爆睡
いちいち同情している暇はない。しかし、あの無残としか言い様がない黒鬼の姿を見て、なにも思わないわけがない。心が痛い、陰陽師同士の戦いに巻き込まれたのはいいが、どうしてこういう結末を辿るのだろうか。
「お姉ちゃん。本当は安全面から考えて一緒に来てほしい。今までもそう思ってきたから、ここまでの車両まで付いて来てもらったけど……今はここに残って欲しい。この戦いはお姉ちゃんには酷すぎる。別に俺のやり方を納得して欲しいなんて思っていないけど、これ以上は俺の陰陽師としての姿を見ないほうがいい」
見たいか、見たくないか、で言えば、それは見たくないという選択肢を取らざるをえないのだが、ここから先まで私もついていくべきだろうか。私などいなくても、絶花は上手く勝ち遂せるだろう。何も胸に秘めるものもないのに、無駄な使命感だけで行動を共にしていいものか。専門家に任せるのが筋かもしれない。だが……。
「どうしよう」
★
ここでイレギュラーが発生した。須合正樹という偽名を使った中国の大妖怪、竜生九子の一体である蒲牢が目を覚ました。私の御札の中に隠れて、今まで無神経にも爆睡していた。この騒ぎでも目を覚まさない辺り、どうやら神経が本当に図太いらしい。まあ咆哮を司る妖怪だから『音』には無頓着なのかもしれない。
「おはようございます。どったの?」
気軽な感じで話しかけられたが、こっちのイライラは限界を振り切っている状態になった。
「御門城とかいう陰陽師本部に行こうとしていたんだけど、緑画高校っていいう組織に襲撃を受けて、そのまま応戦中よ、この馬鹿!! あんた、こんな緊急事態に寝てんじゃないわよ」
「はぁ。そりゃあ悪かった。でもどうせ取るに足らない雑魚だろ? 化け鯨の野郎がいれば事が足りることじゃないのかい?」
「狭い空間に閉じ込められて上手く大型妖怪を展開できないの。相手は複数人いるし」
「そりゃあ、日本の陰陽師は複数人で行動するからな」
なんか寝起きで頭が働いていないのか、適当にあしらわれている気がする。
「しかも、弱点属性の敵がいたりとか。とにかく大変だったんだから。でも、あのあなたの声を録音した防犯ブザー作戦。あれは成功したよ」
「マジか!! やっぱり現代機器は惜しまずガンガン利用していくべきだな。お爺ちゃん、勉強になったよ」
確かに何億年も生きている妖怪であり、死ぬことのできない妖怪にそもそも寿命なんてないのはわかるのだが、その口調でお爺ちゃんとか言うな、と言いたい。
「それで……目を覚ました原因だんだけど…………なんで日本に…………”あいつ”がいるんだ?」
本当に長々とすいませんでした
前回の戦いは個人的にも反省しています
あまりに私の書きたかったこと過ぎました。
次の『金属性』で終わりですが
ここは真面目にバトルしたいと思います(  ̄ー ̄ )ゞビシッ




