2/3
序章②
昨日の夜はいつの間にか寝ていて、気付いたら朝になっていた。朝ごはんを食べにリビングへ行くと既に母がいて、トーストを咥えながらテレビのリモコンをいじっていた。
「おはよう、母さん」
「ほはよう、はへる」
「パン咥えてちゃ何言ってるのかわからないよ」
僕が笑うと母は微笑んで、かじったトーストを皿に置いた。
「今日も学校でしょ?早く朝ごはん食べちゃいなさい。お母さんも仕事行かなきゃだし」
「分かってるよ。」
我が家には父がいない。だから母が働いてくれている。朝から夕方まで働き、帰ったら家事までしてくれる。そんな母に心配を掛けるわけにはいかないから、学校には行かなければならない。僕は手早くトーストを食べ、家を出た。
「よ〜〜う、猛ちゃぁぁ〜〜ん」
教室に入るやいなや僕に掛けられた、この気持ちの悪い声の持ち主は、僕をイジメている奴らの1人だ。朝から気分を害す言葉を発してくれやがった。
「なになに〜〜?猛ちゃん挨拶は〜?」
「……おはよう」
瞬間、ドスンという鈍い音が体を走った。