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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフを希望する姫様と、それを阻止するしもべ達〜  作者: みずほたる
第2章 スターフィールド建国記 〜姫様扱いはビジー(多忙)モードへの招待状でした〜
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姫様、二人に「家庭教師」をつけたら、聖女が予告なしに突撃してきました

「さて、聖女への詫びの品はチヒロとマナミが開発してくれるとして、訪問謝罪かあ。嫌だなあ」


私は玉座で深いため息をつく。


「でも姫様自ら行かれるのは危険すぎでは? 聖女様は対魔族の結界を張ってる張本人なんですよ?」


確かにヴィオラの言う通りではあるのだが。


「じゃあ、誰を行かせたらいいのかという問題もあるよね。この国って外交官的な人材がいないからなあ」


私は再びため息をつくと、ヴィオラ胸をはって、


「フッ、姫様がそう悩んでいると思い、適任者を何名か候補に挙げてみました」


「どんな人?」


「まず、土下座のマツ。土下座をさせたら世界一。彼の土下座の前に何も追及できなくなるでしょう」


「次は?」


「そして、我慢のタケ。相手は怒鳴りつけてきます。でも、怒りもいつかはおさまります。ひたすら我慢してくれるでしょう」


「あとは?」


「逆ギレのウメ。とにかく逆ギレします。ちゃぶ台があれば憂いなしです」


「三人とも不採用よ。謝罪をしたら対等な関係に持っていくのが目的だから」


「謝罪三銃士というユニットまで考えていたのですが」


「解散させなさい。今すぐに」


私は手を払う仕草を見せると、扉が開き、オカリナとリィナが入ってきた。なんとなく自信に満ちた顔をしている。


「姫様。女神と共に学校で様々なことを学びました。今一度チャンスをいただきたいと思います」


「お土産屋のラインナップを書いてきたから許可のハンコがほしいわ」


リィナが一枚の紙を見せてきたので読むと、


古文の教科書かと思うくらい漢字がびっしりである。平仮名カタカナが一文字も書かれていない。


「確認したいんだけど、これは世露死苦(よろしく)って書いてあるのよね」


「そうよ。村でも数人しか読み書きできないと言われた漢字を習得したわ。それにしても悪魔姫って書いてミナエって読むって知った時は倒れるかと思ったわ」


「読まないから。正確には美しい苗って書くのよ」


「似合わないんだけど!」


「なんで漢字覚えたての神に文句言われないといけないのよ!」


「じゃが、漢字は不思議だわ。真奈美(マナミ)七海(ナナミ)はカタカナだと一文字違いなのに漢字で書いたら全くの別物だもの」


「そうね」


言われて初めて気づいた私だが、


「これ、美味飴って何て読むの?」


「キャンディよ」


言われて納得するが、これではまるで暗号文だ。


「リィナ。漢字の読み書きは何となくわかったけど、平仮名やカタカナは?」


「子供が勉強してたけど、簡単そうだから後回しにしたわ!」


「いや、村でも数人しか読み書きできないやつを先に勉強されても」


すると、オカリナは、


「姫様。私は算数を覚えました。何でも問題を出してください!」


「じゃあ、いちたすいちは?」


「さんです!」


「さすがオカリナね。私、わからなかったわ」


「私は大元帥に認められるべき存在だからな! しかし女神よ。毎日遅くまで二人で勉強したかいがあったな! 姫様を見てみろ。目を丸くしているぞ!」


「本当頑張ったね、私たち!」


オカリナとリィナがお互い讃え合っているが、


「いちたすいちは、によ?」


「なんですと!」


指を何故か両手で折りだすオカリナ。そして悔しそうに、


「ひっかけ問題でしたか」


「何をどうひっかけてるのよ」


私は頭を抱えると、


「ヴィオラ。七海(ナナミ)を呼んできてもらえる?」


ヴィオラが玉座の間からいなくなると、


「何をどう勉強したのかわからかいけど、二人ともこれから午前中は家庭教師(ナナミ)をつけるから勉強なさい」


「姫様。このありふれた知識ではご不満ですか!」


「からっぽじゃない! 二人とも平仮名とカタカナ、掛け算や割り算ができるまで午前中は勉強の毎日だからね!」


するとリィナが、


「割り算なんて、学者にしかわからない道の領域じゃない!」


「それできなかったら商売なんかできないからね?」


「まさに古の悪魔姫(デビルプリンセス)の所業じゃな」


「逆に学校で何学んできたか知りたいくらいよ」


「円周率なら、五十桁くらい暗記しました」


「何の役に立つのよ、それ」


こうして二人は宮殿に再び住みことになったのはいいが、結局問題は何一つ解決していなかった。


しかし、話は急展開を迎える。


翌日、急遽作った学習部屋から何故かうめき声がきこえてくるなか、ヴィオラが慌ててやって来た。


「姫様。聖女から書状が届きました」


封を開けて読んで見ると、


「無視を決め込むなんてひどいじゃない。一週間後そっちに行くから、その謝罪と賠償も追加するわ」


と、書かれていた。


「勝手に押しかけておいて謝罪と賠償求められてもなぁ」


私は書状をヴィオラに渡すと。


「これっていつ書いて送ったんでしょう? ここからメロディ法国なんて馬車で一週間かかるんですが」


「ってことは今日来てもおかしくないわけ? ちょっと待って。宮殿片付けないと。あっ、化粧なんもしてない!」


「姫様、お化粧なんかいつもしてないじゃないですか。それよりも茶菓子とコーヒーありますか? ないなら買って来ます!」


ドタバタしはじめると、チヒロがやって来てのんきに言ってきた。


「なんか、姫様に会いに来たって言う人がいたから連れて来たんだけど、忙しかった?」


チヒロが連れて来たその女性は、会ったことのない私でもわかる。


まさに聖女そのものだった。


……いや、一週間って言ったのさっきよね!? 私の化粧と心の準備を返してよ!


こうして、地獄の家庭教師タイムとうめき声が響き渡る最悪のタイミングで、私はラスボスと対面することになった。

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