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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフを希望する姫様と、それを阻止するしもべ達〜  作者: みずほたる
第2章 スターフィールド建国記 〜姫様扱いはビジー(多忙)モードへの招待状でした〜
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第35話 姫様、河川敷で「ガムテープ」を巻いている女神を回収し、うどん屋で働く破壊神を知りました

慈愛の女神リィナ。かつて魔族から世界を救うために聖女に加護を与えた神の中の神である。


しかし聖女に加護を与えたことにより、神の力を失った。


生きるためにしびれ草を食べ、毒キノコを食べ飢えを凌いできた。


しかし転機が訪れる。


目を覚ましたら、古の悪魔姫(デビルプリンセス)がいるではないか。


宿敵であるはずの悪魔姫は何故か神の命をとろうとはしなかった。


むしろ、今まで見たことのない存在感に興味を持ち、ついていくことにした。


そして、悪魔姫のもとに優秀かつ個性がある人材が現れ出して、国を建国するにまで至ることになる。


一方、民から慕われるはずの慈愛の女神は、誰からも存在感を忘れられ、河川敷ですねていた。


「私、神なのに悲しみ」


今日も誰とも会うことなく、ダンボールが風で飛ばないようガムテープで補強をしていた。


あの頃は楽しかった。


小さな家でシェアハウスをし、寝ているだけでも時間になったら食事を与えてくれる。


それが宮殿ができると同居人たちと引っ越すことになった。これからはさらに快適な暮らしができるというものだ。


「リィナ様。ミナエ様が不在の時は決済くらいしていただかないと」


大量の書類を毎日エルフの小娘が持ってくる。


一枚の書類に目を通すだけで、脳みそが爆発しそうになる。


仕事には向き不向きがあるという。私は宮殿を飛び出し、喫茶店で働きながら一人で生きていくことに決めた。


しかし、喫茶店でつまみ食いをしたり、賞味期限を偽装したり、店長を真似たわら人形を作って毎晩呪ったら追い出されてしまった。


そして噂が噂を呼び、慈愛の女神は野生に帰ろうとしている。


「話が長い!」


「おわっ!」


「何一人で長々と語っているのよ。いつ声をかけていいかわからなくて待ってたわ!」


私はダンボールハウスとリィナを交互に見る。


「ミナエよ。今の私を見ないで。慈愛の女神は神々しかったという思い出だけでいいのよ!」


「神々しいなんて思ったこともないんだけど。てか、戻るわよ。宮殿に!」


「宮殿に戻ったって厄介者扱いされるのがオチ。女神のくせに自室にとじこもって、いつになったら働くのかしらって、メイドたちに後ろ指さされたくないの!」


「神のくせにニートしてるからでしょうが! とにかく、リィナにしかできない仕事を依頼したいから宮殿に戻るわよ!」


「何っ!? 私にしかできない仕事? ついに私の重要性がわかったようね!」


まだ何も言っていないのに、立ち直ったリィナだったが、オカリナが鎌を手に取り、


「とりあえず女神よ。ダンボールハウス。環境に悪いからぶっ壊していいか?」


「折角作ったのに容赦なく破壊されて、私、悲しみ」



宮殿に戻り、事務室にて、


「そんなわけで、直接聖女と会う理由ができたんだけど、聖女との仲介役をしてほしいのよ」


ここまでのいきさつをリィナに話すと、


「勇者っていなかった? バスクの伝書鳩と不毛な争いをしてた人」


「そういえばいたかもしれないけど、今どこにいるかわからないのよ。武道館しか見えてなかったからなぁ」


「まぁいいわ。聖女とのパイプになればいいのね。聖女は私に感謝しきれないくらいの恩を感じているはずだから会ってくれるに違いないよ」


「じゃあ、私の手紙のほかに、リィナも手紙を添えて。バスクの伝書鳩に渡してもらうから」


「あの伝書鳩大丈夫なの? 無差別に人を襲っていなかった?」


「バスクがうまく調教して、まともな伝書鳩になったそうよ」


「まあいいわ。ところで私、字が書けないから代わりに誰か書いて」


「あんた女神なのに字も書けないの?」


「女神は字を書く必要があるなんて思ったことないんだから仕方ないでしょ? いい? 女神は適当に微笑んで民がお賽銭を投げる。女神はそれで美味しいものを食べる。ほら、字を書く理由がどこにもないでしょ?」


