彼らを現実的な苦しみで染まった。以前のように笑い合えるはずもない。彼らにとって今日ほどの敗北はないのだから。


 「これからどうするの? もし良かったら、私たちと一緒に京都に」


 絶花の嫌そうな顔が見えた。私は本気で主義を語り合って、拳を混じり合わせて、戦いあったこの三人に友情のようなものが芽生えていた。だから、もしかしたら……一緒に……そう思った。しかし、そうはならなかった。


 「京都まで行く元気はない。夜回に電話で事情を話して迎えに来てもらって…………母校に帰る。それ以外に自由な選択肢なんてないだろう。負け犬はとっとと立ち去るさ」


 「そう……」


 「せめてもの我々の願いだ。党首様を無事に御門城まで送り届けて欲しい。そして良かったら党首様に……本気を聞かせて欲しい。我々の理事長でいいから。妖怪と人間がこれからどうなっていくのか、どう考えているのかを」

 次回で窮奇と夜幢丸の決着を書いて

 あと一回更新してこの章はおしまいかな

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