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シズカとハナビの三角関係

言葉にならなかった気持ちR2

作者: リィズ・ブランディシュカ



 なんでもない日のこと。


 虹のきれいな雨上がりの朝。


 多くの学生が登校する通学路で、居眠りしていた運転手が車の事故を起こした。


 運転手は助かったけれど、その車にはねられた中学生の女の子のけがはひどかった。


 すぐに救急車で運ばれたものの、命は、はかなく失われてしまった。


 そに病院には、親しい人たちが集まった。






 一つの事故が一つの命を奪い去った。


 それはよくあるできごとで、よくある悲劇。


 けれど三角関係の中にいた彼らにとっては、無視できないことだった。






 どうして?


 一人の少女は悲嘆にくれる。


 好きな男の子に告白したい。


 そんな想いに蓋をしてまで親友の恋が実ることを願っていたのに、と。


 大切な恋の思い出にふたをした少女はこの先、二度と恋ができなくなる。







 なぜ?


 一人の少年んは膝を落とす。


 自分から告白する勇気がもてなかったことを悔いていた。


 相手からの行動を待っているうちに、最愛の人は命を落としてしまった。


 朝の通学路、目の前で起きた悲劇を一生忘れられないで生きていくことになる。


 彼がとっさに伸ばした手は、どこにも届かなかった。






 

 どうすれば……。


 一人の少女は不安になる。


 友人の気持ちなど無視して、告白すればよかったのか。


 同じ人を好きになった親友の気持ちを踏みにじれば、ここまでのことにはならなかったのか。


 少女にはわからない。


 目の前にはずたずたになった三角関係の形があった。


 命を落とした彼女はもうじき、この世を去らねばならない。


 この世ならざる者となってしまった彼女が、どんなに言葉を紡いでも、誰にも届くことはない。


 壊れた関係の修復など望めるはずもなかった。








 突発的に起こった悲劇。


 それはとてこありふれたこと。


 世の中のどこかには、必ずあるもの。


 それが物語ならば奇跡が起きて、救いの手が差しのべられるかもしれない。


 しかし現実ならば、ただただ奇跡は起きず、超常の力など働かず、もうどうにもならないという事実しかそこには存在しない。



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