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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界漫画チート万歳

作者: カリメロ

初投稿です。

評価とか感想貰えたりするのかドキドキしてます。

よろしくお願いしますm(_ _)m


ちなみにテーマは「努力は決して裏切らない」です。

「皆の者、楽にせよ」


陛下のその言葉に、大広間に集まっていた私たち貴族一同は一斉に顔を上げた。


はじめまして。こんにちは。私はロンドベル伯爵家長女、リメロ=ロンドベルです。


今私は、この国、カクナイト王国の中心、国王陛下の住まわれる王宮の謁見の間にご在籍しておりますです。


言葉がところどころおかしいのは、ご愛嬌と思ってください。


今現在、私はかなりテンパっておりますので。


と言うのもこの度、私のお父様が目覚ましい功績を上げたことによる褒章会という題目で、この国の貴族の大半が、この大広間に集められているからです。

はっきり言って壮観です。華美です。


田舎貴族の私たちにとっては、場違い感ありありなのです。


しかも、今回お父様が陛下直々にお声掛け頂けるということで、広間中の貴族の方々の視線が注がれている状況なのです。


小心者の集まりである私たちにとってはもはや恐怖です。だからお父様だけ出席してって言ったのに。


私は一つため息をつきました。


もちろん、私たち同様小心者のお父様は、どうか一緒についてきてくれと、半泣きになりながら私たち家族に懇願なさいました。

ほだされました。

だって私だって、同じ立場なら泣きつくもん。

それで遠路はるばる、家族総出でこの王宮までやってきたわけですが・・・秒で後悔しました。

ですが後の祭りです。

「後悔は後に立つ!」と昔の偉い人も言ってました。

私は、もう一度小さくため息をつきました。

まあ、ここまで来ちゃったのだから、もうどうしようもありません。

私は顔を上げると、今まさに陛下の御前でガタガタ震えながら、首を垂れて論功行賞の口上を聞いているお父様の背中に向けて、「がんばれ」と拳を握りました。


「・・・と、様々な発明により我が国に貢献してきたロンドベル家ではあるが、この度、現当主もまた然り、「ペニシリン」なる「抗生物質」と呼称される薬剤を発明し、我が国の多くの国民の命を救済した。その功績は、かつてのロンドベル家の功績に勝るとも劣らず・・・」


・・・いまだ陛下の代理人であるお役人様の口上は続いておりますが、ここで我がロンドベル家の内情を少しご説明しようと思います。

我が家は、先代当主の祖父を筆頭に、父・母・兄・私の5人家族でございます。

王都より、馬車で片道5時間もかかるド辺境であり、領地は広いが自然以外なーんにもないド田舎でございます。

鉱山・森林・農地はふんだんにあるので、それらを家業として細々と暮らしております。

のどかですよ?

そして私たち家族は、全員転生者です。

しかもみんな日本からの。

おじいさまから始まって、生まれた息子(お父様。ちなみにおばあさまは違ったみたい)、嫁いできたお母さま(学生時代にお父様にバレたらしい)、生まれてきた兄(第一声が「転生ktkr!!」)、そして私が生まれた時には、もうそういうもんだと半ば諦観してたとか(間違いじゃないけど、そこはかとなく失礼じゃね?)

しかも全員サブカル系のオタク・・・主に漫画オタクだったせいで・・・やっちゃったよね、漫画知識チート。

おじいさまは、まだ戦時中に「隔絶した軍に、タイムラグなく命令できるのがすごいって信長言ってた」という信念のもと、某「石のお医者様」の漫画知識で・・・通信機作っちゃったよね。

もう、めっちゃ戦中に活躍したよね、通信機。

この功績で戦後、子爵の地位と、田舎の領地たくさんもらったんだよね。

そして自然豊かなとこに嫁いできたお母さま・・・やっちゃったよね。

「漫画描きたい。同人誌作りたい」て言って・・・作っちゃったよね、紙。

某「ビブリオマニアのクーデター」の知識で。

それまで、竹簡か木簡だったところにそんなん作っちゃったものだから、もうとんでもないことになったよね。

しかも紙の作り方、国に献上しちゃったもんだから・・・最終的に伯爵の地位と、製紙業の特許いただいちゃったんだよね。

製紙産業は我が領地の一大産業になったりして、領地はめっちゃくちゃ潤って、領民も我が家もウッハウハになったってね。

本人は、「紙出来た!次はGペンとインクだ!!」つって、まったく気にしてなかったらしいけど。

それで今回はお父様が・・・。

私は意識を現実に戻すと、いまだ口上を述べているお役人さんと、相変わらず震えてるお父様に目を向けた。

そういえばこれも「石のお医者様」の知識なんだよなー。

あの漫画、チート知識の宝庫すぎないか?

