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第6話 性悪”大魔導士”の師匠

 その日の放課後。


 学校の授業は早めに終わり、思ったより暇になってしまった。


「ご主人様。どこに行くのです?」


「ん? あの人のところだよ」


「ゲェ、またですか。ライカ、あの人嫌いです......」


「あはは。まあ気持ちは分かるかな」


 街の中では人の姿に扮したライカと肩を並べて、”ある人”のところに向かっていた。



 ——ここはダンデライオンの王都。


 多くの特徴を持った人々が住んでいて、幼い頃から頻繁に探検しにきていた。


 なんといってもこの街は、ダンデライオンの中心にあるだけあって、あらゆる文化や人が集まってくる。


 ライカのように獣の耳が生えたタイプの獣人。長身でガッチリした見た目の多い種族ハイランダー。多くの人間が当てはまる種族ヒューラン。長い耳が特徴で知識人が多いエルフェン。


 多くの民族が全くいがみ合うことなく、これほどまで平和に街で暮らしている光景を目にした時は、とても驚いたものだ。



(異種族が協力して一つの街に。見たことのない種族もいて、まるで別世界のようだ。変わったなぁ)


「ご主人。着きましたよ」


「ありがとう。さて、今日は何を教えてくれるかなぁ」


 そうこうして歩いているうちに、目的の場所にたどり着いたようだ。


「杖と薬のオリーブ」と書かれた看板と、お店だというのに店内は見ることのできない不親切な設計のお店の外観。


 これでは何の商いをしているのか分かりづらい、魔術師のためのお店だ。


 その扉を遠慮なく開く。店内はまるで「早く帰れ」と言わんばかりの薄暗さ。足を踏み入れて「何だここ」と思わせたくなるような雰囲気だ。


 その空気をボクは遠慮なく突き進んでいく。ライカは腕を組んで、呆れた様子で後ろをついてきて、ゆっくりと扉を閉めてくれる。


 カランカランと入店の知らせを受け取った音が響くにも関わらず、店主は一向に出てくる気配がない。


「ししょ——」


「オイクソ魔術師! ご主人様とライカが来てやってんです、出てこい!!」


「コラ、ライカ。そういう口の聞き方は.......」


 イラつきを抑えきれないライカは、まるで犬が吠えるように、店内に響き渡る声量で店の主人を呼ぶ。


 そんな言い方はないよと宥め、ライカを落ち着かせようとしたところで。店の奥から何かが飛んできた。


「!!」


「もう。物は投げちゃダメですよ、師匠」


「チッ!」


 ......ライカの舌打ちは置いといて、相変わらずの”やり方”に呆れて肩を落とす。


 投げられたのは、魔術の研究に使う素材を解体する用のナイフだ。


 それをライカに当たる前にヒョイと掴み、投げてきた人物の方に近寄るように店内の奥へと進む。


「っせぇ。あぁ、騒ぐなガキんちょ。頭に......響く......」


「また酒......。忘れたんですか、呼び出したのはそっちですよ」


「......エディ。おお、エディか。待ってたゼェ〜」


「まずは”頭の治療”から始めますか」


 ボサボサの長い赤髪を揺らしながら、淫らな格好と称されても文句は言えない、シャツとパンツ姿で女性が出てきた。


 体のラインがわかりやすく浮き出ていて、めんどくさいからと適当な下着を着ているのだろう。見慣れた人の下着姿だが、ボクと同世代が見たら刺激が強すぎる格好だ。


「もしかしたらサキュバスの子孫なのか?」という冗談はもちろん言わない。あと腹の贅肉も少し増え......たのは見なかったことにして。


 ボクを待っていたという彼女は、店の奥からゆっくりと歩いて出てきて。待ちくたびれた様子で、頭痛に耐えるように眉間に皺を寄せている。


「グリモワール師匠」


 この人こそボクの魔術の師。名をグリモワールが、店のカウンターに手を乗せて「いらっしゃい、エディ」と。不敵に笑みを浮かべて、訪問者を招いたのだった。

コイツ(グリモワール)はヒロインじゃないです。ステキなオネエサン......デス。

次回は6-2を投稿します。

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