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プリンセス・サーバンツ 〜スローライフを希望する姫様と、それを阻止するしもべ達〜  作者: みずほたる
隣人がゴキブリを退治したら私が死んでいた件 〜天使のミスで始まった、可愛すぎるお姫様(中身45歳)の再就職〜
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姫様、世紀末の首都を「水田」に変えることにしました

ヴィオラとの地獄のような会議が終わった翌日の早朝、私とオカリナは森を出て、首都まで空を飛んで行くという強行策に出た。


そして、半日後、ようやく辿り着いた首都だったが、


「首都と聞いていたから東京みたいな華やかな近未来都市と人でごった返しているイメージをしていたのじゃが、これでは世紀末ではないか」


「姫様。裏道でモヒカンのオッサンが胸に百個の傷を持つ男にカツアゲされていましたが、いかがなされますか?」


「助ける義理はないのう。それにしても朝早くから飛んできて腹が減ったのじゃ。出発時に持たされた弁当でも食べないか?」


「そうですね。空き地はたくさんありますので座って食べましょう」


「瓦礫の山だらけじゃがな」


見渡す限り、公園がなさそうなので、倒壊した建物の柱に腰をかけてカバンから弁当を取り出す。


「それにしてもリィナめ。妾とオカリナだけの分と知ってとんでもない弁当を用意したな」


弁当箱を開けて文句を言う私。


「味に問題はありませんし、女神が作ったわりには、むしろ美味しいかと」


「気持ちの問題じゃ」


「それにしても五段重ねとは。食べきれませんよ」


「よくカバンに入ったと感心しておるわ」


そんな会話をしていると案の定、悪そうなごろつき達に狙われた。


「その食べ物をよこせ」


錆びたナイフを見せつけてくる。逆に危ない気がするが、多分こいつら衛生面とかわかっていないんだろうな、と、ため息をつく。


少し絶望の波動が体内から放出されたのがわかったが、


「よこせとは失礼な。恵んで下さいと言うのじゃ。でなければ弁当を地面に落とす」


溢れ出す波動を無視して私は逆に脅かした。


「ぐぬぬ。恵んで下さい」


案外素直に頭を下げるごろつき達。


「全部やるのじゃ」


「最初からそうすればいいんだよ!」


奪い取るように私が持つ弁当箱を取り上げると、ごろつき達は勢いよく食べ出した。


このやり取りだけで、この国は明らかに食料事情がヤバいのがわかる。


「ぐっ、なんだこれは!」


苦しみだすごろつき達。


「ふんだんにキノコ料理を振舞ってはおるが、全部毒キノコじゃから、結局は毒じゃ」


「私たちは耐性がありますから普通のキノコ料理なんですよね」


「だからといって自ら食べたいとは思わん」


「で、こいつらどうします?」


「一週間ほど苦しむが死にはしないから放置してもいいじゃろ」


「そんな!」


「ま、大人しく寝てると良い。水分補給はしっかりとな」


「この国には水すらまともにないというのに!」


「ひどい国じゃな。オカリナよ。呼び出せるか?」


「かしこまりました」


オカリナが目を閉じて何かを呟くと、影から貝殻パンツ、上半身裸の水の四天王アクアが現れた。


「アクアよ。忙しいところすまないが、この国は水不足に頭を悩ませているらしい。あの陥没した大地に湖を作れるかのう?」


「容易いことです」


すると両手に扇を持ち、よくわからない踊りをし始めた。


「なんじゃその不思議な踊りは?」


「雨乞いの儀式です!」


すると雲行きが怪しくなり、陥没した大地の周りだけ豪雨が降り出した。


「おお」


毒のせいで身体が弱っているが、感極まっているのがわかる。雨を見て廃墟と思っていた建物から痩せ細った国民たちが出てきては、アクアに、


「神よ!」


と、感謝している。彼らが裸とかはどうでもいいくらい余裕が無かったのであろう。


「俺は神ではない。そこにおられる姫様のしもべよ。俺に感謝をするのではなく、俺を呼び出し、指示を出した姫様に感謝せよ」


すると国民たちが私の元へ群がって感謝の言葉を述べてくる。


「もしかして、西にある森の救世主様?」


「いつになったら移住を許可してくれますか?」


「本当に食べ物や働き口はあるんですか?」


一斉に聞いてくるので答えようがない。


私の絶望の波動が少し強まる。


それにしても、明らかに栄養失調な者ばかりだ。だからといって食べ物は用意していない。


ならば解決策は、


「オカリナよ。サムスも呼び出せるか? 出来たらチヒロもじゃが」


「チヒロは人間なので無理ですが、サムスは可能です」


そう答えると、影から土の四天王サムスが現れた。


「サムスよ。突然ですまないが、この辺りですぐ収穫ができる畑は作れるかのう? 水はアクアが用意するし、開墾はここの民がする」


「畑は作れるがすぐに収穫ってのは無理だな」


「村では耕したら翌日には収穫できてるではないか」


「それはチヒロに不思議な力が備わってるからだ」


「なら、村からチヒロを呼び出した方がいいかのう」


「さっき昼寝してたぞ」


「あやつめ」


「食後の昼寝は姫様が決めたんだべ」


「ぐぬぬ」


さらに絶望の波動が強まると、空で何か割れた音が聞こえた。


「聖女の結界が破られたみたいですね。範囲はあとで検証しましょう」


オカリナは感無量といった顔をしているが、


「結界を破っても腹は満たされぬわ」


対照的に私はどうでもいいといった顔をしていた。


しかし、


「ふおぉぉぉ!」


アクアとサムスが大声を上げていた。何事かと驚く私。


「姫様。絶望の波動が我々をパワーアップしてくださいましたぞ!」


確かオカリナの時はダメージ無効を解除、固有スキルの一日における回数増加だったか。これは期待していいのだろうか?


「姫様。我々の力を合わせれば水田が作れるようになりましたぞ!」


「それ、絶望の波動は関係あるのかのう?」


「もちろんです。聞いて驚くことなかれ、再生二期作です」


「すごいことはわかるのじゃが、要するに米じゃろう? 時間がかかりすぎるのではないか?」


「半年くらい食べなくても死にませんよ」


「死ぬわ!」


私は否定すると、オカリナが言った。


「しかし姫様。この広大な土地を瓦礫の山にしておくのはもったいありません。全部水田にしてしまえば我が帝国は米には困らなくなります」


「そうじゃのう。しかし、ここは他国の土地じゃ。勝手にいじるわけにはいかん。国王に聞いてみることにしよう」


「そうですね。首元にこの鎌の刃を首元に突きつけお願いをしましょう」


「それはもうお願いではなくて脅しじゃな」


そう言ってこの場を後にするのであった。

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