とかつらつら考えていたら、いきなり背後の扉・・・大広間の正面入り口が、大きな音を立てて開かれた。

なにごと?と思って振り返ってみたら、なにやら武装(鎧甲冑つけてるから騎士かな?)している集団が大挙して立っていた。


「なにごとだっ!!」


部屋の中にいた貴族たちが皆勝手にと悲鳴を上げる中、劈くような声が広間に響き渡った。

おお、陛下、微塵も動揺してない。めっちゃかっけえ。

私がひそかに感動していると、陛下の誰何を受けた騎士たちの中から、ひときわ立派な甲冑を身に着けた偉丈夫が、ずいっと一歩前に出てきた。


「貴様・・・ボルナークか?」

「いかにも」


陛下の怒気の混じった声に、その騎士は鷹揚に頷いて見せた。

おお。こっちもなんかかっちぇ。

パチリと首の留め金を外しながら兜を脱いでからの、不敵なニヤリ。

しかも美オジサマ。

うん。こういう悪役っぽいオジサマ大好き。


「貴様、どういうつもりだ?いかに我が従兄弟といえど、興が過ぎるぞ?」


ああなるほど。どことなく陛下に似てると思ったら血縁なんだ。納得。

ちなみに、かっこいいオジサマ二人がにらみ合ってるのを見て、お母様が隣で目を輝かせながら息をハァハァさせてる。

自重しろママン。

そんな内心突っ込みをしている間にも、二人の会話は進んでいった。


「興が過ぎると?はは、それは陛下、そのまま御身にお返しいたしますぞ」

「なんだと?」


陛下の返答に、ボルナーク卿・・・記憶が確かなら、この国の騎士団長様だったはず・・・は、ぐるりと視線を周りに向けると、やれやれと言った風に頭を振った。


「昨今の陛下は、どうにも新興の貴族ばかりを重宝していると小耳にはさみましてな。なに、陛下に限ってそんな軽率な真似はなさらないだろうと、その言を笑い飛ばしましたが、どうにも部下たちが騒ぐので、この目で確かめに参った次第ですが・・・」


言いながら彼は視線を私たち家族のところでピタリと止めた。


「・・・どうやら、噂は本当だったみたいですな」


そう言って、睨みつけるように私たちを見やるボルナーク卿。

ふむふむ。なるほど。

会話を聞くに察するに、どうやら彼らは、新参者が重用されるのが気に食わないってところみたいね。

たしかになー。

元居た世界だって、譜代をないがしろに外様ばっか可愛がられてたら、そりゃ大名連中も不満が出るってもんさ。納得納得。

って、その外様仕様が、私らにロックオンされちゃってるんじゃん?もしかして?。

え?やばくない?

私の考えを肯定するように、譜代の代表様は言葉を続ける。


「我ら、かねてよりの忠臣を差し置いて、新興の者ばかり遇する王家には最早ほとほと愛想が付き申した。今ここに、我等、仮称「憂国騎士団」は、伝統を軽んじる現王家を打倒し、かつての王国と貴族の栄光を取り戻すべく、聖戦の意思をここに示すものなり!!さあっ!ここにいる真の忠なるものよ!我ら、憂国騎士団の意に賛同し、共に王国を真の姿にもどそうではないかっ!!!」


