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金棒

 トドメはさせなかった。黒鬼が遂に重い腰をあげて飛び込んできたのである。それをまさに、黒鬼と虎坂の絆が生まれた瞬間だった。黒鬼は無理矢理に命令として動いたのではない。主を守ろうという使命感が体を動かしたのでもない。仲間を守ろうという気概。自分の大切な友人を守ろうとする、純粋な優しさ。


 虎坂は何度絶花に馬鹿にされても、『鬼』の存在を否定しなかった。何回でも擁護した。その気持ちは本当だと思う。自分が顔面を地面に擦りつけられて、それでも自分の我を通すことができるのは、本当に信念を持った人間しかできやしない。


 その命懸けの勇気ある行動に黒尾には心を打たれた。ようやく虎坂習字のことを認めたのである。実力や能力云々の前に一人の陰陽師として。妖怪と仲良く強力しながら、友情を持って悪霊を殲滅する。その魂が揺るがないものだと知ったのだ。ここに鬼と人間の友情が垣間見えた。


 ★


 だが…………。


 待っていたと言わんばかりに、攻撃の対象が黒鬼に変わった。


 絶花が気持ちの悪い笑顔をした。それはもう死神とでも表現するしかないような。命を刈り取る顔。恐怖感を漂わせる笑顔。黒鬼は可哀想に完全に絶花の術中に嵌ったのだ。妖怪はどうか分からないが、人間は頭に血が昇ってしまえば、普段よりも弱くなる。冷静な時と同じようなパフォーマンスはできない。


 特に思考力が停止する。


 棍棒を持って、絶花の腕を飛ばそうと割って入ったが、絶花は体制を引いてその攻撃を躱す。黒鬼はすぐさま反撃にかかる。だが、無鉄砲に棍棒を振り回す黒鬼の攻撃は当たらない。見抜かれている、見透かされている。だが、絶花が後方に下がることで、なし崩し的にも虎坂が拘束から解除された形になった。


 ここから反撃だ。そう生き込んでいただろう。それを嘲笑あざわらうかのように…………絶花と虎坂の立ち位置が……入れ替わった。


 「鬼神スキル『鐚塗びたぬり』」


 「貴様っ……その技をどこで……」


 「俺が捕獲不能の妖怪を操っているって知っていた? 普通の陰陽師では禁則とか以前にスペック的に使えないような鬼神スキルも……持っているんだよ」


 「はっ、あ! あがぁ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」


 網切の時と同じだ。絶花はこの状況を作り上げるために、永遠と挑発していたのだ。妖怪と陰陽師の仲違い、同士打ち、仲間殺し。取り返しのつかない絶望を与えるために。


 黒鬼の振り切った金棒の先には……虎坂習字がいた。



 『倉掛絶花』と『虎坂習字』の位置が入れ替わった。


 「鐚塗の能力は対象者と自分の居場所を入れ替える。一石二鳥の回避能力だよ。その残虐さ故に禁術だけど。…………まっ、バトル漫画とかにはよく聞く能力だから……いっか」

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