結局、ヴィオラが代筆をして私たちの手紙を聖女の元へ飛ばした。


返事が来るまで時間がかかるので、私は新しいインフラについて四天王を呼んで相談しようとしていたのだが、


「ミナエさぁ、外交使節団はこの村に来るんでしょ? だったら宮殿の近くにある空き家を土産屋にしたらいいと思うの。私にやらせてほしいなあ」


リィナが自信満々に進言してきた。


「悪くはないけど、うち、そんな特産物があるかなぁ。お菓子とか果物とか、よそ様に売るほど生産過剰じゃないのよね」


「大丈夫。スターフィールド国の名物として毒キノコとか袋売りするから」


「誰が買うのよ。でも方向性は悪くないから、リィナ担当でいいよ。売るもの決めたら稟議書書いて提出して」


「稟議書?」


「要するに、これを売りたいから許可して下さいってやつ。書き方わからなかったら、ナナミに相談するといいよ」


「いや、私、字を書けないし」


「学校通ったら?」


「私、神なのに悲しい」


しかし、入学許可証が欲しいと言ってきたので|プリンセス・サーバンツ《姫様のしもべ》に申請するように言うと早速向かって行った。


「初めて頼りにされたのが嬉しかったのでしょう。穀つぶしニートもやればできるんですね」


ナナミが言うと、


「まあ、私はダメでもやる気はある人は好きよ」


「姫様、なんか死ぬ前のうちの部長みたいです」


このナナミ。村でヴィオラの事務員として働いていたのを見た時が初対面で、なんとなく話しかけてみた。


私と同様、死んでこの世界に転生してきたらしいが、死んだ理由がこれまたひどい。


休日、時代劇を見ていて、スケさんカクさんが悪人を懲らしめているシーンで、斬られたモブと間違えられて天に召されたらしい。


「あんなの峰打ちに決まってるでしょ!」


と、天使に抗議をしたらしいが死んでしまったのだから覆らないと、相変わらず三つ願いを叶えるから、転生しろと言われたらしい。


その三つとは、


剣と魔法のファンタジー世界に行きたい。


お姫様に仕えたい。


何か一つチート能力が欲しい。


そう言われて、確かにここは剣と魔法の世界。ただし魔法はインフラ重視。


ここの国は私(姫様)が治めている。ただし古の悪魔姫(デビルプリンセス)。煌びやかな姫とは対照的である。


そして気になるチート能力だが、


「伝説の破壊神を召喚できるんです」


と、初めて聞いたとき


「すごいじゃない」


天使もやる時はやるんだなあと感心していたのだが、


「でも『召喚したら世界が滅びるけど本気?』って警告メッセージが目の前に出るんですけど、『はい』って選択しても『今は勤務中です』『今は労働時間外です』って呼び出せないんです! 大体破壊神って働いているんですか? 破壊神ですよ? 破壊神!」


「破壊神、村で働いてるよ?」


「え?」


「なんか一週間くらい前に『破壊神って呼ばれてるんですけど〜。この村で雇ってもらえませんか?』って子がいたわ」


「なんで召喚対象が村で働いてるんですか! 召喚の意味ないじゃないですか」


「まあ、うどん屋で働いてるから、出前で呼ぶこともできるよ?」


「あの。チート能力の召喚よりも出前の方が確実に呼べるってなんです?」


なんかあまりにも可哀想なので、ヴィオラに頼んで彼女を私の側近として働いてもらうことにした経緯があった。


こうして、リィナのアイディアに少しだけ期待しつつ、聖女からの返事をこれも少しだけ楽しみにする私なのであった。

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