おーう、そうきたか。

この場に集まった貴族連中の中にも、彼ら同様の不満を持った奴らがいると踏んで、手っ取り早く人員の増強を図りに来たかー。

やるなあボルナーク卿。

見ればちらほらと、彼らのいる大扉の周辺に移動してる奴らが見受けられるし、このままいけばじり貧だね。

仕方ない。

不満の一端が私らの存在にあるわけだし、ここは陛下の味方して収拾つけるとしよう。うん。


「ええっと、ちょっといいですかボルナーク卿?」


私はお兄様に目配せすると、スススッと、陛下の前でまだ座り込んでいるお父様のそばに近寄り、さりげなく立たせて、お母様同様背に庇うようにしてからボルナーク卿に声をかけた。

お兄様は私の意をくみ取って、陛下の前に身を晒している。

お兄様グッジョブ。


「む?なんだ小娘?貴様ごとき卑小の身が、上位貴族である私に先に声をかけるなど、いささか常識に欠けるのではないか?」


うっわ、今まさに謀反起こそうとしてる常識知らずが、どの口で言うかなー?

そこはかとなく小馬鹿にしてる感あるし、ちょっとコメカミひくついちゃうよね。

こちとら、元は貴族社会なんか無縁の日本人だっつーの。

まあそんなん、おくびにも出さずにニッコリ笑って見せるけどね。


「それは申し訳なく。ですが今のこの状況、いささか以上に常識が迷子になっていると思いますが?」

「なにを指して言っているか皆目見当もつかんが、この状況は至って常識の範囲内だが?私の先の言葉を聞いていなかったのか?」

「いえいえ聞いておりましたとも。とてもご立派な口上でございました。ワタクシかーんどう(感動w)致しましたわ」


再びニッコリ笑って見せると、対照的に彼はピクリとコメカミに青筋を浮かべた。

ザマミロ。お返しだっつーの。


「なんでも『昔からいるけど、なんも貢献してこなかった俺たちを、蔑ろにした王家とかマジいらなくね?俺らで乗っ取っちゃおうぜ!』・・・要約するとこんな感じだったかと思いますが、間違いありませんよね?」


私がここまで言うと、後ろで「ブフッ!」と吹き出す音が聞こえた。

陛下に楽しんでもらえたようで何よりです。


「いやもう自分たちの非才を、恥ずかしげもなく喧伝し、あまつさえ『俺たち気に食わないとやっちゃうんだぜ!?』と、10代の若者がかかる、中学二年生疾患のような物言い。いやはや、ご立派すぎて私には到底理解できませんでしたわー。さすが『上級貴族様(笑)』でいらっしゃいますわー」


調子に乗って挑発を続けてたら、「貴様っ!!」とか言って、ボルナーク卿の周りの騎士たちが一斉に剣を抜いた。

うーわ、煽り耐性クソ雑魚じゃん。

そして陛下笑いすぎ。

押し殺した声がよく聞こえてますよー。


「・・・貴様らのような、身分差を弁えない連中が、徐々にこの国を蝕んでいくのだ。我々の蜂起は、いわばこの国を、正常な状態に戻す聖戦に他ならない。そしてそれは、多くの貴族の後押しを受けた、私にしかできない偉業なのだ。陛下を排斥することは心苦しいが、それもこの国を救うための外科手術!私は己の後悔よりも、国を生かすことを優先するのみだ!!」

