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爆破

幽霊列車は霊界の薄暗い地面に、火炎を纏って放置されていた。私がその妖怪の在外を目の当たりにしながら、絶花の懸念に共感しつつあった。幽霊列車は本物の夜回茶道の式神だったはず。しかし、妖怪を奪われているとすれば納得がいかない。彼女が京都めぐりに対して、なんの心配もしていなかった。常時アクセスしているであろう式神を奪われていたのならば、精神がまともなはずがない。


 考えられる可能性としては二つ。

 ①夜回茶道は式神をリーダーに預けておく形をとっており、持っていないことは当然である。

 ②今京都にいる夜回茶道の手にはちゃんと幽霊列車が存在して、私たちが見てきたあの式神は……式神も偽物である。そして……あれが悪霊そのものだとしたら。


 「いやいや、②の可能性は絶対にない。もし、あれが悪霊ならば妖力の波長で気がついているはずだから」


 「お姉ちゃん。それが有り得るんだよ。だって柵野眼の能力は『変身』だったでしょ。悪霊としての本領を発揮せずに人間に変身している場合は、その妖力さえも隠すことに成功していた。だったら今回だって、自分の妖力を陰陽師の波長に変身させていたと考えられない?」


 「あんた、あの列車に乗った時に、柵野眼が乗っている可能性はないって言っていたじゃない」


 「能力を深く考えていなかった」


 「あんたも時々、ヤラカスよね」


 「自分でも少し反省している。で……あの妖力だけど、今は普通の式神と陰陽師のものだね。奴は妖力を切り替えられても、同時に使用することはできない。奴がこの場から十分に離れて安全地帯まで行ったら……爆破させるんじゃない?」


 「…………えぇ」


 これは笑えない。一気に寒気がした。ここまで奴が用意周到だったとは。それ以前にここまでされて殺される覚えがないのだが。私に対しての嫉妬心としては、いささか肥大させて考えし過ぎだと思う。って悪霊に言ってどうする。


 「どうしよか。もうこれ上空から真っ逆さまと同じくらい危険なんじゃない? まだ油断ならないんじゃ……」


 「お姉ちゃん。奴はきっと八番隊も夜幢丸も窮奇も俺たちも、全員まとめて消し炭にするつもりだ!! これは本当にマズイって!!」


 「逃げましょう!! 爆破なんてどう頑張っても防げない。できるだけ遠くへ逃げるの!!」


 「俺たちを助けにきてくれた党首様を置いて逃げるとか陰陽師として無理!!」


 「そうでした。あんたにはその設定がありました!! でも……私は陰陽師じゃないから問題ないよねぇ。一般人を助けるという待機名分があるなら絶花もここから逃げれるんじゃ」


 「うん、無理。そんな理由で裁判には勝てない。俺は間違いなく全日本の陰陽師の皆様から極刑に処される。だって党首様だよ? 一番優先に決まっているじゃん。お姉ちゃんの死亡なら、その人に関わる全員の記憶を消しておしまいだよ」


 この、古きしきクズ機関がぁぁぁ。


 「じゃあ、その党首様を説得して、一緒に逃げましょう」


 「窮奇はどうするの? 話し合いの最中に攻撃をとめてくれるとでも? そもそも俺の妖力も尽きかけているから、もう一回飛び立つのは無理。この中に飛行手段がある奴もいない。つまり、説得に行くさえ不可能。ここで皆で……う、う、う」


 諦めるな!! 私の弟!!


 「言っとくけど、陰陽師を名乗ったからにはお前らも同罪だからな!!」


 後ろで悲壮感漂う顔で真っ青になりながら私と絶花の会話を聞いていた三人に対して、絶花が言い放った。そう、彼らも絶花と同じくこの場から逃げられない。


 「……いや、まだ希望はあるだろ」


 添木生花が震える声で……言った。

太刀風居合

お得意の爆発おち(シリアス)でございます

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