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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフを希望する姫様と、それを阻止するしもべ達〜  作者: みずほたる
第2章 スターフィールド建国記 〜姫様扱いはビジー(多忙)モードへの招待状でした〜
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姫様、防寒対策を仕立て屋に頼んだら、「世界観」が壊れました

魔王を国外追放してから一週間が過ぎた。


珍しく朝早く起きて宮殿の外に出ると、あたり一面が雪景色だった。


「この世界にも冬があるのね。でも寒くないって異世界すごくない?」


すこしだけ感動を覚えたのであった。


そうこの時までは。



「なんでそんなに着込んでいるのよ?」


相変わらずの白いドレスの私に対して、まるで雪だるま並みに着込んできたヴィオラに聞くと、胸の内ポケットから温度計を取り出しては、


「氷点下マイナス二十度ですよ? むしろ姫様はなんで、普段着なんですか?」


「え? 今日そんなに冷え込んでるの? 全然わかんなかったわ」


私が異常なことに驚くと、


「お主は寒さに対して耐性があるからじゃ」


慈愛の女神リィナが、いつもの羽衣ではなく毛布に包まれながら言ってきた。


「逆になんで女神なのに寒がってるのよ」


「妾は耐性ガバガバじゃからのう」


「まったく」


私は呆れると、玉座の後ろにしまっておいた秘密兵器を箱から取り出した。


「なんじゃ、そのテーブルと布団が合体したものは?」


「こたつよ。二人とも騙されたと思って入ってみて」


ヴィオラとリィナは意を決して普段着になってこたつに入ると、


「これはいいのう」


「こんな素晴らしい物いつのまに?」


「フレアとボルトに頼んで開発してもらったのよ。この世界に四季があったら必要になると思って」


しかし、昨日まで村人は半袖でいたはずだ。


昨日の今日でこんなに気温変化をするとは異世界恐るべしと思った。


「この寒い時期はどれくらい続くの?」


私は聞くと、


「一ヶ月もしたら暖かくなります。一年で猛暑月が一ヶ月、極寒月が一ヶ月。あとはほどよい暖かさになります。まあ、スターフィールド国は全体的にそんな感じですね」


「村のみんなは大丈夫?」


「住宅にはリビングにエアコンがついてるから村人は大丈夫かと思います」


そう聞いて私は安心すると、


「姫様。おはようございます。村の見回りから戻りました」


いつものゴスロリドレスを見にまとった、寒さ耐性があるのであろうオカリナが玉座の間に入ってきた。


「あ、チヒロが差し入れをくれました。みかんという果物だそうです」


「やっぱこたつといえば、みかんよね」


私は三人に食べ方を教えることにした。


「それで村の様子はどう?」


「村人が雪かきに追われていたので、溶かした方が早いと思いフレアの家に行ったのですが、『裸の俺を外に出すとか大元帥は殺す気か』と怒られてしまいました。まあ、奴は火の四天王。寒さは弱点なのです。お許し下さい」


「弱点うんぬんの前に服を着ろって言わなかったの?」


「......さすが姫様。気がつきませんでした」


「その様子だと四天王はみんな家に引きこもってそうね」


「はい。アクア、サムス、ボルトも家から出たくないと申しておりました」


「まったく」


私はそう言われて頭を抱えてしまった。




「お呼びでございますか」


中年の男性、ヨシオは律儀に頭を下げてくる。


彼もまた転生してきた人物で服を仕立てることに関して彼の右に出るものはいない。私が今着ているドレスも彼の能力に共鳴してバージョンアップされたものだ。


「四天王のことは知っているでしょ?」


「インフラ業者の方々ですよね。彼らがいないと電気、熱源、水道、食料が成り立ちませんからね」


うん。四天王の威厳が皆無!


「彼らって普段裸じゃない。服を仕立ててほしいのよ」


ヨシオは少し考えて、思い出したかのように


「そういわれたら、裸でしたね」


「気にしてなかったんかい」


「服を買う資金がないんだなと、見なかったことにしてきてましたんで」


「いや、服を着る概念がないだけよ。ヨシオなら彼らが納得するような服を仕立てられると思ってね」


「わかりました。姫様の勅令ならば仕方がありません。彼らにあった作業着を仕立てて見せましょう」

 

「一応、威厳残してあげてね」    


こうしてヨシオは四天王たちを訪ねるようになった。


『勅令』という言葉がきいたのと、このまま家から出られないと餓死してしまう危機感からなのか、ヨシオと四天王たちは服の構成やデザインを考え始めた。


そして一週間後。


「姫様。いかがですか?」


玉座の間にて、ヨシオは胸を張って四人を私にアピールするのだが、


「なんで宇宙服なのよ」


「外気温がどれだけ暑くても寒くてもこれ一着でなんでもいけます!」


「村に宇宙服を着てる人いるって違和感しかない気がするんだけど」


「いつか慣れます!」


「そういう問題じゃないから!」


それでも、家に閉じこもられるよりはマシだということになり、四天王たちは冬の間、宇宙服を着ながら仕事に励むのであった。


その様子を宮殿から見ながら、


「もはや世界観めちゃくちゃね。毛皮のコートをきて雪だるま作っているリィナが可愛く見えるわ」


私はため息をつきながらも、みかんを一口食べるのであった。

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