「国を生かすとか片腹痛い。自分の欲求をご満足させるための、激利己優先なだけでしょプゲラw外科手術でその頭切り取ったらー?」

「貴様!!!」


指差して嘲笑ってやったら、やっとこさブチ切れたらしいわね。

向かってくる騎士団を横目に、私はお兄様・・・兄ちゃんに声をかけた。


「兄ちゃん!正当防衛っ!!やっちゃえっ!!」

「おうよっ!!」


言いながら兄ちゃんは嬉々として駆け出した。

その際に、国王様近衛の佩刀を拝借していく。

手際いいわー。大好き。

兄ちゃんはそのまま駆け上がると、一足飛びに飛び上がった。


「ラ〇デイーンッ!!」


叫ぶ間もあればこそ、兄ちゃんの持つ剣に稲妻が降り下りた。

それを、容易く剣に纏わせたまま、兄ちゃんはにやりと眼前の敵にそれを叩きつけた。


「ア〇ン!ストラーーーーッシュ!!!」


兄ちゃんの咆哮とともに繰り出される斬撃。

かつて、小学生の頃から、傘を逆手に持ち繰り返してきたア○ン・ストラッシュ。

それがこの異世界に来て、やっと開花した兄の漫画チート。

それが遺憾なく発揮される現状に、私はうんうんと涙を流した。



「兄ちゃんっ!思う存分にっ!!」

「ありがとう妹よっ!!!」


そう叫びながら敵兵・・・いや、同国兵なんだけど、それらをバッタバッタと斬り倒していく兄ちゃん。

いやー、本当に嬉しいんだろうけど・・・容赦ないわー。

ボルナーク卿とか、半分になっちゃってるし・・・あとで責任とか取らされないよね?

まあ、そうなったら国出りゃいいか。

私たちなら、どこだってやってけるでしょ。

うんうんと一人頷いてると、背後から肩ポンされた。

振り返ってみたら、あれ?陛下?


「危険ですのでお下がりください」


とっさにそう言ったが、陛下は楽しそうな顔で、眼前の惨劇を見つめてた。

え?結構な18禁G好きなの?


「・・・なんか失礼なこと考えてないか?」

「・・・御身に置かれましては、唯々敬意しか持ち合わせておりません」

「・・・その猫重くないか?」

「御身の前でしか発揮いたしませんので、至極軽微です」

「・・・普通に喋ることを許可する。不敬罪とか問わん」

「じゃあ邪魔なので下がって。流れ弾とかいやでしょ?」

「・・・いきなりフランクすぎだがそうだな。しかし君の兄君はすごいな」


そう言って陛下は玉座に座りなおすと、興味津々とばかりに兄の雄姿を見直した。

私はその言葉に、むふーっと鼻息を出した。

そうでしょそうでしょ。うちの兄ちゃんはすごいのです。


「あれだけの者、騎士団長でも物足りなかろう・・・」

「兄ちゃ・・・兄は野心はないので、どのような役職でも文句はないかと」

「普通に話せ」

「兄ちゃんは最強目指してるので役職いらない」

「マジか。出世とかしたくないの、アレ?」

「将来的にドラゴンブッタ斬りに行くって」

「夢でけえな」


・・・あれ?陛下、なんか陛下もフランクすぎじゃね?


「ん?ああ。俺、継承権4位とかだったんでな。結構下町とか行ってたんだわ。元はこんな感じだったよ」


なるほど。結構庶民寄りなのか。

好感度上がるじゃん。


「猫重くないスか?」

「被り慣れると存外そうでもなくなんだわ」


そっかー。陛下もいろいろ苦労してんだなー。

国の長だし当たり前だけど。


「では今日くらいは以前の口調でどうぞ。私でよければお相手いたしますので」


ニッコリ笑って社交辞令述べたら、陛下がまじまじと私を見つめてきた。

え?なに?


「・・・そうだな」


そう言って陛下はニヤリと笑った。


え?なに?なんか不穏なんですけど?


「後日褒美を取らせよう」


そう言ってニヤニヤ笑う陛下に、私は露骨に嫌な顔をした。


「なんだその顔?」

「・・・臣下の責務を果たしただけですので、褒美など不要にございます」

「普通に」

「褒美とかめんどくさいからいらない。出来れば今回の父ちゃんのも撤廃して」

「お前らホント欲ないな!?」


そうして後日。

兄への、「天下御免」(早乙女主水之助かよ!?)が下賜されたり、私への陛下への嫁入り打診(という名の命令。全力で逃げたるわ!!)があったりして、まだまだすったもんだが続きますが、私たちは元気です。


あ、ちなみに私の漫画チートは、前世いつか撃てると信じて練習してた「か〇はめ波」が撃てます。


漫画チート万歳。


END

てなわけで、練習を続けてればいつか皆さんも、三○世界とか出せるようになるかもしれません。

今からでも刀を口に咥える練習をしましょう(・皿・`)ガジガジ

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[良い点] こういう異世界転生ならしたい! と、思いました。 [気になる点] あれー?お祖母さんは?? [一言] 妹が、ほにゃらら波で戦ったらお城壊れるからかーと納得。 兄はドラゴン倒しに行ってドラ嫁…
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